法令
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閣議によって決定され、主任の国務大臣署名し、内閣総理大臣連署して、天皇が公布する。法律の委任がある場合を除き、罰則や義務を設けることはできない(内閣法11条)。題名は「云々に関する法律施行令」「云々に関する政令」とされることが多い。
府省令内閣総理大臣が発する成文法である内閣官房令内閣府令デジタル庁令および復興庁令と、各省大臣が発する成文法である省令の総称。内閣官房令、内閣府令、デジタル庁令、復興庁令および省令の間で上下の序列はない。府省令の題名は「云々に関する法律施行規則」「云々に関する内閣府令」「云々に関する省令」とされることが多い。複数の府省の所掌事務にわたる事項について定められる府省令は、複数の府省の主任の大臣が共同で発する。

内閣官房令
内閣総理大臣が内閣官房に係る行政事務について発する成文法。内閣法第25条第3項は、「内閣総理大臣は、内閣官房に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、内閣官房の命令として内閣官房令を発することができる」と定める。内閣官房令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない(内閣法第25条第4項)。

内閣府令
内閣総理大臣が内閣府に係る行政事務について発する成文法。内閣府設置法第7条第2項は、「内閣総理大臣は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、内閣府の命令として内閣府令を発することができる」と定める。内閣府令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない(内閣府設置法第7条第4項)。

デジタル庁令
内閣総理大臣がデジタル庁に係る行政事務について発する成文法。デジタル庁設置法第7条第3項は、「内閣総理大臣は、デジタル庁に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、デジタル庁の命令としてデジタル庁令を発することができる」と定める。デジタル庁令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない(デジタル庁設置法第7条第4項)。

復興庁令
内閣総理大臣が復興庁に係る行政事務について発する成文法。復興庁設置法第7条第2項は、「内閣総理大臣は、復興庁に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、復興庁の命令として復興庁令を発することができる」と定める。復興庁令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない(復興庁設置法第7条第4項)。

省令
各省大臣が発する成文法。国家行政組織法第12条第1項は、「各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。」と定める。省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない(国家行政組織法第12条第3項)。
その他の命令その他の命令は、その発する機関、根拠法、沿革などにより、政令若しくは府省令に並び、又は政令若しくは府省令の下位に位置する。

会計検査院規則
会計検査院が定める成文法。会計検査院法第38条は、「この法律に定めるものの外、会計検査に関し必要な規則は、会計検査院がこれを定める。」とする。会計検査院が憲法に設置根拠を持ち(憲法第90条第2項)、内閣に対し独立の地位を有するため(会計検査院法第1条)、会計検査院規則は政令または府省令に準じる効力を持つと解される。会計検査院規則には、会計検査院長が年月日を記入した上で署名して、官報で公布する(会計検査院規則の公布に関する規則)。

人事院規則・人事院指令
人事院規則・人事院指令は、いずれも人事院が定める成文法。国家公務員法第16条第1項は、「人事院は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の委任に基づいて、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。」と定める。 人事院が内閣の所轄の下に置かれる機関であるため(国家公務員法第3条第1項)、人事院規則・人事院指令は政令または府省令に準じる効力を持つと解される。

外局の規則
府省の外局である委員会(行政委員会)の発する特別の命令(規則)または府省の外局であるの長官が発する特別の命令(庁令)。国家行政組織法第13条第1項は、「各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができる。」と定める。また内閣府の外局については、内閣府設置法第58条第4項に同様の規定がある。国家公安委員会が制定する国家公安委員会規則(警察法第12条)、海上保安庁長官が発する海上保安庁令(海上保安庁法第33条の2)などがある。行政委員会は、すべて規則制定ができることになっているが、庁である外局は、海上保安庁のみである。

外局以外の行政機関の規則等
国立国会図書館の日本法令索引には、「その他の行政機関の命令」として外局の規則のほか、日本ユネスコ国内委員会規則、日本学術会議規則、日本学士院会則・会員選定規則が掲載されている。
議院規則衆議院参議院が各々定める成文法。衆議院が定める衆議院規則と、参議院が定める参議院規則がある。各議院が、それぞれ単独の決議により、議院における会議その他の手続及び内部の規律について定める。日本国憲法58条2項を根拠とする。
最高裁判所規則最高裁判所が、裁判官会議の議に基づいて定める成文法。訴訟に関する手続、検察官弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について定める。日本国憲法77条1項を根拠とする。

なお、最高裁判所規則で定め得る事項については、法律で定めることも許されると解されている(例えば、民事訴訟法民事訴訟規則など。)。法律と規則の規定が矛盾衝突した場合には、その優劣関係が問題となる。この場合、法律の規定が優先されるとするのが多数説である。
地方公共団体の法令

条例
地方公共団体の議会が制定する成文法。憲法第94条は、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」と定める。条例は、当該地方公共団体内でのみ効力を有し、法律の範囲内でのみ制定することができる。地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない(地方自治法第14条)。

地方公共団体の規則
地方公共団体の首長が制定する成文法(地方自治法第15条)。地方公共団体の委員会が制定する成文法(地方自治法第138条)。選挙管理委員会規則(地方自治法第194条)、教育委員会規則(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条第1項)、都道府県公安委員会規則(警察法第38条第5項)など。
告示内閣、内閣府および各省庁、裁判所、地方公共団体等、公の機関が必要な事項を公示する行為、またはその行為の形式。国の機関が行う告示は官報に掲載する方法によって行われる。地方公共団体が行う告示はそれぞれの地方公共団体の公文式に関する規則により公報に掲載したり掲示板に掲載する方法によって行われる。告示には法令としての性質を含むものもある。

2006年(平成18年)3月、日本国政府の法令外国語訳実施推進検討会議は『法令用語日英標準対訳辞書』を発行し、その中で法令の英訳を以下のように定めた[3]

憲法 - Constitution

法律 - Act(原則)、Code(いわゆる法典)

政令 - Cabinet Order

内閣府令 - Cabinet Office Ordinance

省令 - Ordinance of the Ministry

規則 - Rule

条例 - Prefectural Ordinance(都道府県条例)、Municipal Ordinance(市町村条例)

日本の現行法上新たに制定されない法形式

現行法上新たに制定されない形式の法規範は、下記の通り。現行法上は新たに制定されない法形式であっても、現行法に根拠を持つ法規範は、効力を有する。
法律・政令・府省令に準じる法形式
太政官布告・太政官達
1868年に政体書によって設置され、内閣制度が創設されるまで存続していた最高官庁である太政官が制定していた法形式である。一般国民を拘束する内容を持つものを太政官布告とし、官庁限りの心得を太政官達としていたが、必ずしもその区別が守られていたとはいえなかった。太政官制度が廃止された後も、後に制定された法令に矛盾しない限りその効力を有し、大日本帝国憲法施行後もこれに抵触しない限りでなお従前の効力を有し、また、日本国憲法施行後も大日本帝国憲法下で法律又は勅令としての効力を認められたものは、現憲法に違反しない限り効力を有する。太政官布告第何号というのは、明治4年までは制定時には付されておらず後日編纂された法令全書において番号が付された。


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