法令番号
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このことから、同じく法令の識別のために付与される固有名称的な「題名」とは異なり、法令番号は(公的機関においては)「数値」的なものとして扱われていると考えられる。

国会で議案に付される番号

国会では、次の区分名により議案番号が付される[※ 3]国会同意人事決算には議案番号が付されない慣例である。

議院法律案予算条約の承認を
求めるの件国会の議決を
求めるの件(条約以外の)承認を
求めるの件各院の
決議案
衆議院議員
提出参議院議員
提出内閣
提出
衆議院衆法参法閣法条約議決決議
参議院衆参閣予閣条閣議閣承認


これらの議案番号の区分は「第1回国会衆法第1号」のように国会回次を前に冠し、個別の番号を後に付して用いられる(縦書き環境では漢数字であるが、行政での方式(例:百七十五)と異なり、簡素な方式(例:一七五)が用いられる)。ただし、当該国会会期内においては回次を省略して「衆法第1号」のようにも用いる。

衆参で異なる区分名称は、どちらの院が先議・後議であるかにかかわらず、当該院ではその名称を用いるため、同一議案に複数の番号が存在することになる(例: 衆議院で衆法第1号と呼ばれた議員提出法律案が可決し、参議院に送付(予備審査のための送付を含む)されれば参議院では衆第1号と呼ばれる)。ただし、変わるのは区分呼称の部分のみで、数字は共通のものとなる(各院の決議案を除く)。

暫定予算補正予算については、同一会計年度内に複数回提出される場合があるため、衆議院への提出前に内閣があらかじめ付している番号がある(一般会計は「(第○号)」、特別会計は「(特第○号)」、政府関係機関は「(機第○号)」で、○に入る数字は表示環境が縦書き・横書きにかかわらず漢数字でなく算用数字となる)。本予算(総予算)は複数回の提出がないためこの適用はない。したがって、参議院においては、本予算は「平成十九年度一般会計予算(閣予第一号)」と参院の番号のみが付され、暫定・補正予算については「平成十九年度一般会計暫定予算(第1号)(閣予第一号)」のように内閣と参院の番号が並ぶことになる。

国会の議決を求めるの件については、参議院において1度(1件)だけ「閣議決」の区分呼称を用いた例がある(1950年7月29日の委員会付託報告。8月2日付け官報本紙第7067号国会事項欄。事後の正誤訂正なし)。

各院の決議案には、政治声明的な決議案、各大臣の不信任決議案・信任決議案・問責決議案のような任意の決議案のほか、憲法で規定されている衆院の内閣不信任決議案内閣信任決議案も含まれる。また、国会の議決を求めるの件と異なり、各院の決議案は当該院で完結する(他院に送付しない)ものであるため、仮に同じ内容の決議案が両院に提出されても、それぞれ個別の番号が付される。

承諾を求めるの件については、参議院において2度(1件)だけ「閣承諾」の区分名称を用いた例がある(1951年2月16日3月7日の委員会(予備)付託報告。2月19日付け官報本紙第7231号・3月12日付け官報本紙第7249号国会事項欄)

決算については、参議院において1度(2件)だけ「閣決」の区分名称を用いた例がある(1950年2月21日の委員会付託報告。同月24日付け官報本紙第6935号国会事項欄)。

法令以外の公的文書に付される番号

国の行政機関にあっては、上述のとおり、
法律条約政令府令内閣府令総理府令)、省令規則庁令訓令(いわゆる大臣訓令レベル)、告示及びこれらと同等以上の法規については「平成11年法律第89号」のような方式が用いられているが、一方で、さらに下位の大臣レベル未満の訓令、通達事務次官局長レベル)等については「平成○○年○○月○○日付け○○省○○局長通達○○第○○号」のように文書番号と呼ばれるものが付され、多くが歴年又は会計年度を単位として初期化されている。会計年度更新はもちろん、歴年更新でも月日を挿入した表記がされるのが通常である。文書番号には文書分類上の記号(多くは所管所属の名称の頭文字)が付されている。

もっとも例外的な番号のとり方も多く存在する。例えば厚生労働省の「平成29年国民生活基礎調査の実施について(通知)」(各都道府県知事あて厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)通知(平成29年1月31日)の文書番号は、「政統発0131第1号」であり、一見して明らかなように1月31日の文書1号であり、年単位の番号ではない。また経済産業省の貿易管理関連の「輸入貨物(非自由化品目に限る。)の運送事故等により再輸入する貨物の輸入割当て」は、平成12年3月31日付けであるが、文書番号は平成12.03.27貿第1号輸入発表第34号となっている。最初の平成12.03.27貿第1号は、平成12年3月27日に起案登録した貿易局の文書の1号を意味し、輸入発表第34号は、輸入割当など輸入管理に関する文書の年度単位での34号を意味する。

また、府省とは別格とされる内閣官房の組織は、法律(内閣法) - 政令(内閣官房組織令) - 内閣総理大臣決定(組織規則)という変則的な形で定められるが、この「内閣総理大臣決定」には官報への公表時に正式に付される法令番号がない(部内的には管理番号のようなものがある可能性はある。)。このため、通常であれば「○○省組織規則(平成○○年○○省令第○○号)」のように月日なしとなるところ、後者は無番号の不便性を補うため「内閣○○室組織規則(平成○○年○○月○○日内閣総理大臣決定)」という月日を挿入した表記により官報の「官庁事項」(省令よりも低い扱い)の欄に掲載される。

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}このような訓令・通達はいずれも上位官庁から下部官庁指示であるが、法令解釈の基準となる通達はHP等で公表されることも多く、法令の月日省略引用の原則にとらわれることなく、通達を執行する職員のみならず一般の便宜を図り、業務の円滑化・参照時の利便向上等の観点から月日を挿入する表記が原則となっている。訓令・通達は官庁内部向けの実務文書であって、その他の国民一般に対する拘束力を持たない。このため、公的に公開されている告示以上の法令の法令番号の表記に月日を挿入するのが妥当か否かを論ずる際に、この内部文書での便宜的な月日表示の事実は、直接的には影響しない。[要出典]

明治5年1月8日太政官達以前の法令

法令番号は明治5年1月8日太政官達[※ 4]により法令本文に記された番号を元としているが、それ以前の法令には番号が付されていないため、それら法令は時代によって引用方法が異なってくる。公文式施行後の例を参照すると、戸籍法(明治31年法律第12号)第222条では、明治4年4月4日太政官布告、明治4年の法令全書の整理番号『太政官第170』である戸籍法(法令全書目録名『戸籍法ヲ定ム』)を「明治四年四月四日戸籍法」と引用しており、法令番号のない法令に対しては年月日と本文中にある名称を元として引用をおこなっている。日本国憲法施行後の法令では、以下3つの引用が存在している。
大蔵省関係法令の整理に関する法律(昭和29年法律第121号)第1条第1号の「新紙幣を発行する件(明治四年太政官布告第六百七十八号)」(明治4年12月27日太政官布告、明治4年の法令全書の整理番号『太政官第678』、法令全書目録名『新紙幣ヲ発行ス』)

文部省関係法令の整理に関する法律(昭和29年法律第135号)本則第1号の「古器旧物保存方(明治四年太政官布告第二百五十一号)」(明治4年5月23日太政官布告、明治4年の法令全書の整理番号『太政官第251』、法令全書目録名『古器旧物ヲ保全セシム』)

国旗及び国歌に関する法律(平成11年法律第127号)附則第2項の「商船規則(明治三年太政官布告第五十七号)」(明治3年正月27日太政官布告、明治3年の法令全書の整理番号『太政官第57』、法令全書目録名『商船規則』)

これら法令による引用は一貫して、法令全書に付された整理番号を法令番号として[要出典]使用している。法令全書に付された整理番号とは、法令全書第1巻編纂例2ページにその詳細が明記されている通り、法令全書の編纂者により付された仮の符号である。法令全書に付された整理番号は本来法令番号とは異なるものであるが、少なくとも昭和29年以降政府はこれを法令番号として[要出典]使用している。
アメリカ合衆国

アメリカ合衆国議会において作成されたプライベート・ロー及びパブリック・ローの場合、法律としての成立要件を満たした後、スリップ・ロー (slip law) に掲載される際にそれぞれ成立順に法律番号を付与される。形式としては、『法律の種類 議会の会次-狭義の番号』となり、パブリック・ローはPub.Law、Pub.L又はPLと、プライベート・ローはPriv.Law又はPriv.Lと略されて使用される場合もある。1900年以前の法律は番号が付与されていないため、章番号(1956年までは法律番号とともに引用されるケースがある)+成立年月日を用いて引用されている。

ただし、日本の法令番号の場合、単に「明治29年法律第89号」(民法)といえば、制定当初の民法ではなく、その後の改正を織り込んだ現行民法を指すのが通常であるのに対し[2]、アメリカの法令番号の場合、単に「Pub. L. No. 89-110」(1965年投票権法)といえば、現行の投票権法ではなく、制定当初の投票権法を指すとするのが一般的であることに注意が必要である[3]。現行法に言及したいのであれば、可能な限り、『合衆国法典』(United States Code)の題番号(title number)、節番号(section number)によって、例えば「42 U.S.C. § 1973 et seq.」などとして引用するのが確実である[3]。Public Law 110?1110th Congress An ActTo redesignate the White Rocks National Recreation Area in the State of Vermontas the "Robert T. Stafford White Rocks National Recreation Area".Be it enacted by the Senate and House of Representatives ofthe United States of America in Congress assembled,(以下略)

1行目が法律番号。

2行目は議会の会次

3から5行目は法律の題名。

6,7行目は制定文。

大韓民国

大韓民国の法令番号は日本と異なり、年ごとではなく建国以来通しで付番されている。2020年現在新規に制定される法律には17000代の番号が振られている。
注釈^ 現行の法律にないだけではなく、旧公式令でも規定はなかった。なお地方自治体レベルでは、条例規則の番号について規定したものがある。例、東京都公報発行規則(昭和51年11月29日規則第177号)第7条 条例は別記第一号様式の条例原簿に、規則、訓令及び告示は別記第二号様式のそれぞれの原簿に登記し、毎年逐番号を付する。なお、平成になった際に東京都公報発行規則の特例に関する規則(平成元年1月8日規則第1号) 平成元年一月八日以後同年中に東京都公報に登載する条例、規則、訓令及び告示の登載番号は、東京都公報発行規則(昭和五十一年東京都規則第百七十七号)第七条の規定にかかわらず、同日から新たに付するものとする。これにより改元で番号が1に戻るようにした。また、令和元年においてもこの時と同様に、令和元年における東京都公報発行規則の特例に関する規則(平成31年4月26日規則第113号)令和元年五月一日以後同年中に東京都公報に登載する条例、規則、訓令及び告示の登載番号は、東京都公報発行規則(昭和五十一年東京都規則第百七十七号)第七条の規定にかかわらず、同日から新たに付するものとする。


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