法人
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公益法人の「公益」は不特定多数の利益を図ること[8]である。

日本では明治時代に制定された民法が公益法人と営利法人に分け、さらに営利を目的としないもののうち公益に関するものだけが社団法人として法人格を取得できるとしていたため、営利を目的としないがもっぱら構成員の利益を図ることを目的として設立される団体(同窓会やクラブなど)は法人格を取得できなかった[6]。この問題を改善するため、2002年に中間法人法、さらに2006年に一般社団法人及び一般財団法人に関する法律が制定された[9]。日本法の法人の種類については「日本の法人の種類の一覧」を参照
法人格付与の諸主義

結社の自由の保障の下でも、いかなる社会的団体に法人格を付与するか法人格付与の形態及び法人格の承認方法は立法政策に基づいて判断される[10]

法人法定主義法人は法律に基づいて設立されるとする主義[11]。法律上一定の範囲の者に対して設立を強制する場合を強制主義と称すが、法人格取得の要件による分類とは関係がなく以下のほとんどと結合しうる[12]

特許主義特許主義とは、特に重要な政府系法人などで国の行為(特別法の制定など)によって法人の設立を認める方式[13][10]

許可主義許可主義とは、法律に定める要件を具備している場合に主務官庁の許可(自由裁量)によって法人の設立を認める方式[13][10]

認可主義認可主義とは、法律に定める要件を具備しているかを主務官庁が認可(法規裁量)して法人の設立を認める方式[13][14]。主務官庁の裁量の余地はほとんどないが、要件が抽象的であり主務官庁の裁量が働く場合があるもの[14]

認証主義認証主義とは、法律に定める要件を具備しているかを主務官庁が確認して法人の設立を認める方式であり、主務官庁の裁量がほとんどないもの[10]

準則主義準則主義とは、法律に定める要件(特に組織に関する要件)を具備していれば、行政庁の認可や許可を要せずに当然に法人の設立を認める方式[13][14]

当然設立主義当然設立主義とは、法律に定める状態になれば形式的手続を経ずに当然に法人と認める方式[14]


自由設立主義一定の要件が備えれば当然に法人の設立を認める方式[13]。スイス民法60条は非営利社団法人の設立に自由設立主義を採用している[11]。日本では採用されていない[13]。法人の存在が争われた場合に要件が充たされているかどうか判断する必要があり厄介な問題になると指摘されている[13]

法人の能力「法人の法的主体性」も参照
権利能力

法人には権利能力が認められるがその範囲が問題となる。
性質上の制限

自然人に特有の性別・年齢・親族(結婚や養子など)などの権利義務は法人には発生しない[15][16]。法人には生命権や肖像権などは観念できない[16]。通説では法人にも名誉権はあるので名誉毀損が成立するとしているが[16]、端的に法人に対する損害の発生の問題として処理すべき説もある[17]

法人は「生存する個人」(個人情報保護法2条1項)ではないので個人情報保護法の保護適用対象とならない。その役職員については生存する個人として扱われる。
法令上の制限

法人格は法令によって認められたものである。法人の能力は法令による制限を受ける[18]
目的上の制限

法人は一定の目的をもって人為的に形成される組織体であり能力は定款で定める目的に制限される[18]

日本の民法は、法人の権利能力に対しては極めて謙抑的な態度をとり、民法第34条において「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」と規定している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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