油圧ショベル
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林業あるいは野戦(工兵)など不整地使用を想定したものでは、走行装置と車体の間に旋回軸に加えて前後や左右に傾斜する可動軸を有するものもあり、走行装置が斜めに乗り上げた状態でも車体の水平をとることができる(陸上自衛隊の油圧ショベル掩体掘削機など)。

近年では街中の騒音を配慮し、騒音および振動に対する防止策などが講じられている。日本においては、国土交通省が低騒音型建設機械、超低騒音型建設機械の指定制度がある。
動力源

ほとんどの機械がディーゼルエンジン動力源としている。エンジンから得た動力を油圧ポンプ油圧力に変換し、油圧力を用いて走行・旋回およびブーム、アーム、バケット(アタッチメント)の操作を行う。

鉱山などで使われる機体質量100トン以上の大型機の中には、ディーゼルエンジンに直結した発電機で発電し、発電機から得る電力で油圧ポンプやギヤードモーターを駆動させて本体を動かす、ディーゼルエレクトリック駆動の油圧ショベルもある。

電気モーターを搭載し、外部電力を取り込んで油圧ポンプを駆動するタイプの油圧ショベル(通称:電機ショベル)もあり排気ガスを全く出さない。坑道や地下工事で多用されている。

エンジンにモーターとバッテリーまたはキャパシタを組み合わせた、ハイブリッド機の開発も盛んである。旋回を止める電力回生ブレーキの電力をキャパシタに蓄える事により、燃費を2割程度向上するという[8]
走行装置ウォーキングドラグライン

多くはクローラ式で本体の油圧ポンプで走行装置の油圧モーターを動かし、金属製もしくはゴム製のクローラによって走行するが、自動車のようなゴムタイヤを装備したホイール式もある。通常はラフタークレーンのようにショベル作業運転と路上走行運転を一つの運転席上で行うが、極少数ながらトラッククレーンのように通常のトラックシャーシー上に旋回台(ターレット)を設け、油圧ショベルの旋回台から上を架装した特装車も存在する。日本の建設土木現場では大半がクローラ式である。道路工事ではゴムベルト式クローラが多用されている。海外では日本よりもホイール式の機種が多い。なお、俗に言われるキャタピラーとは、後述する米国キャタピラー社の社名から来たものであり。本来は履帯もしくはクローラーと呼ばれる。走行装置の油圧モーターメーカーは、ナブテスコKYB不二越などがあり、油圧モーターと減速機を組み合わせたユニットでクローラーを回転させる。油圧モーターは左右で2個使用され、それぞれが独立して制御でき、前後進だけでなく左前進、右は後進することによりその場で超信地旋回(スピンターン)を行うこともできる。

一般的にゴムタイヤ式はクローラ式より不整地での走行性や作業中の安定性に劣るが、アウトリガーや昇降排土板を備えた機種ではクローラ式よりも高い安定性と掘削力を有する機種もある。(ただし、油圧ショベルは現場に到着すると作業中は移動しないのが普通[9]である。)。

また日本では大型特殊自動車として登録可能な機種が多く製造発売されており、登録すれば公道を自走して作業現場へ移動できるという利点がある。クローラ式のものは走行速度が極めて低い上に、路面を損傷する可能性が大きいので自動車登録は不可能であり、セルフローダーやトレーラー等の貨物自動車に積載して現場へ運ばなくてはならない。

露天掘炭鉱で使用される超大型のドラグラインにはクローラの代わりに足のような機構を使って移動する「ウォーキングドラグライン」もある[10]
アタッチメント油圧ブレーカー油圧クラッシャーグラップル

油圧を利用できるため、各作業に特化した機構を備えたアタッチメントが登場している。
バケット

バケットの種類としては幅が狭い溝掘り用や広い軽作業用の他に以下の種類がある。
クラムシェルバケット
二枚貝のように開閉するバケット。掘削力が弱く硬質土掘削には適さないが、軟質土砂で深い穴を掘る作業に適している。国産では伸縮式アームと組み合わせて掘削深さ25メートルに達する機種が発売されている。クローラクレーンにクラムシェルを組み合わせたものより運転が容易かつ技能講習修了資格で操縦可能な上に、高価なワイヤーロープの損耗が僅少で、機動性にも優れているので、中小規模の深掘作業で採用が増えている。
法面バケット
幅が広く底部が平坦になっており、土手などの法面仕上げに使われる。
台形バケット
断面がV字型の溝を掘る時に使われる。
スケルトンバケット
底部が格子状になっており、解体コンクリートガラと土砂を振るい分けたり、水中岩石の掘削に使われる。
リッパバケット
爪を太く長くしており、軟岩の破砕や破砕された岩石の掘削に使われる。
バケットクラッシャー
油圧モーターとふたつのジョーを備えたバケットで、硬い建築資材を粉砕できる。
生コンバケット
円錐形で底部が開き、生コン打設に使われる。
スクリーニングバケット
バケット型回転ふるい機。木くずや砂利コンクリートガラ等の混合物の選別・分別に使われる。

シャフトスクリーン選別・攪拌・混合用に使用される。箱型バケットの中にディスクの付いたシャフトが2本?3本設置してあり、シャフトが回転し、バケットですくい込んだものを選り分ける。
解体

アタッチメント専用の油圧配管ホースを装備し油圧を確保した機種でないと操作する事ができない。打撃系アタッチメント(ブレーカー)の操作には車両系建設機械運転者資格の 解体が必要。

地域によって解体に用いられるアタッチメントが異なり、東北以北だと作りが頑丈であるため、ピラニアバケットが多く用いられるが、東北以南だと木造住宅でかつ瓦屋根が多いため、リッパバケットかワニラーもしくはグラップルが用いられる事が多い。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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