沖縄方言
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/ka/
[ka]コ
/ko/
[ko]ク
/ku/
[ku]   クィ
/kwi/
[kwi]クェ
/kwe/
[kwe]クヮ
/kwa/
[kwa] 
/g/ギ
/gi/
[gi]ゲ
/ge/
[ge]ガ
/ga/
[ga]ゴ
/go/
[go]グ
/gu/
[gu]   グィ
/gwi/
[gwi]グェ
/gwe/
[gwe]グヮ
/gwa/
[gwa] 
/t/ティ
/ti/
[ti]テ
/te/
[te]タ
/ta/
[ta]ト
/to/
[to]トゥ
/tu/
[tu]       
/c/チ
/ci/
[t?i]チェ
/ce/
[t?e]チャ
/ca/
[t?a]チョ
/co/
[t?o]チュ
/cu/
[t?u]      
/s/シ
/si/
[?i]シェ
/se/
[?e]サ
/sa/
[sa]ソ
/so/
[so]ス
/su/
[su] ショ
/sjo/
[?o]シュ
/sju/
[?u]    
/z/[* 2]
/zi/
[d?i]ジェ
/ze/
[d?e]ジャ
/za/
[d?a]ジョ
/zo/
[d?o]ジュ
/zu/
[d?u]       
/n/ニ
/ni/
[ni]ネ
/ne/
[ne]ナ
/na/
[na]ノ
/no/
[no]ヌ
/nu/
[nu]       
/r/リ
/ri/
[?i]レ
/re/
[?e]ラ
/ra/
[?a]ロ
/ro/
[?o]ル
/ru/
[?u]       
/p/ピ
/pi/
[pi]ぺ
/pe/
[pe]パ
/pa/
[pa]メB
/po/
[po]プ
/pu/
[pu]       
/b/ビ
/bi/
[bi]ベ
/be/
[be]バ
/ba/
[ba]ボ
/bo/
[bo]ブ
/bu/
[bu] ビョ
/bjo/
[bjo]     
/m/ミ
/mi/
[mi]メ
/me/
[me]マ
/ma/
[ma]モ
/mo/
[mo]ム
/mu/
[mu]       
 ッ
/Q/
[k,t,s,t?,?,p]

日本語共通語との対応関係

沖縄語(沖縄方言)では、日本語のオ段母音がuに、エ段母音がiに対応している。そのため多くの行で日本語のオ段とウ段、エ段とイ段は統合している。ただカ行イ段のキは中南部方言の多くでci(チ)に変化を起こしている[17]

またタ行・サ行ではウ段がイ段に統合している。すなわち、日本語のスはsiとなってシ・セと統合し、日本語のツはciとなってチと統合している(テはtiとなるためチと区別がある)。これらの行ではオ段のソ、トはsu、tuとなっても、ス、ツとの区別は残っている[17]

日本語共通語沖縄中南部方言備考
エ /e/イ /i/日本語のテに対応するのはチ [?i] ではなくティ [ti]
オ /o/ウ /u/日本語のトに対応するのはツ [tsu]ではなくトゥ [tu]、ドに対応するのはヅ [dzu] ではなくドゥ [du]
アイ /ai/エー /ee/
アエ /ae/
アウ /au/オー /oo/
アオ /ao/
キ /ki/チ /ci/チ [?i]。糸満方言ではキのまま[18]
ス /su/シ /si/シ[?i]?[?i]。首里方言の士族男子ではスィ[si]で、シ[?i]と区別[19]
ツ /cu/チ /ci/首里方言の士族男子ではツィ[tsi]で、チ[t?i]と区別[19]
ダ /da/ラ /ra/那覇方言ではダ行 [d] とラ行 [?] は合流した。
デ /de/リ /ri/
ド /do/ル /ru/
ハ行/h/ハ行/h/ただし津堅島、久高島ではパ行/p/[20]
リ /ri/イ /i/イリ /iri/ は変化なし。
アワ /awa/アー /aa/

アクセント

中南部方言はアクセントの型(パターン)を2種類持つ二型アクセント体系をもつ。例えば首里方言のアクセント型には平板型と下降型の2種類がある。下降型は、2拍の語では第1拍だけが高く第2拍が低いが、3拍以上の語では第2拍までが高く第3拍以降が低いのが原則である[21]。各型に所属する語彙は、九州西南部の二型アクセントと似ていて、下降型には1音節名詞の第1・2類、2音節名詞の第1・2類が、平板型には1音節名詞の第3類、2音節名詞の第3・4・5類が属す[22]。2音節名詞の第3・4・5類の一部の語は?iici(息)、kaagi(影)のように第1音節に長音が含まれており、この語群には琉球祖語のアクセントに想定されているA・B・Cの3つの語群(系列)のうち、C系列の語が対応している[23][24]
文法

古典日本語の文法との共通点が多く保たれている。例えば、終止形連体形の区別や、連体格「ガ」(首里方言では死語)、主格「ヌ」(共通語の「の」)、さらにそのほか、主格としての「ガ」「ヌ」の敬体と常体での使い分けが挙げられる。
動詞

動詞の語形変化は、動詞が何種類かの異なった語幹を持ち、それぞれの語幹に各種接辞が付くことで各活用形を生み出している。動詞の語形変化を見るのに、まずは日本語の「書く」にあたる動詞カチュン/kacuN/、「取る」にあたる動詞トゥイン/tuiN/について、いくつかの用法を示す。

那覇方言の「書く」「取る」の語形変化「書く」「取る」意味用法
語形日本語語形日本語
カカン/kakaN/書かないトゥラン/turaN/取らない否定
カクナ/kakuna/書くなトゥルナ/turuna/取るな禁止
カチブサン/kacibusaN/書きたいトゥイブサン/tuibusaN/取りたい願望
カチャビーン/kacabiiN/書きますトゥヤビーン/tujabiiN/取ります丁寧
カチュン/kacuN/書く。トゥイン/tuiN/取る。終止
カチュル/kacuru/書く…トゥイル/tuiru/取る…連体
カチ/kaci/書いてトゥッティ/tuQti/取って接続
カチャン/kacaN/書いたトゥッタン/tuQtaN/取った過去

以上より、「書く」の活用からはkak、kac、kacuという異なった語幹が抽出できる。また「取る」では語幹tur、tuj、tui、tuQtが抽出できる。
語幹

那覇方言の動詞の活用形を整理すると、基本語幹(kak・tur)、連用語幹(kac・tu(j))、派生語幹(kacu・tui)、音便語幹(kac・tuQt)の4種の語幹に、各種の語尾が付いて活用形が構成されていることが分かる[25]。音便語幹は接続語幹とも言う[26]。基本語幹からは未然形・命令形・条件形などが、連用語幹からは連用形・丁寧形が、派生語幹からは終止形・連体形などが、音便語幹(接続語幹)からは接続形・過去形などが形作られる。連用語幹は基本語幹に連用形語尾(i)が付いて末尾子音が変化したものであり、派生語幹は連用形にウン(をり)が付いて変化したもの、音便語幹は連用形に「て」が付いて変化したものである[25]。沖縄語の動詞活用は、日本語と同じ元来の活用形だけでなく、連用形+「をり」から変化した各活用形が加わっているため、日本語よりも複雑化している。なお、派生語幹を連用語幹と区別せずに記述している辞典もある[26]が、本項では区別して4種の語幹を立てて解説する。

語幹は、頭語幹と語幹末尾に分けることができる。以下に、那覇方言の各種動詞の4種の語幹の一覧を示す。那覇方言の活用の種類は第1種動詞から第3種動詞までの3種に分かれ、おおまかには日本語の五段活用動詞が第1種動詞、ラ行五段動詞と上一段下一段動詞が第2種に当たる。沖縄語では上一段・下一段動詞はほぼラ行五段活用化している。(以下の表で○印は無を表す。語形は全て音素表記。)

那覇方言の第1種動詞の語幹[27][25][28]日本語頭語幹語幹末同種の活用をする動詞
基本語幹連用語幹派生語幹音便語幹
書くkakccuckacuN(書く)、cicuN(聞く)、sacuN(咲く)、?aQcuN(歩く)
漕ぐkuugzzuzkuuzuN(漕ぐ)、?wiizuN(泳ぐ)、?oozuN(扇ぐ)
立つtatccuQctacuN(立つ)、?ucuN(打つ)、kacuN(勝つ)
育つsuratccucsuracuN(育つ)、tamucuN(保つ)、kucuN(朽ちる)
殺すkurusssuckurusuN(殺す)、meesuN(燃やす)、haNsuN(外す)
為る‐sssussuN(為る)、siQkwasuN(敷く)、hiQkoosuN(比較する)
呼ぶjubbburjubuN(呼ぶ)、tubuN(飛ぶ)、musubuN(結ぶ)
読むjummmurjumuN(読む)、numuN(飲む)、?amuN(編む)
眠るniNrzzutniNzuN(眠る)、kaNzuN(被る)、?aNzuN(あぶる)
見るNNrzzucNNzuN(見る)、kuNzuN(括る)

「呼ぶ」「読む」類の音便語幹末rや、「眠る」「見る」類の基本語幹末rは、平安座方言や首里方言では、dである[29][30]。また「読む」類の派生語幹末muは、首里方言ではnuである[31]。「殺す」類の派生語幹末suは、首里方言ではsjuである[32]。なお「為る」「見る」は首里方言では不規則活用をする[33]

那覇方言の第2種動詞の語幹[27][25][28]日本語頭語幹語幹末同種の活用をする動詞
基本語幹連用語幹派生語幹音便語幹
取るtur○/jiQttuiN(取る)
刈るkar○/jitkaiN(刈る)、nubuiN(登る)、?araiN(洗う)
蹴るkir○/jiQc/(Qt)kiiN(蹴る)、?iiN(入る)、hiiN(放る)、ciiN(切る)
煮るnir○/jicniiN(煮る)、ciiN(着る)、?iiN(言う)、iiN(座る)

※第2種、第2-2種動詞の連用形では連用語幹の左側(○)、丁寧形では連用語幹の右側(j)を使う。

那覇方言の第2-2種動詞の語幹[27][25][28]日本語頭語幹語幹末同種の活用をする動詞
基本語幹連用語幹派生語幹音便語幹
植える?wiir○/j○t?wiiN(植える)、siiN(饐える)、miiN(生える)


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