池田屋事件
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御所焼き討ちの計画を未然に防ぐことに成功した新選組の名は天下に轟いた。逆に尊攘派は、吉田稔麿北添佶摩・宮部・大高又次郎石川潤次郎杉山松助松田重助らの逸材が戦死し、大打撃を受ける。落命した志士たちは、三条大橋東の三縁寺に運ばれて葬られた。

長州藩は、この事件をきっかけに激高した強硬派に引きずられる形で挙兵・上洛し、7月19日8月20日)に禁門の変を引き起こした。

新選組はこの事件により知名度が上がったため、土方や斎藤らが自ら江戸へ向かい隊士を募集するなど勢力拡大に動くこととなった[3]
異説

近年の研究では、「御所放火計画」「松平容保暗殺」「天皇拉致」などの志士側の陰謀は、会津藩・桑名藩・新選組など幕府方による主張であり、会津藩・桑名藩・新選組の実力行使正当化や尊攘派の信用失墜を狙ったものであると言う説もある。その理由として、これらの計画は幕府側の記録にはあるものの、志士側の記録には一切なく、桂小五郎が記した『木戸孝允日記』にも、池田屋での会合は"新選組に逮捕監禁されている仲間(古高俊太郎)を救うための会合"としか記されていない。

ただし池田屋事件の前年、文久三年(1863)八月十八日の政変以降、長州に都落ちしていた尊攘派公家の三条実美・久留米藩の真木和泉・長州藩の来島又兵衛らにより「武力をもって京都に進発し長州の無実を訴える」という進発論が盛んに唱えられていた。

この進発論への令は池田屋事件の前日、6月4日に長州藩より発せられている。

新選組が古高俊太郎邸を襲撃した目的は、当初、古高邸を京の定宿としていた宮部鼎蔵の捕縛であったが、宮部は新選組に踏み込まれる一歩手前で古高により逃がされてしまった事で、新選組は急遽捕縛対象を宮部から古高1人に切り替え、拷問で宮部の逃亡先を割出そうとしたが、古高は宮部の逃亡先までは把握していなかった。

それゆえ永倉新八の証言通り、数隊に分かれ四条から三条の旅籠等を虱潰しに探索し、結果近藤隊の約7?10名が旅籠池田屋で宮部鼎蔵と、共に居た志士達を偶然発見した。

桂の手記によると、池田屋での会合は古高捕縛後に急遽決定されたもので、事前に新選組が場所を察知していたとは考えにくい。永倉新八は手記『浪士文久報国記事』で「片っ端から」探索した旨を述べており、また事件直前に祇園の井筒屋に新選組が探索を行った記録があるため、実際には会合場所がどこであるかは把握しておらず、多くの場所を探索していたと考えられる。

近藤の書簡や永倉の手記によると、当日は近藤隊10名、土方隊12名、井上隊12名の三手に別れて探索を行っており、応援に駆けつけたのは井上隊である。

近藤の書簡によると、池田屋に乗込んだのは近藤、沖田、永倉、藤堂、近藤周平の5名ということになっているが、永倉の手記や、事件後の褒賞者名簿から推定すると、近藤、沖田、永倉、藤堂、奥沢、安藤、新田、谷万太郎武田観柳斎浅野薫の10名である。

また、近藤は書簡の中で、当日は病人が多く人手が少なかったとしているが、事件直前に脱走者が多く出ていたためとする説がある。

司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』などでは、山崎が薬屋に変装し事前に池田屋に潜入して探索し、突入前に戸のを開けたことになっている。しかし、山崎の確報があったならば最初から主力を池田屋に差し向けたはずであり、山崎の名は褒賞者名簿にはないことから、実際は屯所残留組であったと推定される。
新選組出動隊士一覧

池田屋事件に出動した新選組隊士は以下の通り(諸説有り)
近藤隊(10名)

近藤勇

沖田総司

永倉新八

藤堂平助(重傷)

武田観柳斎

谷万太郎

浅野薫(藤太郎)

安藤早太郎(重傷、のち死亡)

奥沢栄助(重傷、当日に死亡)

新田革左衛門(重傷、のち死亡)

土方隊(12名か24名)

土方歳三

井上源三郎

斎藤一

原田左之助

島田魁

谷三十郎

川島勝司

葛山武八郎

蟻通勘吾

篠塚峰三

林信太郎

三品仲治

松原隊(12名)

諸説有り。井上隊とも、土方隊とも。

松原忠司

宿院良蔵

伊木八郎

中村金吾

尾関弥四郎

佐々木蔵之助

河合耆三郎

酒井兵庫

木内峰太

松本喜次郎

竹内元太郎

近藤周平

屯所守備

山南敬助

尾関雅次郎

柳田三二郎

山崎丞

尾形俊太郎

山野八十八

なお、当時所属していた馬詰信十郎・馬詰柳太郎はこの日に脱走した為に不参加。
尊王攘夷派志士
池田屋事件で襲撃された主な志士


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