江戸川乱歩の美女シリーズ
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[13]

こうした二時間ドラマにおける時間の変わり目で視聴者をつなぎとめる手段として井上監督は、「ヒッチコックの『サイコ』の浴室惨殺シーンからヒントを得て、必ずヌードを出すことにした。」と語っている[13]

しかし女優のヌードを撮影するに際しては、女優のほとんど全員はそう簡単にヌードを了承することはなく、説得から撮影に至るまで監督は常に多大な苦労と恐怖にさいなまれた。以下は「美女シリーズ」を始めとした映画・テレビドラマにおけるヌードの撮影に関する井上梅次監督の述懐である。(ヌード・シーンの撮影は)監督が望んでいるという口実でプロデューサーが交渉し、後は監督と女優の直談判に任されてしまうから、監督にとっては大変苦労の多い仕事である。

(中略)

女優は半分肯定し、半分否定しながら現場に臨むのだから、ちょっとしたことで心証を害して、

「いや!……」

と言われればそれで終わりになってしまう。

(中略)

監督は脱がすまでに熱っぽく状況説明をして、なぜこのシーンが必要であるか、ここに賭けた意気込みを女優に感じさせるテクニックが必要である。そして芸術的な雰囲気をさらに高揚させて少しずつ、芝居の中で脱がしてゆくのだ。こうして有名女優が乳房を見せても、スタッフは好奇のまなざしを隠し、無関心をよそおって黙々と仕事を続けなければならない。

「カット!」の声が掛かると、付き人または監督自らその裸体に衣装を着せて、芝居から解放されたときの羞恥心を少なくする配慮も必要である。どこでゴネられるか、どこで拒否されるか、こんな恐怖におびえながら、ただただ監督は仕事に没入したフリをしてゆく。細かく気を配りながら執拗に脱がしてゆくテクニックは、なかなか新人監督には難しいことであるが、どんなテクニックよりも、監督のそのシーンに賭けた情熱が一番効果があることは確かである。[13]
明智の衣装

ニヒルで渋い天知でしか着こなせないような柄のスーツやジャケット、コート類は、当時天知プロ所属で7作品に出演している岡部征純によれば、それらは皆、天知の私物だったということである。

捜査中と変装を解いた後、また場面に応じてと一話につき数着使用されるのが通例である。
美女シリーズ以外の江戸川乱歩作品

「美女シリーズ」とは別に「土曜ワイド劇場」では江戸川乱歩原作の作品を制作している。
『名探偵・明智小五郎シリーズ』
稲垣吾郎を明智役としたシリーズ。『陰獣』と『三角館の恐怖』を原作として制作し、それぞれ1998年2000年に制作された(変装を解くシーンもあり)。
明智小五郎VS金田一耕助
2005年制作。松岡昌宏が明智役、長瀬智也金田一耕助役を演じた、ドラマオリジナルの作品。明智は探偵ではなくプロファイリング専門家の大学教授という設定で、変装を解くシーンもない。サブタイトルには、「妖しい傷痕の美女」がつけられていた(天知茂版『陰獣』と酷似している)。
登場人物
明智小五郎
『D坂の殺人事件』で初登場。当時は書生で間借り人であり、喫茶店でアイスコーヒーを飲むのが楽しみだった。数々の難事件を解決してきた”探偵の中の名探偵”である。探偵小説好きで、四畳半しか無い下宿先の自室は、四方を寝る場所もないほどの本の山に埋められている。愛煙家で、歳はこの時点では二十代と見られていた。乱歩は明智の起用をこの『D坂の殺人事件』一作だけにするつもりでいたが、評判が良かったため、『心理試験』で再登場して以後、乱歩の代表的探偵キャラクターとなった[14]
文代
明智の美人助手。原作では「
魔術師」の玉村文代で、明智と結婚する。
小林少年
明智の助手。
波越警部
警視庁刑事部捜査一課の警部。明智の親友。
天知茂版
キャスト(天知茂版)
明智探偵事務所(天知茂版)

明智小五郎(探偵) - 天知茂

文代(明智の助手) - 五十嵐めぐみ(第1作 - 第19作)[15]高見知佳(第20作 - 第23作)、藤吉久美子(第24作・第25作)

小林少年(明智の助手) - 大和田獏(第1作)、柏原貴(第6作 - 第19作)、小野田真之(第20作 - 第25作)

警察関係者(天知茂版)

恒川(警視庁捜査一課 警部補・明智を頼りにしている) -
稲垣昭三(第1作)

田村(警視庁捜査一課 刑事) - 北町嘉朗(第1作・第4作 - 第9作)、宮口二郎(第2作・第3作)

波越(警視庁捜査一課 警部) - 荒井注(第2作 - 第25作)

ゲスト(天知茂版)

美女役については★で表す。
第1作「氷柱の美女」(1977年)


三谷/谷山三郎(グラフィックデザイナー) -
松橋登

岡田光彦[注 4](画家) - 菅貫太郎

菊子(柳家の家政婦) - 野口ふみえ

斎藤(柳家の執事) - 稲川善一

老婆 - 神田時枝

茂(倭文子の息子) - 荻野尋

主婦 - 村上記代

浮浪者 - 小田草之介

アパートの人 - 篠原靖夫

運転手 - 喜田晋平

箱根の刑事 - 羽生昭彦

谷山二郎(故人) - 加島潤

柳倭文子(財産家の未亡人) - 三ツ矢歌子[3]

第2作「浴室の美女」(1978年)


奥村綾子(源造の娘)/ 玉村妙子 - 高橋洋子

玉村妙子(善太郎の娘)/奥村綾子 - 夏樹陽子

玉村一郎(善太郎の息子) - 志垣太郎

福田得二郎(善太郎の弟・宝石商) - 高桐真

佐伯(玉村家の家政婦) - 白石奈緒美

音吉(玉村家の庭番) - 北町嘉朗

刑事 - 池田駿介

ミサコ(幸右衛門の妾) - 水原ゆう紀

看護師 - 服部由美子

玉村善太郎(富豪) - 佐野周二

奥村源次郎(源造の父) - 加島潤

玉村幸右衛門(善太郎の父) - 渡辺紀行

福田家の家政婦 - 村上記代

刑事 - 篠原靖夫

奥村の部下 - 山崎純資

福田家の使用人 - 羽生昭彦

奥村の部下 - 沖秀一

魔術団の団員 - 長沢政義

榛名湖のホテルのフロント係 - 加藤真琴

奥村源造(魔術師) - 西村晃

第3作「死刑台の美女」(1978年)


宗方京子(隆一郎の妻)/山本早智子(小男)[注 5] - 松原智恵子

北園竜子(庄太郎の異母妹) - 稲垣美穂子

川手民子(庄太郎の長女) - かたせ梨乃

川手庄太郎 - 増田順司

川手雪子(庄太郎の三女) - 結城マミ

川手ハル子(庄太郎の次女) - 三崎奈美

須藤邦夫(竜子の愛人) - 加地健太郎

木島(宗方博士の助手) - 東村元行

川手家の使用人 - 小田草之介

警察官 - 喜田晋平

岡本(川手家の家政婦) - 村上記代

さと子(北園家の使用人) - 紺よし子

和尚の妻 - 谷よしの

警察官 - 土屋靖雄

和尚 - 青沼三郎

鑑識課長 - 山本幸栄

刑事 - 羽生昭彦

警察官 - 沖秀一

温水プールの職員 - 篠原靖夫

トラック運転手 - 加藤真琴

劇中劇の川手庄兵衛 - 中村正人[16]

劇中劇の山本 - 下坂泰男(下坂亮介)[16]

劇中劇の山本満代 - 小野塚千枝子[16]


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