江戸前の旬
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ヒラマサからは、食べるものを心から慈しみ安堵させる力があると称され、その立ち振舞いから握りの姿形は菩薩のようだと表現された。前述のように優しい性格ではあるが、来店した女優へのインタビュー目的で大量の報道陣が店内に雪崩れ込んで店内の客にぶつかるなど迷惑を掛けた時は「ふざけんなてめえら!!」と怒鳴って水をぶっかけた事もあり[8]、後年にはからかい目的で来店した同業者[9]を寿司の出来でやり込めたうえ、べらんめえ口調で退散させた事もある。
柳葉 藍子(やなぎば あいこ=旧姓・朝岡)
単行本第37巻「マトウダイ」にて初登場。築地場外市場に店を構える【朝岡水産】の娘で、小さなころから店頭に立っていた。見かけは綺麗だがガラッパチで煮ても焼いても食えないキャラクターから「金魚」の異名も。紆余曲折を経て旬のプロポーズを受諾、結婚した。旬の6歳年下だが、「旬くん」と呼ぶ[10]。初めて「柳寿司」を手伝った際に、義姉の真子から渡された君江の着物姿をヒラマサに、「着物姿が君江にそっくり」と評された。普段から女将として店頭に立つが、自身も食い意地が張っており[11]寿司や魚が大好き。貴重な寿司ダネが入ると旬にねだることがしばしば。その食い意地が旬の料理の腕前とかみ合っていることもあり、夫婦仲はおおむね良好で、根っからの寿司バカで女心がいまいちわからない旬にすねることはあるが、家庭にヒビが入るほどの喧嘩は一切したことがない。思ったことをすぐ口に出すクセがあり、それが客に失礼な態度になってしまうことで、よく旬に窘められている。藍子自身は料理はあまり得意な方ではなく、みどりのために作った弁当はお世辞にもきれいとは言えないものだった。一方でシャリ切りなどは仕込まれたこともあってしっかりできるようになっており、作業手伝いをするために調理場に入ることもある。「旬の役に立ちたい」と「義父(鱒之介)に美味しいフグチリを食べさせたい」という思いから、「柳寿司」での女将の職務の傍ら、旬や弟の一郎と共に、東京都のふぐ調理師の資格を取得するため、「さかい」にて哲也の下で修業をしたのち、試験に臨んだ。受験後に妊娠三ヶ月であることが判明した。試験は不合格だったが、その後にみどりを無事出産した。女将として良質なネタを安く提供しすぎる旬の商売っ気の無さに気を揉み、時には怒りを表す事もあるが、それも旬のいい所と受け入れている節もある。
柳葉 みどり(やなぎば みどり)
旬と藍子の長女。2011年4月2日午前0時1分誕生。体重3700グラムの女の子。名付け親はヒラマサ。名前の由来は、ヒラマサ曰く「『李謐と孔藩』の故事から、勤勉さと謙虚な人間になって欲しい」という願いを込めたとのこと。幼少期は父の旬を「とーと」または「とうと」、母の藍子を「まんま」、鱒之介は「じいじ」、和彦は「にいに」と呼んでいた。また幼少期の一エピソードのみ、母藍子の呼び方を真似して父を「旬くん」と呼んだことがある[12]。母親の藍子と同じく、食い意地が張っていて母と食べ物の取り合いをすることもしばしば。予防接種に欠伸をするなど豪快な性格だが、一方でいじめられている友達や困っている人を助けたり、ホタルイカが死んだことに涙を流す優しい一面もある。築地第一幼稚園を卒園後、都立築地小学校に入学。大河、美和、航とともに、魚について勉強したり、寿司を食べたりすることを目的とする「おさかなクラブ」を結成した。将来の夢は「柳寿司」四代目になること[13]で、包丁さばきも、同級生が職人技と舌を巻くほど上手くなり、和彦が舌を巻く程の、寿司の工夫を考案する素質も併せ持っている。小学校卒業後の進路を話し合うようになる5年生の春、鱒之介に弟子入りを請い、「鱒之介最後の弟子」として修業に入った(単行本第113巻「みどりの決意」)[14]。これにより父の旬とはきょうだい弟子の関係となった。彼女自身の見た夢の中ではあるが、作中ではグラマラスに成長した大人の寿司職人としての姿が描かれた事がある。中学校入学の2024年4月以降は彼女と中学の同級生(彼女同様実家が寿司屋)がメインとなるエピソードが多くなっている。
柳葉 鱒之介(やなぎば ますのすけ)
旬の父。「柳寿司」の二代目で昭和の大名人と言われた寿司職人。ヒラマサからは、握る寿司は食べるものを圧倒する絶対的な力を持っていると称されており、不動明王のような力強さを持っている。「魚を扱う者は魚に生かされている」、「しっかりとした技・舌・心を持って握ったモノは、客の心を打つことが出来る。それは、土台を支える江戸前の技があったればこそ」という思いから、江戸前の心を重んじていて、客の前では江戸弁をしゃべることがある。「柳寿司」に来店し、一度でも交流したことがある客は、幾年過ぎても忘れない。一人称は主に「俺」、2022年以降は「わし」、客を初めとして目上の人物に対しては「あっし」を使っている[15]。寿司職人としての旬の師匠に当たる存在。昔気質で短気なところもあり、理不尽ではないとはいえ体罰を行うこともあった。基本的に江戸前にない寿司を旬が扱うことを認めないなど頑固な面があるが、江戸前寿司にはないサーモンを違和感を覚えながらも客のために握ったり、他の職人の新たなアイデアを見て自らの認識を改める柔軟な一面もある。これは彼自身が若い頃から従来の江戸前寿司にないネタに挑戦してきたという事情もあり、後述の「寿司魂」にてその様子が描かれている。家族の人生の重大な決断に対しては、本人の意思を尊重する方針を採っている。作中では、君江の第四子(のちの旬)の出産、旬が寿司職人になること、真子の哲也との結婚[16]などを受け入れており、鱚一郎の逆恨みによる家出や鮭児の放浪・旅立ちに対しても口出しすることはなかった。みどりが11歳で寿司職人になることを決めた際には、「まだ子供だから今から将来を決めなくてもいい」と諭すも、みどりの強い意志を感じ取り、「最後の弟子」として弟子入りを認めている。旬が高校3年生の時に病に倒れて(プレストーリー『銀シャリ!!』での出来事)以来、右半身が不自由になっており、長時間寿司を握り続けたりすると右手が震える症状がでることがあり、月に一回通院しつつも寿司職人を続けていた。みどりの誕生を機に引退の時期を見計らっていたが、手の甲に染みが見つかり「寿司職人が人様の前に出せないような手になった時は潔く引退する」という深川の親方こと新見清次郎の教えを守り、67歳で引退した[17]。引退以降、「柳寿司」の営業中は旬・藍子夫婦の代わりにみどりの面倒を見ており、彼らの子育てをサポートしている。みどりの幼稚園の卒業式には旬に代わって出席している。その後、九条に【九条料理専門学校】の日本料理の講師となることを請われる。無学な上に口より先に手が出る性分を理由に講師になることに難色を示したが、「体罰が必要だと思ったらそうして下さい。その責任は自分が負います。手間を惜しまず損得抜きでお客さんを思いやる事の出来る真心を持った職人として世の中に送り出したいんです」と九条に言われ、講師になることを承諾した。旬を含めてそれまでの弟子には「技術は盗むもの」として握りの型を初めとした具体的な技術を教えなかったが、学校では直接惜しみなく生徒に教えた。生徒からは「鱒っちゃん先生」と呼ばれて慕われ、ついには一度も生徒に体罰を加えることはなかった。11年近く勤めた末に年齢を理由に退職した後、みどりの弟子入り志願を受け入れて彼女への指導を始めた。また、旬が「俺たちが子供のころはあんなに怖かったのに、孫には甘い」というなど、昔に比べて物腰が柔らかくなっている[18]。特別編『寿司魂』では20歳(1964年の物語開始時)の鱒之介が主人公であり、後に『江戸前の旬』本編で良二郎が語った武勇伝も数多く残している。また清次郎に紹介された中学を卒業した佐原直哉を一人前の寿司職人に鍛え上げた。なお『江戸前の旬』本編では2002年に鱒之介の還暦祝い(実:58歳)が行われており、生年にズレが生じている[19]
柳葉 君江(やなぎば きみえ=旧姓・紺野)*(故人)
旬の母。長野県出身。1989年9月3日、旬が小学5年生の時に死去。享年42歳[5]。「柳寿司」の二代目女将として直哉や子供たちを温かく見守り続けた。穏やかな性格。結婚前は銀座のデパートで働いていた。父親は開業医。旬を妊娠した時、既に子供を生むには母体の生死に関わるほど体が弱っていたが、「この子は神様からの贈り物」と旬を出産した。しかし、そのことがきっかけで真子の結婚式の時まで君江の両親は旬を逆恨みしていた[20]が、後に旬の優しさと君江直伝の旬の笹寿司に感動し、己の過ちを認め心の中で旬に謝罪した。君江の母は、娘の死の真相を旬に明かすこと無く息を引き取った。なお、祖母の通夜の時に、君江のお骨は鱒之介によって分骨した物を祖父に渡された。
柳葉 鱚一郎(やなぎば きいちろう)
鱒之介と君江の長男(第一子)。1968年9月25日生まれ。名付け親は節子。【旭東物産】食品開発部勤務。母の死は父がしっかり看病しなかったせいだと反発し、実家を離れ商社マンとなった。しかし皮肉にも食品開発部に配され、家業と向き合うこととなった。後に父とは和解している。単行本第55巻「最高の贈物」では、鱒之介と君江に愛されていたことを誕生日に知り、涙ながらに感謝した。ちらし寿司をカップに入れたカップちらしを開発し、食品開発部部長となった。また、銀座に社命で創作寿司の店「SUSHI BAR F.E.Island」を開店。大盛況となる。嘗て、鱒之介が運動会に出る自分たちのために巻物を作っていたことに感動し、旬に教えを請い、巻物を特訓した。その想いは、息子の誠にしっかりと伝わっていた。妻の佳菜子とは大学の同期。その時の恋敵の応援で口説き落とした。
柳葉 佳菜子(やなぎば かなこ)
鱚一郎の妻。旬の義姉。神奈川県の三浦出身。『銀シャリ!!』では、「朋子」という名になっている。初期の容姿は若かったが、年月の経過もあり2009年に登場した際は、夫の鱚一郎と比べていきなり老け込んだ顔となっていた[21]
柳葉 誠(やなぎば まこと)
鱚一郎と佳菜子の長男(第一子)。旬の甥。鱒之介にとっては初孫であり、唯一の男系の男孫[22]。海苔が縁で東堂会長の孫・春彦と友達になる。また、友達の相談に良くのるなど懐は深い。七五三の時に鱒之介と鱚一郎が仲違いしていたため、お祝いをしていなかった。しかし、恵と祐樹の七五三の時に、母である佳菜子の実家の風習に倣い、鱒之介が贈った立派な着物を着て七五三を祝われた。クラスメイトの帆立恵美に促されて受験勉強を頑張った結果、志望校(恵美と同じ学校)に合格した。小学生時代は旬を差し置いて「柳寿司」の三代目になると言っていたが、次第にその意志は薄れていく。その後、恵美と共に一流大学のM大法学部に進学。弁護士を目指していたが自分には無理と察し、在学中に【スーパー丸高屋】にアルバイトとして入社。卒業後にそのまま就職した。
柳葉 恵(やなぎば めぐみ)
鱚一郎と佳菜子の長女(第二子)。旬の姪。佳菜子が「柳寿司」に来る途中で破水したため、帝王切開により誕生した。
柳葉 鮭児(やなぎば けいじ)
鱒之介と君江の二男(第二子)。1970年5月6日生まれ。名付け親は鱒之介。放浪癖があり長いこと一つ所にいられない性格。18歳の時から家を離れて、大道芸をしたり偽薬を売ったりしながら世界中を回っているが、たまに家に帰ってくる(確認できるところでは、母・君江の十三回忌(夢に君江が出てきた)と妹・真子の結婚式(リムジンで登場)、そして旬の結婚式(風呂上がりを泥棒と勘違いした藍子にモップでど突かれた。その後、圭斗たちと協力して旬と藍子のサプライズ披露宴を企画した))。眉毛の形が兄妹で唯一鱒之介似である。旬の結婚式後は長野で車エビの養殖に従事していたが、そこの社長に教えられた粗放養殖を東南アジアに広めるため、家族と日本に別れを告げて旅立っていった[23]
酒井 真子(さかい まこ=旧姓・柳葉)
鱒之介と君江の長女(第三子)。旬より3歳年上。料理雑誌の編集者だったが、日本料理人の酒井哲也と結婚し退職、店を手伝う。当初は高級店の娘でないという理由でで哲也の母に結婚を反対されていたが、鱒之介が説得したことで結婚を許された。後に祐樹を出産した。その際に、夫の哲也が仕込み、鱒之介と旬が握った握り寿司に感動した。『銀シャリ!!』では、君江がお寿司屋さんのケーキとして出した卵焼きで鱒之介と和解した。後に、『江戸前の旬』本編では、その卵焼きで(父の日が哲也との結婚式であったため)、一日早く鱒之介に感謝の念を込めて出した。君江の両親には、結婚式の時に着用した白無垢姿を「35年前の君江の花嫁姿を見ているようだ」と評された。旬と藍子の結納の時は、柳葉家の人間として出席した。
柳葉 鮃蔵(やなぎば へいぞう)*(故人)
「柳寿司」の初代。宮城県の松島の農家出身[24]。鱒之介の父親。旬の祖父。太平洋戦争中、衛生兵の後に米軍の捕虜になっていたが、昭和21年、日本に帰国し、東京・有楽町の寿司屋横丁に、「柳寿司」を開店。
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