江原正士
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一般的な話しのスピードより速く喋ることもできるため[9][40]、普段のスピードを仮定して翻訳されている台本では台詞が足りなくなることが多く[9][40]、そのときは台詞を現場で足してもらったり自分で足したりするという[9]。アドリブも得意であり、数々の作品で披露している[27][41][42][43]。演じる声の高さは仕込みと呼ばれる演じる準備の段階で決め、その後は場面ごとに変えることはないといい[9]、その理由を「声の高さにこだわりすぎ、伝えたいニュアンスが飛んでしまうことを避けるため」であると語った[9]。他に『ターミネーター2』のT-1000など全編を通して台詞が少ない役を担当するときでも、その場の空気を感じるため、朝から晩までスタジオにいて緊張感を保つといい[27]、静かな役の場合は、はじめは静かにしてだんだんと声量を上げていくとも述べた[27]
吹き替えに関して

吹き替えを演じる際は、演じる前に役者の事を十分にリサーチした上で演技を行う[44]。役の入り込み方として、台本が届いてから何度も読み返していくとだんだん演じている俳優になりきっていくことができ、さらにそこからその俳優が演じようとしているキャラクターになることができると語った[9][28]。本番に向けての練習方法として、台本を各シーンごとに集中的に見て、画面を見ながら台詞を言えるようにしているという[27]。また、吹き替えるときはただ俳優の口の動きとリズムを合わせるリップシンクだけ重視するのではなく「ドラマ性も失わないようにすること」、「ドラマを再度作る」意気込みが大切だと語っている[21][15]

収録では、ライブ収録という複数の声優が掛け合いで演じることが好きだという[21][28]。ライブ収録時の感覚がジャズグルーヴ感に近く[45]、自分と映像と相手が三位一体となって呼吸し、それが合った瞬間にグルーヴが生まれるとも語り、演じているその相手に感動するという[21]。1人で収録することが多くなった現在でもライブ収録を意識し、何回も収録することがあるという[21]。吹き替え製作は1本の作品を創作することに等しいかという質問がされたときは、芝居のリアリティを掘り起こすという意味では完全な創作であると語った[27]。さらに、吹き替えはスタッフとキャストのチームとして製作するもので[9][12][27][46]、自分たちは「最初のデータ作り」を担い、その後ミキサーなどスタッフの手によって作品となる相互作業で成り立つと話している[12]。そして、「データがしっかりしていれば、どうにでも料理できる」とした上で、自身のポリシーとして「最初のデータ作りをちゃんとやる」ことを挙げて[12]、キャストだけではなく製作スタッフからも意見を聞いたほうがいいとも述べている[9]

フジテレビで放送されていた『ゴールデン洋画劇場』では様々な役の吹き替えを担当していたが、二枚目の役はもっと若いころにやりたかったと語っている[27]。中でも『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のトム・クルーズを担当することになったときは、普段担当することがないタイプであるため焦ったといい[27]、この役について本人は「(ヴァンパイアという)お化け」として割り切っているという[9]。しかし個性派俳優を担当することが多く[47]正統派の二枚目俳優を担当することが少ない江原自身は、『スピード』のキアヌ・リーブスなどの役が来ると嬉しいとも語った[9][注 3]。ゴールデン洋画劇場で演じた中で気に入っている作品は、ジェームズ・ウッズの『サルバドル/遥かなる日々』とロビン・ウィリアムズの『グッドモーニング, ベトナム』だと答えた[27]。前者はたくさん喋った最初の作品で原語でもアドリブが多かったため、吹き替えでもかなり台詞を足したといい、江原本人はウッズの最高傑作だと語っている[27]。後者は、アメリカの正義を表現するため「オレたちは君たちを助けに来たんだ!」という台詞をアドリブで入れ、それが放送で使われたことが嬉しかったという[27]
担当俳優について
トム・ハンクス
声を担当することが特に多く、専属(フィックス)として名高いトム・ハンクスに関しては、初めて演じた時から「コメディのイメージもありますが、単なるコメディ俳優じゃない。心のパワーが強くて紳士だし、幅がある人だな」と、根底にある人間の琴線に触れるところをしっかりと持った人だと感じ[12]、そこから演技に何度も感服を受けて、好きになった俳優と語っており[28]、30作品以上担当してきた現在でもその演技に圧倒されているという[48]。初担当となった『フォレスト・ガンプ/一期一会』では特異な役であったが「大げさに演じず、サラっと軽め」に役を作り、反応が遅い部分や相手に対して信頼感が強すぎる箇所は強調して演じたという。同作はソフト版とフジテレビ版の計2回吹き替えを担当したが、カットの無いソフト版の場合は、「頭からずっと観て頂けるのでだんだん心情も伝わっていきやすい」ことから自然に演じたが、地上波放映用であるフジテレビ版は間にCMが入ることから、「キャラクターをちょっと強めに出しました」と明かしている[12]。以降、『レディ・キラーズ』などのコミカルな演技から『ダ・ヴィンチ・コード』『プライベート・ライアン』のようなシリアスな演技にかけてまで声を務めており、ハンクス独特の鼻声の喋りが、本人そっくりに声を吹き替えていると評価が高い。吹き替えを演じる上で、最も集中力を必要とする俳優の1人としてもハンクスを挙げており、「よくわからない喋り方をしているようで、実はものすごくコントロールしていて、役への集中力もある」、「それを合わせないと平板になってしまう」と理由を語った[9][12]。自身に近いと感じる俳優は誰かという質問でも、江原はハンクスだと答えている[12]。また、ハンクスを演じる時の秘訣について「トムはとにかく役作りをして演じているので、映像を見てセリフを喋りながら、トムの演じたいキャラクターに同化するため、時間をかけて作品の目指してるところを探っていくんです」と明かしている。他の俳優との取り組み方の違い、ハンクスの吹替声優を務めることについては「時間をかけてトムが演じたいキャラクターに同化し、作品の目指している所を探っていくと、そのうち体に彼が沁みてくるというか、呼吸をつかめる瞬間がくるんです。それと同時に各シーンの意味するところが何となく掴めてくるので、後は時間の許す限り、これらを繰り返して本番に挑む。ざっとこんなカンジです」と語っている。江原はハンクスの声優を25年以上に渡って務めているために幅広い層に親しまれており、「トム・ハンクスと言えば江原正士さんの声が思い浮かぶ」という声も多く、「トム・ハンクスのコミカルな演技からシリアスな演技まで、どんなトムでも演じ分けている」と幾多の洋画ファンから支持されている[48]。江原に先駆けてハンクスの代表作の多くを吹き替え、また『グリーンマイル』(フジテレビ版)では江原演ずるハンクスと敵対する助演のダグ・ハッチソンの声を務めた山寺宏一も、「特に、役者の中でトム・ハンクスが大好きで、自分に吹き替えが来た時はものすごく嬉しかったんですけど、江原さんが吹き替えされている声を聞くとトム・ハンクスが喋っているようにしか聞こえません。


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