永劫の探究
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山本弘は本作に「同じパターンの話を五回続けて読むのは少しつらい・・・・・・」と微妙なコメントを出している[8]

平井呈一は高く評価しており、「英米恐怖小説ベスト・テン」で現代編の4位に挙げている[9]。平井は「オーガスト・ダーレット」「ズールーの足跡(The Trail of Cthulhu)」と訳した。
略説
主人公
ラバン・シュリュズベリイ博士
オカルティスト・
哲学教授・古代神話学術の権威で、かつてはミスカトニック大学の職員だった。住所はアーカムのカーウェン・ストリート。1915年に姿を消し、1935年に突如帰還する。黒眼鏡の下には両眼球が無い。全盲だが霊的な知覚により不便なく行動する。セラエノ大図書館の石板から知識を学び、クトゥルフに立ち向かう。
アンドルー・フェラン
1938年時点で28歳。ハーヴァード大学で言語学を修めた。文武に優れ、博士に秘書(通訳・護衛)として雇われる。2年間博士と行動した後の2部では、先輩としてエイベルを引っ張っていく。
エイベル・キーン
1940年時点で27歳。ニューハンプシャー出身、アーカム在住の神学生。特技はアマチュア催眠術。神学徒だからこそ邪悪について思うものがある。キリスト教の視点に立っており、旧神への旧支配者の謀反をへの悪魔の謀反に重ねて見ている。
クレイボーン・ボイド
クリオール文化の研究家。旧住所はミシシッピ州ナチェスであり、194X年時点ではルイジアナ州ニューオリンズ在住。死んだ大叔父アサフ・ギルマンの研究成果を引き継ぐ。夢に現れた博士に導かれ、南米ペルー奥地のクトゥルフ教団の指導者抹殺と拠点破壊を試みる。
ネイランド・コラム
怪奇作家。ロンドンソーホー在住。行動派の作家であり、探検旅行の経験もある。194X年に怪奇小説『異世界の監視者』を発表したことで、邪教団に目を付けられる。博士に同行してアラビア砂漠を訪れ、ルルイエの位置情報を得る。
ホーヴァス・ブレイン
最年少・1947年時点で20歳ほどの若き考古学者。ムー文明の実在を信じている。シンガポールで博士と4弟子に出会い、同行する。インスマスのウェイト家の末裔である。終章に至り、血が海底行きを誘うが、行けば「裏切者ホーヴァス・ウェイト」である自分に命はないことを悟る。クトゥルフに興味を持ったのも血筋のせいという、救いのないものであった。
時系列・地理

1915年:シュリュズベリイ博士が
アーカムから姿を消し、セラエノに行く。

1925年:『クトゥルフの呼び声』。ルルイエが一時的に浮上する。

1927-1928年:『インスマスを覆う影』。アメリカ軍が、インスマスの人外達を駆逐し、事実をもみ消す。

1935年:20年間消息を絶っていた博士が、突然帰還する。

1938年:第1部『アンドルー・フェランの手記』(1944年発表)。ペルーの地底湖とルルイエを爆破する。

1940年:第2部『エイベル・キーンの書置』(1945年発表)。インスマスの指導者を殺し、町を焼き払う。

194X年:第3部『クレイボーン・ボイドの遺書』(1949年発表)。ペルーの地底湖を再び破壊する。

194X年:第4部『ネイランド・コラムの記録』(1951年発表)。アラビア無名都市でルルイエの位置情報を得る。

1947年:第5部『ホーヴァス・ブレインの物語』(1952年発表)。南太平洋に再浮上したルルイエを核攻撃する。

セラエノ大図書館
おうし座プレアデス星団セラエノ(=ケラエノ)にある、巨石で建造された大図書館。かつて旧支配者旧神から盗み出した知識を収蔵している。それらの知識の一つが「セラエノ断章」の石板である。シュリュズベリイ博士は石板を翻訳して冊子化した物を1915年にミスカトニック大学付属図書館に預けており、3部のアサフ・ギルマン教授やヴィベルト・アンドロス教授が閲覧している。[注 2]風の精ハスターの支配地にあたる。水の精クトゥルフと敵対するシュリュズベリイ博士達は、避難地として利用する。
ルルイエ(黒い島)
死せるクトゥルフが眠る巨石都市。普段は南太平洋の海底に沈んでおり、時おり浮上する。『クトゥルフの呼び声』1925年2月には.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}南緯47度9分 西経126度43分 / 南緯47.150度 西経126.717度 / -47.150; -126.717の位置で確認され、本作5部・1947年9月には南緯47度9分 西経126度43分 / 南緯47.150度 西経126.717度 / -47.150; -126.717に出現する。ルルイエの名を冠した文献「ルルイエ異本」が存在する。『ハスターの帰還』事件後にミスカトニック大学付属図書館に寄贈され、シュリュズベリイ博士が閲覧して、後述の8拠点特定の情報源となる。
重要事項
クトゥルフ(クトゥルー)[注 3]
最大の敵。ルルイエに眠り、人類にとって最も恐ろしい旧支配者と称される。同種の眷属がペルーの地底湖におり、さらに配下に深きものどもや爬虫類種族などを従える。地震で旧神の封印の仕掛けが壊れたことで、再活動しつつある。3部南米ペルーでは「クールー」の名で呼ばれる。博士やクレイボーン・ボイドは、クトゥルフを、ペルー先住ケチュア=アヤル族の神々である、戦争の神<むさぼり喰うもの>、パチャカマックヴィラコチャなどと関連付けている[10]。なお初期の事典書籍では、この<むさぼり喰うもの>をウィツィロポチトリと解釈している[11]が、森瀬繚によって、ウィツィロポチトリはアステカの軍神でありインカのケチュア族とは関係ないと指摘されている。[12]。クトゥルフ崇拝の拠点は8箇所。
深きものども
クトゥルフを崇める水棲種族。魚類やに形容される。地上侵略のために、人間と混血したり、人間のふりをして活動する。五芒星の石を嫌う。2部のエイハブ・マーシュや3部のアンドラダ神父は彼らの一員。ホーヴァス・ブレインは彼らの血を引く。アンドルーは『不思議の国のアリス』挿絵の、ジョン・テニエルが描く蛙男を連想している。
ハスター
旧支配者・風の精。クトゥルフと敵対している。セラエノ無名都市を支配地とし、配下にバイアクヘーを従える。博士らがハスターの力を借りているだけであり、ハスター本体は未登場。
バイアクヘーと黄金の蜂蜜酒
ハスター配下の有翼飛行生物。バイアクヘーを召喚するには、笛を吹き、ハスターを讃える呪文を唱える。黄金の蜂蜜酒は特殊な薬物であり、飲むことで幽体離脱と知覚鋭敏化の2効果をもたらす。この効果は、バイアクヘーに騎乗して星間宇宙を移動する際に必要となる。生身では耐えられないので、魂だけをバイアクヘーに運ばせ、抜け殻の肉体は無名都市の地下に保管する。
五芒星形の石(=旧神の印
古代ムナール由来の護り石。魔力によって邪神配下の種族を退ける。だが邪神には効果がない。本作中では、主にアミュレット(お守り)として持ち歩き、深きものどもを回避するために用いられた。いわゆる「旧神の印」であるが、作品によって設定が変遷する。本作品においては上記設定である。
1:アンドルー・フェランの手記
1部あらすじ

アーカムのシュリュズベリイ博士が、1915年に消息を絶ち、1935年に突如帰還する。また1925年のルルイエ浮上から10年の間に、世界中で邪教団の活動が活発化する。

1938年6月、博士は「想像力に欠如した者」という奇妙な条件で秘書求人を出す。面接に合格したアンドルー・フェランは、博士の屋敷に住み込みで働き始める。彼は博士の屋敷を訪れて来た水夫フェルナンデスから「ペルー奥地で怪物と教団を目撃した」という証言を得るが、後日フェルナンデスは怪死を遂げる。

博士から勧められて黄金の蜂蜜酒を飲んだアンドルーは速やかに眠りにつき、奇妙にリアルな夢を見る。

第1の夢:博士に従い、有翼生物バイアクヘーに騎乗し、南米ペルーの地底湖・水夫フェルナンデスが話していた場所を訪れる。博士が信者を装って原住民に質問し、儀式は明日であると返答を得る。去り際に、アンドルーはおぞましい姿をしたクトゥルフの従者を目撃する。
翌日アンドルーは、博士の指示でミスカトニック大学付属図書館に調査に行き、出会ったピーバディ老司書から博士が20年間失踪していたことを知らされる。その夜、博士は一時的に姿を消し、翌朝には何事もなかったように戻って来ていたが、アンドルーは怪訝さを感じ取る。


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