永劫の探究
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[12]。クトゥルフ崇拝の拠点は8箇所。
深きものども
クトゥルフを崇める水棲種族。魚類やに形容される。地上侵略のために、人間と混血したり、人間のふりをして活動する。五芒星の石を嫌う。2部のエイハブ・マーシュや3部のアンドラダ神父は彼らの一員。ホーヴァス・ブレインは彼らの血を引く。アンドルーは『不思議の国のアリス』挿絵の、ジョン・テニエルが描く蛙男を連想している。
ハスター
旧支配者・風の精。クトゥルフと敵対している。セラエノ無名都市を支配地とし、配下にバイアクヘーを従える。博士らがハスターの力を借りているだけであり、ハスター本体は未登場。
バイアクヘーと黄金の蜂蜜酒
ハスター配下の有翼飛行生物。バイアクヘーを召喚するには、笛を吹き、ハスターを讃える呪文を唱える。黄金の蜂蜜酒は特殊な薬物であり、飲むことで幽体離脱と知覚鋭敏化の2効果をもたらす。この効果は、バイアクヘーに騎乗して星間宇宙を移動する際に必要となる。生身では耐えられないので、魂だけをバイアクヘーに運ばせ、抜け殻の肉体は無名都市の地下に保管する。
五芒星形の石(=旧神の印
古代ムナール由来の護り石。魔力によって邪神配下の種族を退ける。だが邪神には効果がない。本作中では、主にアミュレット(お守り)として持ち歩き、深きものどもを回避するために用いられた。いわゆる「旧神の印」であるが、作品によって設定が変遷する。本作品においては上記設定である。
1:アンドルー・フェランの手記
1部あらすじ

アーカムのシュリュズベリイ博士が、1915年に消息を絶ち、1935年に突如帰還する。また1925年のルルイエ浮上から10年の間に、世界中で邪教団の活動が活発化する。

1938年6月、博士は「想像力に欠如した者」という奇妙な条件で秘書求人を出す。面接に合格したアンドルー・フェランは、博士の屋敷に住み込みで働き始める。彼は博士の屋敷を訪れて来た水夫フェルナンデスから「ペルー奥地で怪物と教団を目撃した」という証言を得るが、後日フェルナンデスは怪死を遂げる。

博士から勧められて黄金の蜂蜜酒を飲んだアンドルーは速やかに眠りにつき、奇妙にリアルな夢を見る。

第1の夢:博士に従い、有翼生物バイアクヘーに騎乗し、南米ペルーの地底湖・水夫フェルナンデスが話していた場所を訪れる。博士が信者を装って原住民に質問し、儀式は明日であると返答を得る。去り際に、アンドルーはおぞましい姿をしたクトゥルフの従者を目撃する。
翌日アンドルーは、博士の指示でミスカトニック大学付属図書館に調査に行き、出会ったピーバディ老司書から博士が20年間失踪していたことを知らされる。その夜、博士は一時的に姿を消し、翌朝には何事もなかったように戻って来ていたが、アンドルーは怪訝さを感じ取る。続いて数日後の新聞で、ペルーで地盤沈下が起こり原住民が全滅したことが報道される。※博士が地底湖を爆破し、邪教徒200人以上を皆殺しにした。

第2の夢:博士と共にバイアクヘーでイギリスに行き、邪神に連れ去られてルルイエにいた男性から、ルルイエの位置を聞き出す。

第3の夢:ルルイエの遺跡で、洞窟を爆破してクトゥルフを埋める。触手から間一髪で逃れ、バイアクヘーで離脱する。

当初アンドルーは単なる夢としか思わなかったが、次第にリアルすぎる夢が現実と区別がつかなくなったことに不安を感じ始め、精神科を受診する。医師は疲労やストレスを指摘し、休職と帰宅を薦める。だがアンドルーは靴の汚れやイギリスの新聞といった数々の物証から混乱に陥る。診察から戻ったアンドルーは退職を申し出ようとするが、博士は逃走のための荷造りをしており、アンドルーにすぐさま資料を図書館に寄贈するように命じる。博士はアンドルーに夢の記憶が残っていた手違いを認め、「3つの夢は現実の出来事であること」「自分は20年間セラエノにいたこと」「クトゥルフとの闘争」等について説明し、続いて自分とアンドルーは遂に敵に目をつけられたと告げる。博士はアンドルーに、アーカムから離れて逃げるよう命じ、さらに護身用アイテムも手渡す。その夜、博士の屋敷は火事で全焼し、博士は行方不明となる。

アンドルーはボストンの自宅に戻るも、ついに敵が近づいてきたことを察知する。アンドルーは博士に教わった方法でバイアクヘーを召喚し、難を逃れる。失踪したアンドルーの部屋には手記が遺されており、後年一部削除された上で公表される。
1部登場人物

ランファー博士 - ミスカトニック大学付属図書館の館長。アンドルーとエイベルの手記を公開する。

ピーバディ - 1・2部に登場。ミスカトニック大学図書館の老司書。アンドルーに声をかけ、博士はかつて20年姿を消しており不審だと告げる。2部ではエイベルに声をかける。

ティモト・フェルナンデス - 南米人の船乗り。博士に、ペルーの地底湖で邪神を目撃したことと、自分は
何者かにつけられていると証言した後、インスマスの暗礁で怪死を遂げる。

ネイランド・マッシー - ロンドンの湾港労働者。行方不明になっていたが、奇怪な言語(ルルイエ語)を身につけ衰弱して帰還する。

1部関連作品

クトゥルフの呼び声 - 1925年ごろの出来事。

インスマスを覆う影 - 1927-1928年の出来事。

ハスターの帰還 - オーガスト・ダーレス作。193X年の出来事。ランファー博士が登場する。

2:エイベル・キーンの書置
2部あらすじ

アンドルーは、シュリュズベリイ博士と共にセラエノ図書館で研究をしていた。それから2年後の1940年、敵がインスマスで再動したことを察知する。単身地球に戻ったアンドルーはインスマスを探るが、敵に察知される。

一方で、失踪したアンドルーの部屋には、新たに神学生エイベルが入居していた。疲れていたアンドルーはエイベルに簡単な説明をすると眠ってしまい、エイベルはミスカトニック大学付属図書館でアンドルーについて調べる。エイベルがインスマスについて口にすると、ピーバディ老司書はやめておけと警告してくる。エイベルは荒廃したインスマスの町を偵察に行き、深入りせずに自宅に戻る。目覚めたアンドルーは詳細をエイベルに説明し、話を聞いたエイベルは仲間入りを申し出る。

アンドルーの標的は、インスマスを再興させた、マーシュ家の新当主エイハブ・マーシュである。2人は変装したうえでインスマスに赴き、絶えた旧名家ウィルキン家の遠縁であると素性を偽ってインスマス唯一のホテルに泊まる。その夜、2人は魔力石で屋敷を取り囲んで逃げ道を塞いだ上で放火し、エイハブ・マーシュを名乗る人外を焼き殺す。火は燃え広がり、港町の大部分を焼き尽くす大火災となる。2人は別れ、アンドルーはバイアクヘーを召喚して逃げ去る。

エイベルは単身帰宅し、数日は何もなかったが、何者かに尾行され始める。エイベルは手記を書き上げ、ミスカトニック大学付属図書館宛に送り、バイアクヘーを召喚してボストンを離れる。
2部登場人物

ヘンダースン - インスマスにある、チェーン店の店長。外部から来た人物。エイベルに質問され、情報を教えるも、深入りするなと忠告する。

エイハブ・マーシュ - 代替わりしたインスマスの当主。遠縁らしく、数年前に突然現れ、マーシュ家を継いだ。その正体は、海からやって来た人外。エイハブに雇用された者は行方不明になる、つまり海に投げ込まれて生贄にされる。

ウィリアムスン - 『
インスマスを覆う影』主人公のこと[注 4]。インスマスに戻り、沖へと泳いで行ったらしいことが言及される。

2部関連作品

インスマスを覆う影 - 1927-1928年の出来事。直接の前日譚。

3:クレイボーン・ボイドの遺書
3部あらすじ

ボストンの学者アサフ・ギルマンは、核物理学ハーヴァード大学教授を勤めた人物であり、定年退職後はミスカトニック大学で教鞭をとっていた。ミスカトニック時代の2年間でとある古代宗教に興味を抱き、南太平洋文明の物品を調査収集するようになる。やがて隠居するが、旅行中にロンドンで暴動に巻き込まれて突然死する。

ニューオリンズ在住のクリオール文化の研究家であるクレイボーン・ボイドは、近親者で唯一の学生だからという理由で、死んだ大叔父アサフ・ギルマンの研究資料を相続する。クレイボーンは資料を読み込むうちに、大叔父が邪教団に暗殺されたと確信を抱く。

ボストンのジュダ弁護士の事務所を、ギルマン教授の研究仲間を自称するジェイフット・スミスという男が訪れ、研究資料の譲渡を求める。資料はすでにクレイボーンの手にわたっていたことから、弁護士はスミスに彼の住所を教える。夢を通じてその出来事を知ったクレイボーンはスミスを敵と判断し、さらにやって来て資料の譲渡/売却を要求してくるだろうことを予測し、全資料を隠す[注 5]。監視者の存在を察知しつつ、就寝したクレイボーンは、新たな正夢を見る。その映像は「生前の大叔父がクレイボーンに宛てた手紙が、旧住所ナチェスの郵便局で滞っている」というもの。夢は黒眼鏡の老人へと続き、彼はクレイボーンにすぐ逃げて夢の手紙を回収するよう助言する。クレイボーンは、スミスとの対面を避け尾行者も躱して、大叔父からの手紙を入手する。

クレイボーンは南米ペルーの首都リマのアンドロス教授に会いに行き、アンドラダなる人物および夢に現れる黒眼鏡の老紳士について尋ねる。教授は、宣教師アンドラダとシュリュズベリイ博士だと回答する。教授は資料を提供し、クレイボーンはアンドラダ神父を見つけ出すことを決意する。宿泊就寝中の夢に現れたシュリュズベリイ博士は、神父抹殺と拠点破壊の重要性を強調し、クレイボーンにアイテムを授ける。

クレイボーンは偽装用の建前を掲げてペルー奥地へと乗り込み、随時アンドロス教授に手紙を出して状況を報告する。アンドラダの正体は、クトゥルフを崇める人外の司祭であった。敵の目的は、かつてシュリュズベリイ博士が埋めた戸口を再び開くこと。地底湖の神殿に入り込んだクレイボーンは、クトゥルフの従者を目撃して危険性を悟り、すぐさまアンドラダの射殺を試みるが、仕留めきれずに逃げられる。クレイボーンはダイナマイトを起爆させて洞窟を崩し、バイアクヘーで逃走する。

失踪したクレイボーンは死んだとみなされる。複数の遺品や手紙類はブエノス・アイレス大学付属図書館で保管され、後に読者を限定し全文公開される。
3部登場人物

アサフ・ギルマン教授 - クレイボーンの大叔父で核物理学者。南太平洋文明の物品、
HPLやシュリュズベリイ博士の資料、アドヴァケイト号の事件などを調べていた。


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