氷河時代
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たとえば、リス (Ris) 氷期(18万年前から13万年前)とヴュルム (Wurm) 氷期[注釈 7](7万年前から1万年前)は、特にアルプス地方の氷期を指していうときの区分である。氷床が最も拡大したときの範囲は、完全な隔たりがあるために保たれていない。これは各氷期での研磨作用によって、(年代的に)前の氷床の痕跡のほとんどがほぼ完全に消し去られてしまいやすいからであるが、例外として、後の氷床が前の氷床を完全に覆い尽くすことがなかった地域では、古い方の氷床の痕跡がみられる。

南北の大陸氷床の発達により、最近の氷期・間氷期では海水準が大きく変動したことが知られている(ただし時代を遡ると地殻変動の影響が無視できなくなる)。蒸発した海水が両極に氷床として固定されるため、地上の海水の体積全体が減少し、結果として世界的に海水準が低下する。反対に氷期の終了に伴って融解水が海洋に還元されると海水準は上昇する。海洋酸素同位体ステージによって示される氷床量の変動は、特に新しい時代になるにつれて、世界的な海水準の変動を反映しているといって良い(上記「過去500万年間の氷期・間氷期の変動を示す堆積物の記録」グラフ参照)。その変動幅は最近の氷期では100m以上におよぶ。

日本近海では、太平洋日本海を結ぶ海峡の深度が浅いため、少なくとも過去数十万年の間の氷期では、海水準の低下に伴って対馬暖流の流入が止まり、気候に大きく影響を与えた。氷期には寒冷化のために亜寒帯林が西日本まで分布していた。また、対馬暖流が流入しないため(現在の日本海側の降雪は対馬暖流の蒸発量に影響を受ける)氷河は日本アルプスおよび北日本の高地にわずかに発達するのみであった。それでも、これらの氷河が最終氷期に形成したカールモレーンなどの氷河地形は現在の日本アルプスや日高山脈で明瞭に確認することができる。

最も新しい氷期は最終氷期とも呼ばれる。最終氷期の終了後、人類が定住し農業が発展するという出来事が起こった。このことは農業の発達が人類の生活様式と深い関係があるということであろう。
亜氷期と亜間氷期

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出典検索?: "氷河時代" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2017年11月)

氷期もしくは間氷期が続く間に、更に細かな気候の変動が見られることがある。寒冷な時期を亜氷期 (stadial)、温暖な時期を亜間氷期 (interstadial) と呼ぶ。最終氷期終了前後から現在にかけてはヨーロッパの泥炭湿地で発見された花粉層序がしばしば用いられ、現在では最終氷期の終了から後氷期にかけての気候変化を表現する際に幅広く使われている。

ヨーロッパの花粉帯花粉帯花粉層序年代植生ヨーロッパの考古学的時代区分気候
Iaオールデストドリアス (Oldest Dryas)13,000 - 10,500 BCEツンドラ後期旧石器時代後半寒冷(亜氷期)
Ibベーリング (Bolling Oscillation)10,500 - 10,000 BCEpark ツンドラ後期旧石器時代後半冷涼-やや温暖(亜間氷期)
Icオールダードリアス (Older Dryas)10,000 - 9,800 BCEツンドラ後期旧石器時代後半寒冷(亜氷期)
IIアレレード (Allerod Oscillation)9,800 - 8,800 BCEツンドラ、カバノキ林後期旧石器時代後半温暖(亜間氷期)
IIIヤンガードリアス (Younger Dryas)8,800 - 8,300 BCEツンドラ後期旧石器時代後半寒冷(亜氷期)
IVプレボレアル (Pre-Boreal)8,300 - 7,700 BCEカバノキ林後期旧石器時代-前期/中期中石器時代冷涼(亜間氷期)
V and VIボレアル (Boreal)7,700 - 5,500 BCEマツ/カバノキ林混合林の増加中石器時代温暖乾燥(亜氷期)
VIIアトランティック (Atlantic)5500 -3000 BCEナラ類の混合林新石器時代-青銅器時代温暖湿潤(亜間氷期)
VIIIサブボレアル (Sub-Boreal)3000 - 500 BCEナラ類の混合林青銅器時代-鉄器時代温暖乾燥(亜氷期)
IXサブアトランティック (Sub-Atlantic)500 BCE-現在草本類、マツ類、海岸性森林帯の拡大鉄器時代冷涼-温暖湿潤(亜間氷期)

火星における氷河時代

2016年、最近で最大の火星の氷河時代の存在を示す証拠が科学誌 Science に掲載された。その内容は、ちょうど37万年前には、火星は赤いというより白く見えただろうというものである[94]



脚注・出典[脚注の使い方]
脚注^ エーム間氷期などの呼称がある。
^ 現在予測されている地球温暖化の影響は、5年から20年以内に北極海がほとんど氷のない海になることを含んでいる。詳しくは北極海氷減少(英語版)を参照。
^ 二酸化炭素メタンの濃度など
^ 地球の表面の大陸地殻と海洋地殻の相対的な位置と量に変化をもたらし、風と海流にも影響を及ぼす。
^ 比較的大きな隕石の衝突と超巨大火山の噴火を含む
^ 今日では水深はおよそ50 m。
^ 「ウルム氷期」とも音写される。

出典^ Crowley, T. J. (1995). ⇒“Ice age terrestrial carbon changes revisited”. Global Biogeochemical Cycles 9 (3): 377?389. Bibcode: 1995GBioC...9..377C. doi:10.1029/95GB01107. ⇒http://www.agu.org/pubs/crossref/1995/95GB01107.shtml. に基づく。
^ Imbrie, J.; Imbrie, K.P (1979). Ice ages: solving the mystery. Short Hills NJ: Enslow Publishers. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-0-89490-015-0. https://books.google.com/books?id=aboTAQAAIAAJ 
^ この定義によれば、我々は氷河時代の間氷期―完新世―の只中にいることになる。
^ HISTORY.COM Ice Age
^ Gribbin, J.R. (1982). Future Weather: Carbon Dioxide, Climate and the Greenhouse Effect. Penguin. ISBN 0-14-022459-9 
^ a b c d e f 岩田修二 2011, p. 318
^ a b c d e f g h 岩田修二 2011, p. 279
^ 日本雪氷学会 2014, pp. 174?175【氷期】の項目。
^ 日本雪氷学会 2014, p. 32【間氷期】の項目。
^ a b 日本雪氷学会 2014, p. 169【氷河期】の項目。


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