氷床
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地球表層の90 %ほどの淡水がこの氷床に固定されており、万が一融解すれば海水準は61.1メートル上昇するだろうと言われている[2]東南極氷床は陸塊の上に発達しているが、西南極氷床では底部は2500メートル海面下であり、氷床が無いものと仮定すれば西南極は海面下となる。これは氷の重みで地殻が沈んだものと言われている(スカンディナヴィアではかつてあった氷床が最終氷期の終焉期を境に消滅したため、その後は現在に至るも沈降した分だけ隆起し続けている)。
グリーンランド氷床
グリーンランド氷床
英語: Greenland ice sheet) は、グリーンランドの面積の82 %を占めている。もし融解すれば7.2メートル海面が上昇するであろうと言われている[2]グリーンランド氷床
かつて存在した氷床

陸塊が誕生して以来の地球の長い歴史を見渡せば、全ての陸部が氷床化したと仮説されるスノーボールアース時代は言うまでもなく、そのほかにも決して少なくない数の氷床が存在したであろうが、それらのほとんどはよく知られていない。あるいは、存在を確かめられていない。ここでは新生代後期氷河時代(現在も続いているとされる最新の氷河時代)の到来以降に形成された氷床のうち、今は消滅してしまっている(あるいは、地質時代的現在は消滅期にあたる)ものについて解説する。
スカンジナヴィア氷床
スカンジナヴィア氷床
英語: Scandinavian ice sheet) は、ブリテン諸島北部(アイルランド北部およびイギリス北部)からスカンジナヴィア半島を経てロシア西部に至る地域に存在していた氷床である。約2万年前のピーク時には数千メートルを超える厚さがあった。この氷床はフィンランドスウェーデンが起源地となっていて、流れ出た岩石や迷子石の種類を調べることによって判明した。北ヨーロッパの現在の地形はこのときの氷河作用によって形成されたものが多く、ノルウェーフィヨルドスコットランドの湖沼群、モレーンの丘などがその代表例と言える。氷河によって丘が削り取られた結果、ヨーロッパでなだらかな波状地形が見られる。約2万年前以降はゆっくり縮小し、7000年前頃には一部の山岳氷河を残して消滅した。
ローレンタイド氷床
ローレンタイド氷床
英語: Laurentide ice sheet) は、現在のカナダアメリカ合衆国の北半分を覆う巨大な氷床で、氷河の跡は五大湖氷河湖として見られる[3]
パタゴニア氷床
パタゴニア氷床
英語: Patagonian ice sheet) は、現在のチリパタゴニア地方にある。
火星氷床火星氷床火星北極圏にある、火星極冠
深く刻まれた谷が縞模様を成す中央部の氷床と、周辺部に散在する氷帽から成る。バイキング1号によって1998年6月に撮影された画像。

火星上の氷床および極冠も、地球上のそれと同じく、降雪などによって大気中から水分が徐々に地表部に蓄積され、圧密され続けることによって成長し、形成されたものと考えられている[1]。また、北極冠の表面250メートルほどの氷の成層構造が過去およそ500万年にわたる気候変動を微細に記録していることが分かってきた[1]

火星の氷床は火星氷床(英語: Martian ice sheet, etc.)とも呼ばれ、過去およそ500万年の間(探査で判明している期間中)には高緯度地域以外に伸長している時期があったとは言え、現存するものは全て極冠に含まれるため、火星極冠(英語: Martian ice cap, Polar ice cap of Mars)と半ば同義のようにも扱われる。火星にある「氷」の主成分が凍結した)とドライアイス(凍結した二酸化炭素)のいずれであるかを巡って過去に長く論争されてきており[1]、「氷床」とは呼んでも但し書きを要するものであったが、20世紀末前後に行われたマーズ・サーベイヤー計画による探査の結果、二酸化炭素はごくわずかに表層部10メートル程度を覆うのみであってほとんどは水で形成されていることが判明している[1]

火星は平均的な軌道離心率が0.1前後と大きいため、日射量の振れ幅もまた大きく、俯瞰で見たとき模様に見える、氷床に深く刻まれた(■右の画像を参照)はこれによって形成されたと見られている[1]。この谷をさらに拡大して見ると、細かな断層を形成していて、それらは過去500万年の日射量・軌道離心率・自転軸傾斜角の変化によく対応していることも分かってきている[1]。日射量が多くなると水分の蒸発が進み、結果として氷中でのの蓄積が増大することが考えられるし、日射量の増大によって火星全体で砂嵐の発生頻度が上がり、その結果として他地域から運ばれてくる塵の蓄積も推定される[1]
脚注[脚注の使い方]

注釈^ 本来は日本語の「氷」も英語の “ice” も「凝固(凍結)した」のことであるが、天文学では、ドライアイス(凝固した二酸化炭素)など水以外の低分子物質固体も「氷」と呼ばれる。本項でも天文学に準じて表現する。

出典^ a b c d e f g h i j k l m n 放送大学講義 『物質環境科学II』 第12回「天体の運動と気候変動」(2012年6月25日放送分)、佐々木晶 ⇒[1][リンク切れ](惑星科学者国立天文台教授)。[出典無効]
^ a b “ ⇒IPCC Third Assessment Report - Climate Change 2001 - Complete online versions” (英語). Other - Publications - Arendal - (official website). UNEP/GRID (2001年). 2012年6月15日閲覧。
^ “地球の温度を下げた洪水発生の仕組みを解明、カナダ研究報告”. AFPBB News (2008年2月26日). 2018年3月11日閲覧。

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、氷床に関連するカテゴリがあります。英語版ウィクショナリーに関連辞書項目があります。ice sheet

氷床コア

氷河 / 氷帽


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