水野晴郎
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[要出典]

青年期には岡山から大阪神戸市姫路の映画館に通っていた。この頃、慶應義塾大学の通信課程に入学。また郵便局に勤めている間の1955年(昭和30年)頃に父親が感電事故で亡くなっている[10]
映画界へ

映画との出会いは戦後であった[11][12]。太平洋戦争中は軍人として死ぬことを教育されていた水野は敗戦後の価値観の変化に戸惑い、アメリカからもたらされた民主主義の意味を理解できなかった。そのときに出会ったのがアメリカ映画だった。

「民主主義というのはこういう面白い映画をみんなが自由に撮れて、みんなが自由に観ることのできる社会なんだ!」そしてこの出会いは水野の人生そのものを決めることになったのであった。

東京に出て淀川長治の「映画の友」友の会に参加。淀川からは「水やっこ」と呼ばれて目をかけられた。会では日野康一らと出会った。

1956年(昭和31年)、20世紀フォックス映画にアルバイトとして採用され、のち正社員となって宣伝部で働いた。5年後に日本ユナイト映画にヘッドハンティングされ宣伝総支配人となった。ユナイト映画在籍時、ビートルズの主演映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』や『史上最大の作戦』『真夜中のカーボーイ』『夕陽のガンマン』、『追想』、意図的に誤字を使った『007/危機一発』などの日本語題を考案したのは水野だという説がある。ただし『007 危機一発』の「危機一発」については、1956年の東映映画『御存じ快傑黒頭巾危機一発』があり、以前から使われていたという意見もある[13]。1972年に独立。

この間、1960年代には本名の水野和夫名義で、また独立後は水野晴郎名義で、『スクリーン』『キネマ旬報』『映画評論』などの映画雑誌に映画評などを多数執筆した。特に『映画評論』では、「娯楽映画」として批評の対象外だった監督たち、加藤泰沢島忠深作欣二らをその活動初期から高く評価した[14]。また『スクリーン』には2000年代前半ごろまで「水野晴郎対談」や「アカデミー賞受賞作に見るアメリカ映画の楽しさ」など多数の連載を持っていた。

1958年(昭和33年)、母親が心臓発作で亡くなり、3人の弟と年の離れた妹を東京に引き取る。

1962年(昭和37年)に慶應義塾大学文学部を9年かけて、通信教育課程を経て卒業[15]文学士[16]
金曜ロードショーの解説者として

独立後は1972年10月4日から、日本テレビ系の映画番組『水曜ロードショー』の解説を担当。一方、自身の会社「インターナショナル・プロモーション」で、アルフレッド・ヒッチコックの『バルカン超特急』など、ヨーロッパ映画の配給を行った。

番組の中で水野が発する「いやぁ、映画って本当にいいもんですね?」(他に「面白いもんですね?」や「素晴らしいもんですね?」「楽しいもんですね?」も)というセリフは瞬く間に定着し、お茶の間の人気を集めることとなった。本人によれば、『水曜ロードショー』で1974年4月3日に放送した『シェーン』の解説で使ったのが最初で、番組の最後に時間が余った際「もう一言付け加えて」と担当者から言われ、とっさに出た言葉がこれだった[17]

解説者に起用されたのは、番組プロデューサーによると「クルーカットに口髭という一目で覚えられる風貌だったことが採用の決め手になった」とのこと。そのため収録時は口髭をメークで強調。当初はカメラの前で極度に緊張しNGを連発していた。本番前にココアや豆乳を飲むことで気持ちを落ち着かせるなど、慣れるまでは苦労の連続だった。

著作『母の愛 そして映画あればこそ―夢と希望を追い続けたわが60年』において「世界の警察を取材するために海外へ渡るときは解説を何本かまとめ撮りしていた」と述べている。映画評論の仕事で多忙を極め、時間がなかったことから2本の映画を同時に見たこともあり、「話の内容分かりますか?」と尋ねられ「2本とも分かりませんでした」と答えている。

また、番組開始時はフィルム撮影だったためNGを出すとフィルムを廃棄して頭から撮り直しになるので「いつか上手くなって一発で決めよう」と意気込んでいたが、そうなる前の1978年10月に「撮り直しの利くビデオ撮影に切り替わった」と当時を振り返っている。

1978年から日本アカデミー賞が開催されるが、同賞は水野が「映画の素晴らしさをさらに盛り上げる祭典」と発案し、松竹東宝東映のトップや日本テレビプロデューサーへ持ち掛けて準備を進めていたが、途中から電通が仕切ることになり、水野は会員として投票する立場となった[2]


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