水草
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食用

日本を含む東アジアでは、クワイオモダカの改良種)やレンコンヒシの実、ジュンサイなどを食用とする。東南アジアではシソクサの仲間をハーブとして料理に使用する。
観賞用詳細は「水草水槽」を参照

多くの水草が園芸やアクアリウム用として観賞用に栽培されている。

室内アクアリウムにおける水草水槽では野生下でも沈水性で生育する物以外だけでなく、野生下では浮漂性や抽水性で生活することが多い水草を水中栽培に順化させたり、水中葉にして育成したりしたものも多く使われる。主なものでは、エキノドルスサジタリアなどオモダカ科アヌビアスクリプトコリネなどサトイモ科ミクロソリウムやボルビディスなど水生シダカボンバキクモロタラキカシグサ)やハイグロフィラなどが挙げられる。[2]

園芸用や野外アクアリウムには蓮やスイレンなど浮葉性のもの、サギソウアヤメカキツバタハナショウブイグサパピルスといった湿地性・抽水性のものが使われる[2]

このような水草栽培をビオトープという例も見られるが、本来の意味では誤用である。該当項目を参照されたい。
絶滅に瀕する水草

現在、日本産の水草には、絶滅危惧種として取り上げられるものが非常に多い。これには幾つかの理由が考えられる。
水回りの環境悪化

一つは、特に平地での水辺環境が近年非常に激しく変わったことが挙げられる。

水田には、水田雑草と呼ばれる一群の植物が生育していた。湿地性の種も、沈水性の種もあった。浮遊性の種は水面を塞いで水温上昇を妨げるので嫌われたこともある。これらの植物が現在では激減しており、除草剤の影響が大きいものと思われる。

また、水田周辺の水路は、圃場整備などによって三面コンクリートに固められ、多くの水中動物と共に、水草の成育環境が失われた。

水田耕作の関係により、日本各地に多数のため池があったが、都市開発などの中で埋め立てられたものが多数ある。また、農業用水の整備で使われなくなった場所では、ため池が放棄され、場合によっては産業廃棄物の不法投棄などに使われている。

同じように生育環境が失われた例として、河川の周辺湿地がある。本来、河川は平野部では次第に流れの位置を変えながら、その周辺に氾濫原である湿地を付属させていた。それらは、農耕の進歩や河川改修などにより、次第に狭められ、あちこちの河川に部分的に残されるような形になっていた。しかし、近年、その残りわずかな地域が、一気になくなる例が増えている。今まで放置されていた河川内部にまで改修が入ることが多くなったためである。

また、都市化などによる下水の増加、農地からの肥料の流入などにより、各地で淡水湖の富栄養化が問題になっている。そのために水質が悪化し、水草が成長できなくなったところもある。比較的大きな湖沼では、深い部分に様々な車軸藻類の生育する部分があることが一部で知られていたが、詳しい調査が行われる前に、消滅してしまうのではないかとの危惧の声さえ出ている。
外来性の水草の問題

観賞用に持ち込まれた海外の水草が国内で増殖する例が多い。代表的なのは、ホテイアオイボタンウキクサオオカナダモコカナダモオオフサモなどである。ホテイアオイは世界中の熱帯亜熱帯で大増殖をして問題になっている。国内では、オオカナダモ、コカナダモが人里近くの、やや汚れた水域で大増殖をするのがよく見かけられる。そのため、本来そのような場所に生育していたクロモやマツモなどの沈水性の水草が生育場所を追われた形で、ほとんど見かけなくなってしまった。水の中は植物の種類も少なく、競争も意外に激しいようで、その減り方は陸生の植物より激しい。にもかかわらず、海外の水草を持ち込み、野外に放棄するものは後を断たない。そのほか、水質浄化用としてホテイアオイを利用する例、アイガモ農法において、雑草だけでは栄養が足らないといって、海外産のアカウキクサを栽培する例などがある。特に後者二つの例などは、環境に配慮しての事と言われるだけに、より広い視点での配慮を求められている。

環境省農林水産省により2005年6月以降、2種類の外来性の水草が輸入禁止とされた。また、2006年2月にはさらに1種が追加された。詳細は以下。
外来生物法に係る水草の輸入規制
日本への輸入が禁止されている水草

2005年6月および2006年2月に施行された外来生物法により、以下の水草は特定外来生物とされ、日本への持込が禁止されている。

ナガエツルノゲイトウ (Alternanthera philoxeroides)

ブラジルチドメグサ (Hydrocotyle ranunculoides)

オオフサモ (Myriophyllum aquaticum)

ボタンウキクサ (Pistia stratiotes)

日本への輸入が制限されている水草

同様に、以下の水草は未判定外来生物とされ日本への持込が制限されている。

ヒュドロコティレ・ボナリエンシス (Hydrocotyle bonariensis)

ヒュドロコティレ・ウンベラータ (Hydrocotyle umbellata)

特定外来・未判定外来種に類似した水草の輸入制限について

外来生物法施行以後、特定外来・未判定外来生物の近似種は輸入に際してそれが該当する種そのものでないことを証明することが義務づけられた。

例えばチドメグサ属(Hydrocotyle spp.)は従来なら全て「チドメグサの一種」と申告すれば輸入できたが、現在では特定外来生物のブラジルチドメグサではないことを証明できなければ輸入できない。すなわち、輸入の際に植物防疫所、次いで税関に提出する植物証明書上に「アマゾンチドメグサ」(Hydrocotyle Leucocephala)等の具体的な種類名が記載されていなければならない。なお、貨物が日本に到着してしまっているにもかかわらずどうしても外来生物法の該当種でないことが証明できない場合は、国の指定施設で廃棄処分するか元の輸出国へ自費で送り返すかの二択を迫られる。
脚注[脚注の使い方]
出典^ 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版、2014年。 
^ a b c d 『世界の水草728種図鑑』マリン企画、2005年。 

参考文献

出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2019年11月)


角野康郎『日本水草図鑑』文一総合出版、1994年7月1日。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-8299-3034-9OCLC 741710622。 ISBN 978-4-8299-3034-2


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