水滸伝
[Wikipedia|▼Menu]
この馬琴・蘭山訳は、明治期まで何度も再刻された[注釈 6]。馬琴は『椿説弓張月』や『南総里見八犬伝』にも水滸伝の構想を取り入れており、とりわけ『八犬伝』は影響が最も色濃く出ているとされる[13][14][15][16]。この他にも馬琴は、パロディである『傾城水滸伝』も書いている[17]

江戸時代後期の侠客である国定忠治の武勇伝は、のちに水滸伝の影響を受けて脚色された。浪曲講談で知られる『天保水滸伝』は、侠客笹川繁蔵飯岡助五郎の物語に水滸伝の名を冠したものである。
日本語訳書

明治・大正期以降も百二十回本や百回本を元とする『水滸伝』の翻訳や翻案が生み出された[注釈 7]
以下は主な日本語訳の一覧。


久保天随訳補『新訳水滸全伝』七十回本及び百二十回本[注釈 8] 上・下、1911-12年 至誠堂書店 新譯漢文叢書 第9-10編。文語体訳。馬琴・蘭山訳を訂正していったもの。

平岡龍城[注釈 9]『標註訓訳水滸伝』七十回本 1-15冊 1914-16年 近世漢文学会。国立国会図書館デジタルコレクション 1冊 2冊 3冊 4冊 5冊 6冊 7冊 8冊 9冊 10冊 11冊 12冊 13冊 14冊 15冊。訓読訳、和装本。

幸田露伴『国訳忠義水滸全書』百二十回本 上・中・下、1923-24年 国民文庫刊行会。国立国会図書館デジタルコレクション 18巻 19巻 20巻。訓読体に近い文語体訳。岩波書店刊行の『露伴全集』に翻訳および註釈の部分のみ収録。

『水滸伝』吉川幸次郎清水茂「百回本全訳」、岩波文庫(全13冊)1948-91年。第1-6冊は吉川訳、第7-8冊吉川・清水共訳、第9冊以降は清水訳。内閣文庫所蔵の明刻容輿堂の写真版を底本とする。

『水滸伝 完訳』各・全10冊、岩波書店、1995-96年/岩波文庫、1998-99年。吉川訳は清水が改訳、表記は「吉川幸次郎・清水茂 訳」

ISBN 4000046608ISBN 4000046616ISBN 4000046624ISBN 4000046632ISBN 4000046640ISBN 4000046659ISBN 4000046667ISBN 4000046675ISBN 4000046683ISBN 4000046691

村上知行訳「七十一回本全訳」、修道社(普及版全9巻)、1955-56年
全2巻 1957年 河出書房 世界文学全集 別巻1・2全4巻 1973年 角川書店全5巻 1983年 現代教養文庫。訳者没後の出版。ISBN 4390110810ISBN 4390110829ISBN 4390110837ISBN 4390110845ISBN 4390110853全1冊 1987年 第三書館 ISBN 4807487019

駒田信二訳『水滸伝』「百二十回本全訳」
平凡社 中国古典文学全集 10-12 上・中・下、1960-61年同 中国古典文学大系 28-30 上・中・下、1967-1968年、復刊1994年。改訳版(挿絵は内閣文庫の百回本と都立図書館の百二十回本のものを各回に収録)ISBN 9784582312287ISBN 9784582312294ISBN 9784582312300同 奇書シリーズ 上・中・下、1972年。上記文学大系と同一紙型を利用したものISBN 9784582326017ISBN 9784582326024ISBN 9784582326031同 コンパクト版奇書シリーズ(全10巻 選書判)1990年。ISBN 9784582326109 ほか。改訂版講談社文庫 全8巻 1984-85年(挿絵がない。わずかに註の部分にあるのみ)ISBN 4061833804ISBN 4061833812ISBN 4061834053ISBN 4061834061ISBN 4061834274ISBN 4061834282ISBN 406183455XISBN 4061834568ちくま文庫 全8巻 2005-06年。上記講談社文庫版の新版(訳者没後に刊行)ISBN 4480421114ISBN 4480421122ISBN 4480421130ISBN 4480421149ISBN 4480421157ISBN 4480421165ISBN 4480421173ISBN 4480421181

佐藤一郎訳「七十回本全訳」集英社(綜合社[注釈 10]編)デュエット版世界文学全集 第3巻、1969年

愛蔵版 世界文学全集 第5巻、1975年。ISBN 4081280053。世界文学全集 ベラージュ 第7・8巻、1979年


井波律子訳「百回本全訳」講談社学術文庫(全5巻)、2017-2018年
ISBN 978-4062924511ISBN 978-4062924528ISBN 978-4062924535ISBN 978-4062924542ISBN 978-4062924559

小松謙訳「詳注全訳水滸伝」汲古書院(予全13巻)、2021年-(刊行中.2023年11月現在第四巻まで刊行)

登場人物

水滸伝には数々の豪傑たちが登場する。それぞれ天傷星・天狐星など、百八の魔星の生まれ変わりである。百八とは仏教で言う煩悩の数でもあり、除夜の鐘で突かれる数でもある。
梁山泊詳細は「水滸伝百八星一覧表」を参照

天魁星 宋江(そうこう) 梁山泊の三代目首領。綽名は呼保義(こほうぎ)。

天機星 呉用(ごよう) 梁山泊の軍師。綽名は智多星(ちたせい)。

天間星 公孫勝(こうそんしょう) 道術使いの道士。綽名は入雲竜(にゅううんりゅう)。

天雄星 林冲(りんちゅう) 槍の名手。中国で「教頭」といえばこの人のこと。綽名は豹子頭(ひょうしとう)。

天英星 花栄(かえい) 弓の名手。宋江の無二の親友。綽名は小李広(しょうりこう)。

天貴星 柴進(さいしん) 後周皇帝の子孫。綽名は小旋風。

天孤星 魯智深(ろちしん) 大力無双の破戒。綽名は花和尚(かおしょう)。

天傷星 武松(ぶしょう) 拳法の達人。綽名は行者(ぎょうじゃ)。

天暗星 楊志(ようし) 顔に青痣を持つ武人。綽名は青面獣(せいめんじゅう)。

天殺星 李逵(りき) 二丁板斧の使い手。斬り込み隊長。綽名は黒旋風(こくせんぷう)。

天微星 史進(ししん) 上半身に9匹の龍の入墨を施している。百八星の中で最初に登場する。綽名は九紋竜(くもんりゅう)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:84 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef