気管支喘息
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喘息とアレルギー性鼻炎副鼻腔炎がよく合併することはよく知られており、これらは独立した危険因子であるが関連が深く「one airway one disease」[注 1]として知られ[30]、同時に治療することで治療効果が高まると考えられている。特に、アレルギー性鼻炎や花粉症の合併は多い。アレルギー性鼻炎の治療は症状に合わせて選択される。詳細は「アレルギー性鼻炎」を参照

薬剤のタイプ鼻漏鼻閉くしゃみかゆみ眼症状
経口抗ヒスタミン薬++±++++++
経口抗ロイコトリエン薬++++++
点鼻抗ヒスタミン薬+±++?
点鼻ステロイド薬+++++++++
点鼻血管収縮薬?++???
点鼻抗コリン薬++????
点鼻抗肥満細胞薬++++?

急性発作

初期治療としては酸素投与とリリーバー投与となるが、呼吸困難、喘鳴の原因が心疾患など喘息発作以外の可能性もある。

喘息発作の程度は小発作(呼吸困難はあるが横になれ動ける)、中発作(呼吸困難で横になれないが動ける)、大発作(呼吸困難で動けない)に分類される。

軽度中等度重度
呼吸困難苦しいが横になれる苦しくて横になれない苦しくて動けない
会話通常会話短い文章単語のみ
呼吸状態呼吸補助筋の使用なし呼吸補助筋の使用あり胸骨上部陥凹(陥没呼吸)
PEF値> 80%60 - 80%<60%
SpO2> 95%91 - 95%<90%

発作時の対処
初期治療
まずは初期治療として
酸素投与、および吸入β2刺激薬の投与を行う。シムビコートタービュヘイラー吸入を行う。以前はサルブタモール(サルタノールインヘラー)2吸入、20分毎3回やプロカテロール(メプチンエアー他)2吸入、20分毎3回などが行われていたが、作用時間が短いため、反復しての吸入を患者は強いられていた。ホルモテロールは即効性がある上、長時間作用するためコンプライアンスが向上する。フルティフォームもホルモテロールを含有するが、日本においては発作時吸入は認可されていない。また酸素飽和度 (SpO2) が92%以上になるようにコントロールする。定量噴霧式吸入器 (MDI) によってうまく吸入できない高齢者や重度の気流制限を認められる場合は超音波ネブライザーを用いて吸入を行う。サルブタモール吸入液(ベネトリン他)0.3ml - 0.5ml (1.5mg - 2.5mg) を生理食塩水2mlと混ぜて吸入を行うことが多い。サルブタモールと生理食塩水の量、比に関しては十分量の吸入がされていれば治療効果に差はないとされており、ネブライザーの形状にあった量とすることが重要である。ネブライザーでもMDIと同様、20分毎3回の吸入を行い、少しでも効果が見られたら2時間まで20分毎の吸入を繰り返してよいとされている。初期治療で改善が認められない場合や中等度以上の発作、あるいは窒息死のリスクファクターがある場合はさらにステロイドの点滴を追加する。メチルプレドニゾロン(ソルメドロール他)40mgを生理食塩水50mlに融解し30分の点滴投与やヒドロコルチゾン(ソルコーテフ他)200mgを生理食塩水50mlに融解し30分の点滴投与を行う。これらはコハク酸エステル型のステロイド剤であるためNSAIDsにて喘息が誘発される場合や鼻疾患の合併がある場合はベタメタゾン注(リンデロン他)4mg - 6mgやデキサメタゾン注(デカドロン他)6mgに変更した方が安全である(経口ステロイドではこのようなことは注意する必要はない)。ステロイド投与を行い2時間経過しても改善が認められない場合は入院の適応になる。十分な効果が得られず、呼吸困難が持続する場合はアドレナリン(ボスミン)0.3mgの皮下注を行う。同剤の適応は45歳以下で、高血圧虚血性心疾患不整脈、頻脈がない場合である。20分毎に反復投与を行ってよいが血圧脈拍動悸振戦に注意が必要である。心拍数を130bpm以下に保つために心電図モニタリングが必要である。アドレナリンを使用する症例では気管挿管が必要となる場合もあるため、準備を行う。なお、エピネアドレナリンは子宮動脈の収縮作用があるため妊婦の場合はテルブタリン(ブリカニール他)0.2mgの皮下注に変更する。オプションとして経気道的な気管支拡張薬投与が不可能な場合はテオフィリン製剤の点滴を考慮する。アミノフィリン6mg/kgを5%ブドウ糖液250mlで希釈し半量を15分で残りを45分で点滴静注するのが一般的である。軽症?中等症では無効とされているが重症喘息ではマグネシウムを1g - 2g(マグネゾール2g/20mlまたはコンクライトMg1Aやアミサリン100mg/1ml)の静注はステロイドやSABAが使用されたうえでは効果が認められる。
後療法
発作が中等度以上であった場合は経口プレドニゾロン15mgを一日二回5日分ほど処方し、近日中に専門医やかかりつけ医の受診を促す。MDIが十分に残っていることを確認する。発作が中等度でも1時間以内に改善した場合は帰宅可能であるが、軽度でも窒息死のリスクファクターがある場合は入院治療が必要である。
気管挿管の適応
初期治療を行ったにもかかわらず、呼吸減弱、呼吸停止や意識障害が認められたり、酸素投与下でもPaO2が50Torr以下やPaCO2が50Torr以上やpHが7.25以下、不整脈の頻発の場合は気管内挿管を行い、入院治療を行う。
入院の適応
入院が必要な場合としては、中等度以上の発作であり、気管支拡張薬やステロイド全身投与にもかかわらず2時間経過しても反応がない場合や治療後でも酸素飽和度90%以下の低酸素状態が継続する場合、治療後もPEF値が60%未満の場合や、窒息死のハイリスクグループである場合などがあげられる。入院では酸素療法の継続、気管支拡張薬吸入の継続(サルブタモール吸入液の吸入を4時間毎、20分以上あけて追加投与可能)、その他メチルプレゾニドロン60mgを1日3回ほど点滴静注する。テオフィリン製剤を用いる場合もある。喘息の治療に影響を与える因子としては感染症、鼻炎、副鼻腔炎アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、GERD、薬物(βブロッカーやACEI)、アレルギー、喫煙、声帯機能不全(夜間に症状がないのに早朝急に嗄声などの症状が出現する)をはじめとする心因性疾患などがありこれらも可能な限り治療を行っていく。コントローラーのステップアップにて症状が安定し、他疾患の除外ができれば退院となる。
喘息死の危険因子

これらのリスクファクターがある患者はより慎重な治療が求められる。

ステロイド薬の全身投与中または中止したばかりである。

過去一年間に喘息発作による入院または救急外来受診した。

喘息発作で
気管内挿管や人工呼吸管理を必要とした。

短時間作用性β2刺激薬を月に2本以上と過剰使用している。

鎮静薬を使用している。

喘息の治療計画に従わない。

気管支喘息と鑑別を要する疾患
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)
非喫煙者や、特異的遺伝子変異をもつ若年者に発症することもあるが、多くは、高齢者に発症し、喫煙との関連が強い。労作時の呼吸困難、息切れ、β2刺激剤の吸入後の1秒率が70%未満であること、胸部画像診断における気腫性変化等が重要であるが、軽症例では、所見に乏しいこともある。


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