緯度が同じ日本の札幌とフランスのマルセイユの2月の風景。積雪の有無、樹木の葉の有無などから気温の違いが分かる。
太陽光(日射) - 地球上の気温に最も大きな影響力を持つ。太陽と地球の天体運動に伴う太陽光の入射角度の変化により、気温は1年周期で季節変化し、1日周期で日変化する。一般的に、太陽高度が高いほど、気温は高くなる。また、日射が少なく大気放射が多くなるため、同じ時期でも晴れの日より曇りの日や雨の日の方が気温の変化は緩やかである。
大気放射 - すべての物質はステファン・ボルツマンの法則により絶対温度の4乗に比例して単位時間当たりのエネルギーを放出している。大気圏においては主に水蒸気、二酸化炭素が大気から放たれる赤外線をよく吸収する。
地球放射 - 太陽光により受けた熱は、地表から上空に向けて赤外線として放射される、これを地球放射という。夜間は地球放射により地表温度が下がり、顕熱によって気温が低下する。これを放射冷却と呼ぶ。雲が少なく風が弱い日には特に気温の低下が大きくなる。水蒸気や雲が多いと、水蒸気や雲からの赤外線の放射が地球放射と相殺するため、気温の低下幅が小さくなる。夜間から朝にかけて放射冷却が続くため、1日の気温は、放射冷却の効果を上回る日射が始まる早朝に最低となることが多い。
顕熱
潜熱
排熱 - 特に都市部では、人為的活動に伴う排熱が気温を上昇させることがある。 また、ビルの側面からの放射熱が気温の低下を妨げる要因になる。
地形 - 盆地や内陸、砂漠などの晴れが多い地域では、日射も地球放射も効率が良いため気温の変化が大きい。
海洋・水辺 - 水は熱容量が大きく温度変化が緩やかなため海上では気温の変化も小さく、陸上にあっても海辺では海陸風により海と陸の空気が入れ替わるため気温の変化が小さい。同様に水を湛える河川や湖沼も同じような効果を持ち、その周囲の気温の変化は小さくなる傾向にある。また、暖流や寒流が南北に流れてくる地域では、海洋の影響により暖かくなったり寒くなったりする。
標高 - 対流圏の空気は温度成層を成しており、通常は標高が高いほど気温が低くなる。この低下率を気温減率といい、海抜0?2000m付近では標高が100m高くなるごとに平均で0.65°Cずつ気温が低下する。
植生 - 蒸散や土壌の水分などによる潜熱の放出、反射率が低いことなどから、気温の変化が小さくなる。
地表の構成物 - 地面や人工物は、色や組成により日射の反射率や熱容量が異なり、気温に影響を与える。
氷の存在 - 氷河や積雪などの形で存在する氷は、反射率が高いため日射による気温の上昇を抑える効果がある。