気候変動
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代表的なものとしては北極海の海氷の融解[8]による海水による太陽光吸収量の増大などがあり、近年広く報道されている[9][10]
永久凍土からの二酸化炭素放出
気温上昇によって永久凍土が融け、閉じこめられていた有機物の分解によって二酸化炭素が放出されることによって、正のフィードバックに寄与するであろうことが指摘されている。今のところ、こうした極域の陸地は全体ではわずかに炭素の吸収源になるのではないかと見られているが、炭素放出の過程は複雑で、この結論の不確実性は大きい[11][6]
10万年周期の氷期/間氷期サイクルにおける二酸化炭素の役割
このサイクルは軌道要素によるものとされているが効果としては小さすぎ、二酸化炭素の変化がシグナルを強化していると一般に信じられている。

負のフィードバック効果の一つに、大気から二酸化炭素を吸収する地表や海洋や生物圏などの自然の貯蔵庫の存在がある。このレベルのフィードバック効果の存在からは、大気中に排出される二酸化炭素は人類起源のもののみと単純に予想されがちであるが、気温の変化と大気中の二酸化炭素レベルとの関係については説明が難しい。例えば、気温の上昇により土壌の炭素が減少したり、気候の変化が熱帯雨林を減少させたりする可能性があるため、負とは断定できず、正に働く可能性も考えられている。生物の負のフィードバック作用については生物ポンプ仮説が知られている。
外部因子
自然起源の因子

過去の気候変動において内部因子が重要な役割を果たしたのと同様、自然起源の外部因子も重要であるのは明らかである。

火山噴火の例では、大量の二酸化炭素(後述)や二酸化硫黄が放出される。大量の二酸化硫黄が火山噴出物のダストとともに成層圏に達した場合、数年間にわたり硫酸エアロゾルを生成し、地表の日射量を減少させる[12]。このことで短期的な「夏のない年」が発生し飢饉などを招いてきた歴史がある。
太陽放射量の変化

自然の外的要因でもっとも主なものは太陽活動による放射量の変化であるが、地球に届く太陽放射量は、地理的、時間的に分布に均一ではない。太陽放射量は、太陽周期により短い時間スケール(約11年)で変化し、地球軌道の周期的な変化によって100年から1000年のスケールで変化する。さらに長い時間(1億年)で考えると、太陽自体が熱くなっていくという現象が加味される。

天体活動が地球の気候変動に与える要因として他にもいくつかの機構が提案されている。たとえば、赤道準二年周期振動(QBO:quasi-biennial oscillation[13])と太陽活動の関連[14][15][16]北極振動(AO:arctic oscillation)と太陽活動の関連[17][18][19]などである。月の潮汐力の変化とエルニーニョラニーニャとの関連も指摘されている[20]。これは月の潮汐力が熱塩循環にも影響を与えるためともいわれている[21][22][23]
二酸化炭素

二酸化炭素は温室効果ガスの中で、現在最も影響が大きい物質である。

地球の現在の大気は二酸化炭素(CO2)濃度が370 ppm(0.037%) である。過去40万年間(産業革命以前)では300ppmより低かった ⇒[11]

余談ではあるが、過去6億年のほとんどの間、大気中の二酸化炭素濃度は6000から400 ppmの間で変化していたので、過去の地質時代と比べて、現在の大気中の二酸化炭素は非常に少ない( ⇒[12])。6億年前から現在までの地球史のなかで二酸化炭素濃度が400ppm以下なのは、石炭紀と現在の第四紀のみである。三畳紀末期の二酸化炭素の濃度については、大規模な火山活動(造山運動)の影響を指摘する有識者も存在する[24]。このように二酸化炭素濃度が低くなってから、それに適応する形で人類が誕生したと考えられる(顕生代の大気中の二酸化炭素量と平均気温のグラフ ⇒[13]も参照)。
自然起源による変化の例

氷期/間氷期の10万年サイクルは、自然の外部因子による変化の一例である。過去1000年の広範囲にわたる二つのできごととして、気温が比較的温暖だった中世の温暖期と寒冷だった小氷期と呼ばれる出来事があったが、人為的な要因はその時代では小さいと考えられるので、これらの変化は自然的な原因で起こったとされる。小氷期については太陽活動の減退か火山活動の増加によるものと考えられるが、中世の温暖期についてはまだはっきりとは判明していない。少数の研究者は、1860年以降見られる温暖化は、小氷期からの回復過程という自然の原因によるものではないかと主張している ⇒[14]
人類活動に起因する要因

人為的な要因とは、環境と気候を変化させる可能性のある人類(ホモ・サピエンス)活動によるものを指す。最も大きなものは、ヨーロッパで起こった産業革命以来、化石燃料を燃焼させる過程で大量に放出された二酸化炭素であり、そのほとんどは1945年以降の放出である。他の要因では、森林の減少、地表のアルベドを変化させる農業他の土地利用、炭素サイクルやメタンの生成への影響、人為物質エアロゾルの放出が考えられる。
人為的温室効果ガス

人為的要因の大きなものとしては温室効果ガスがあり、その排出量の増加は温室効果をもたらす。産業革命が始まって以降、大量の人為的な温室効果ガスが大気に放出されている。IPCCは、1750年以来、二酸化炭素濃度は31%、メタンは151%、窒素酸化物17%、対流圏のオゾンが36%増加し、「人為的な二酸化炭素の多くが化石燃料の燃焼により生産されている。メタンガスは家畜や燃料、米の生産でも増加し、湿地などから自然要因で放出される量の66%程度である ⇒[15]」と発表した。


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