気候変動
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6億年前から現在までの地球史のなかで二酸化炭素濃度が400ppm以下なのは、石炭紀と現在の第四紀のみである。三畳紀末期の二酸化炭素の濃度については、大規模な火山活動(造山運動)の影響を指摘する有識者も存在する[24]。このように二酸化炭素濃度が低くなってから、それに適応する形で人類が誕生したと考えられる(顕生代の大気中の二酸化炭素量と平均気温のグラフ ⇒[13]も参照)。
自然起源による変化の例

氷期/間氷期の10万年サイクルは、自然の外部因子による変化の一例である。過去1000年の広範囲にわたる二つのできごととして、気温が比較的温暖だった中世の温暖期と寒冷だった小氷期と呼ばれる出来事があったが、人為的な要因はその時代では小さいと考えられるので、これらの変化は自然的な原因で起こったとされる。小氷期については太陽活動の減退か火山活動の増加によるものと考えられるが、中世の温暖期についてはまだはっきりとは判明していない。少数の研究者は、1860年以降見られる温暖化は、小氷期からの回復過程という自然の原因によるものではないかと主張している ⇒[14]
人類活動に起因する要因

人為的な要因とは、環境と気候を変化させる可能性のある人類(ホモ・サピエンス)活動によるものを指す。最も大きなものは、ヨーロッパで起こった産業革命以来、化石燃料を燃焼させる過程で大量に放出された二酸化炭素であり、そのほとんどは1945年以降の放出である。他の要因では、森林の減少、地表のアルベドを変化させる農業他の土地利用、炭素サイクルやメタンの生成への影響、人為物質エアロゾルの放出が考えられる。
人為的温室効果ガス

人為的要因の大きなものとしては温室効果ガスがあり、その排出量の増加は温室効果をもたらす。産業革命が始まって以降、大量の人為的な温室効果ガスが大気に放出されている。IPCCは、1750年以来、二酸化炭素濃度は31%、メタンは151%、窒素酸化物17%、対流圏のオゾンが36%増加し、「人為的な二酸化炭素の多くが化石燃料の燃焼により生産されている。メタンガスは家畜や燃料、米の生産でも増加し、湿地などから自然要因で放出される量の66%程度である ⇒[15]」と発表した。
家畜のメタンガス

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書は、肉が中心の西洋式の食事から、野菜中心の食事に変更することは、気候変動を大きく緩和することにつながると伝えている。[25]代替肉(プラントベースドミート)を製造するフードテック企業が誕生している。[16]
諸要因の相対的な重要性に対する評価

提案されたそれぞれの相対的な重要性は興味の持たれる時期によって違い、例えば、人為起源の因子は、1750年以前の気候変動には取るに足らないものであると予想される。もっともこれは最近ではRuddimanらが ⇒[17][18][19]で異論を唱えており、8000年前からの森林伐採や稲作が二酸化炭素やメタンレベルを増加させていると述べている。Schmidt他はこれに反論し、メタンの記録からは人為的な面での重要性は考えられないとしている。

とにかく、その重要性は含まれる因子の定量化を通して評価することができる。外的要因に対する内的要因の応答は、より優れた気候モデルを使った気候シミュレーションで見積もることができる。
放射強制力

外部要因の影響は放射強制力という考え方で比較される。放射強制力が惑星に対して正に働けば温暖化、負に働けば寒冷化を引き起こす。その単位は面積当たりの仕事量W/m2で示される。IPCCの第3次報告では、放射強制力の現在の気候に与える影響を取りまとめて報告している ⇒[20]
地球温暖化の影響詳細は「地球温暖化の影響」を参照

海水準変動 - 海水面上昇について

氷河融解(氷河の後退)

環境・生態系への影響

気候変動への取り組み

地球温暖化への対策エネルギー供給面での緩和技術の研究が行われている。
世界的な活動

1995年3月28日にドイツのベルリンで第1回気候変動枠組条約締約国会議が開催され、1997年12月京都で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議で気候変動枠組条約である京都議定書が採択された。2015年11月に、京都議定書に変わるパリ協定第21回気候変動枠組条約締約国会議で採択された。

2014年国連気候サミット(英語版)、2019年国連気候変動サミット(英語版)も行われている。また、2019年国連気候変動サミット直前の9月20日から27日までグローバル気候マーチ(2019年気候変動ストライキ)が呼びかけられ、世界中でデモが行われた。
自然に基づく解決策

自然に基づく解決策(Nature-based Solutions, NbS)とは、社会課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福および生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然及び人為的に改変された生態系の保護、持続可能な管理、回復のため行動を指す概念である。自然に基づく解決策は、気候変動への適応や緩和のための重要な手段として認められており、国際自然保護連合(IUCN)や国際連合環境計画(UNEP)などの国際機関によって推進されている。また、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)や生物多様性条約(CBD)などの国際的な条約や協定の中でも言及されている。
脚注[脚注の使い方]^ “地球温暖化とは?気候変動との違いは?原因と影響について”. ソーシャルグッドCatalyst. 2022年6月23日閲覧。
^ 梅木誠「エルニーニョ現象に対する Battisti-Hirst 遅延振動子モデルの解析」『数理解析研究所講究録』第1594巻、京都大学数理解析研究所、2008年、159-165頁。 
^ “気候の問題を考える 。海洋政策研究所-OceanNewsletter”. 笹川平和財団 - THE SASAKAWA PEACE FOUNDATION. 2022年1月8日閲覧。
^ a b IPCC Technical Papers II and III, February 1997
^ 大倉瑶子 (2020年11月6日). “「気候変動」から「気候危機」へ。紛争を引き起こす資源をめぐる衝突【気候変動と格差3】”. BUSINESS INSIDER JAPAN. 2023年8月7日閲覧。
^ a b c “ ⇒"ココが知りたい温暖化"”. "国立環境研究所". 2016年5月1日閲覧。
^ a b “ ⇒"Physical Climate Processes and Feedbacks"”. "ICPP,Working Group I". 2016年5月1日閲覧。
^ますます薄くなってきた北極海の海氷、JAXA 地球観測研究センター(EORC)、2008年4月30日
^ NHKスペシャル 北極大変動
^日経エコロミー、2008年05月08日の記事
^AR4 WG2 Chapter15,P.662
^ “トンガ噴火は日本に「令和の米騒動」引き起こすか? 米教授が指摘する“圧倒的に少ない”物質とは”. AERA.com (2022年1月20日). 2022年1月24日閲覧。
^ QBO:quasi-biennial oscillation en:Quasi-biennial_oscillation
^[1]
^ E.V.|Ivanov et. al., QUASI-BIENNIAL OSCILLATIONS OF THE SOLAR MAGNETIC FIELDS ⇒[2]
^ Astronomy Reports, Vol.45, No.12, 2001, 1012. ⇒[3]
^ GEOPHYSICAL RESEARCH LETTERS, VOL.32, L22703, 2005 ⇒[4]
^ K. LABITZKE,Meteor. Z., 2005 ⇒[5]


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