本来民間語源とは大衆言語の自然的性質を考察する際の言語学用語であり、以下に示すような少数あるいは特定のグループによる意図的な主張は本来の言語学からは外れたものである。
日本語と英語
肥筑方言のひとつである「ばってん」は、英語の「but and(バット・アンド)」または「but then(バット・ゼン)」に由来するとする説。言語学的には古語の「?ばとて」に由来するとしており定説となっている[注釈 5]。
「ぐっすり」の語源は英語の「good sleep(グッド・スリープ)」であるという説。
日ユ同祖論「日ユ同祖論#ヤマト言葉とヘブライ語の類似」も参照
日本語にはヘブライ語が多数入り込んでいるというもの。川守田英二は、日本語「ジャンケンポン」はヘブライ語「ツバン・クェン・ボー(隠す・準備せよ・来い)」であり、これは「キリスト教の一切を語る秘儀」を表現しているといった説を唱えた。そのほか、「威張る」は「バール(主人)」、「さようなら」は「サイル・ニアラー(悪魔追い払われよ)」、「晴れる」は「ハレルヤ(栄光あれ)」、ありがとうは「ALI・GD」(私に(とって)・幸運です)であるなどと主張した。
そのほかにも、京都の「祇園(ぎおん)」は「シオン」であるとか、「イザナギ・イザナミ」は「イザヤ」であるなど、同様の説は後を絶たない。 音の類似をもって、語源と主張する例。 これらはいずれも現代朝鮮語を元に主張されている巷説であり、朝鮮語の古代音などが未解明であるため不成立な説である。
朝鮮語語源説
「奈良」は、朝鮮語で国を意味する「??(ナラ)」に起源を有するとの説。
海を意味する「わた」「わたつみ」は、朝鮮語で海を意味する「??(パダ)」に関連するとの説。
「わっしょい」が朝鮮語「??(ワッソ 来た)」に関連するとの説(四天王寺ワッソ参照)。
熊は、朝鮮語で熊を意味する「?(コム)」に起源を有するとの説。
島は、朝鮮語で島を意味する「?(ソム)」に起源を有するとの説。
脚注
注釈^ 明解言語学辞典は、「民衆語源」を主見出しとして掲げ、「民間語源、語源俗解とも呼ぶ」としている(執筆;遠藤光暁)[2]。
^ なお「全く関係のない言語同士でも、ある言語音を聞かされると同じ図形を選ぶ」というケースが心理学において確認されており、ブーバ/キキ効果と呼ばれる。
^ 神々が出雲大社に集まるためというのは、「奥儀抄」などに見える俗説[9]。
^ 神無月の字をあてるようになったのも、平安時代に入ってからだと考えられる。・・・カミナツキの意味については、新米を収穫して酒を造る月だから醸成月(かみなしづき)の意だとか、神嘗祭(かんなめのまつり)の行われる神嘗月から出ているとか諸説があるが、まだ決定できない[10]。
^ 随筆・山崎美成『世事百談』二・方言 「また筑紫がたにては詞の末にばってんといふ助語をそへていふことあり〈略〉ばとてといふ詞の国なまりにてばってんとなるなり」 [12]
出典^ 『フォークエティモロジー
^ 明解言語学辞典、p.210、2015年8月20日第1刷発行、三省堂、ISBN 978-4-385-13578-6)
^ ⇒語源俗解とは - Weblio辞書 三省堂大辞林
^ 福島真人「<資料・研究ノート>閉ざされた言語 : サミン運動とその言語哲学
典拠管理データベース: 国立図書館
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