民法_(日本)
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しかし、ドイツ民法草案は790回参照されており(66.6%)、単純に外国法の参照数のみからいう限り、日本民法に最も影響を与えたのはドイツ民法であるとの研究がある[注釈 3][82][83]

いずれにせよ、日本民法は、特定の母法のみに基づくというよりも[84]、日本民法をして真に日本人自身の民法たらしめることが肝要であると説かれている[85]

このようにしてアジア諸国で最も早くに成立した日本民法典は、その後、植民地支配や法整備支援を通じて他のアジア諸国の民法にも影響を与えている。なお、タイ民商法典は、その起草者によれば、日本民法典はドイツ民法を基本的に継承したものであるとの理解の下、日本人の手を一切介することなく、自発的に日本民法典を範にして成立したものであると証言されている[86][87]
構成

日本の民法典の編成は、パンデクテン方式を採用している。本則は第1条から第1050条で構成される。

フランス民法及び旧民法は親族編に相当する人事編を冒頭に置くのに対し、近代個人主義的観点から、各人の身分関係に基づく権利変動よりも、その意思に基づく契約による権利変動を中心に据えるべきとの考えから、ザクセン民法典及びドイツ民法草案に倣い、親続編を相続編と共に財産に関する部分の後に配列した[88]。このため、講学上は第1?3編(総則、物権、債権)を財産法又は契約法、第4、5編(親族、相続)を身分法[89]又は家族法と呼ぶ[注釈 4]
財産法の構成

財産法が対象とする法律関係に関するルールは、所有関係に関するルール(所有権に関する法)、契約関係に関するルール(契約法)、侵害関係に関するルール(不法行為法)に分けられる。このうち後2者を統合して、特定の者が別の特定の者に対し一定の給付を求めることができる地位を債権として抽象化し、残りについて、物を直接に支配する権利、すなわち特定の者が全ての者に対して主張できる地位である物権という概念で把握する構成が採用されている。

そして、債権として抽象化された地位・権利に関しては、債権の発生原因として契約法にも不法行為法にも該当しないものがあるため、そのような法律関係に関する概念が別途立てられる(事務管理不当利得)。物権に関しても、所有権を物権として抽象化したことに伴い、所有権として把握される権能の一部を内容とする権利に関する規定も必要になる(用益物権担保物権)。また、物権と債権に共通するルールも存在する(民法総則)。

このような点から、財産法は以下のように構成されている。

第1編 総則

第1章 通則

第2章

第3章 法人

第4章

第5章 法律行為

第6章 期間の計算

第7章 時効


第2編 物権物権法

第1章 総則

第2章 占有権

第3章 所有権

第4章 地上権

第5章 永小作権

第6章 地役権

第7章 留置権

第8章 先取特権

第9章 質権

第10章 抵当権


第3編 債権

第1章 総則

債権の目的 - 債権の効力 - 多数当事者の債権及び債務 - 債権の譲渡 - 債務の引受け - 債権の消滅


第2章 契約契約法

総則 - 贈与 - 売買 - 交換 - 消費貸借 - 使用貸借 - 賃貸借 - 雇用 - 請負 - 委任 - 寄託 - 組合 - 終身定期金 - 和解


第3章 事務管理

第4章 不当利得

第5章 不法行為


家族法の構成

家族法のうち、親族関係に関するルール(親族法)は、夫婦関係を規律するルール(婚姻法)、親子関係を規律するルール(親子法)がまず切り分けられるが、その他の親族関係についても扶養義務を中心としたルールが必要となる。また、親権に関するルールは親子法に含まれるが、編成上は親子法から切り分けられて規定されている。これは成年後見制度と一括して制限行為能力者に対する監督に関するルールとして把握することによるものと考えられる。

相続法については、主として相続人に関するルール、相続財産に関するルール、相続財産の分割に関するルール、相続財産の清算に関するルールに分けられる。その他、遺言に関して、遺言の内容が必ずしも相続に関することを含まないこともあり、いわゆる遺言法を相続法と区別する立法もあるが、日本では相続法に含めて立法化しており、それに伴い相続による生活保障と遺言との調整の観点から、遺留分に関するルールを置いている。もっとも、これらを通じた規定について総則にまとめる方式が採用されていることもある。

このような点から、家族法は以下のように構成されている。

第4編 親族(親族法)

第1章 総則

第2章 婚姻

婚姻の成立 - 婚姻の効力 - 夫婦財産制 - 離婚


第3章 親子

実子 - 養子


第4章 親権


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