地域共同体と隣接あるいは重複して、宗教団体や部族・氏族もしばしば民兵組織を保有し、伝統的に地域の治安確保や問題解決に貢献してきた[22]。また伝統的な社会集団と無関係に、労働組合や警備会社を基盤として自警団的な民兵組織が結成される場合もある[4]。
政治団体が民兵組織を保有する場合もある[4]。特に反政府勢力の民兵については、ゲリラという概念との隣接あるいは重複が指摘される[4]。一方で、元来は自警団として創設された民兵組織が政治化する例も多い[4]。アラブ世界などでは、非合法・超法規的な民兵組織・暴力的集団が治安部隊の別働隊として組織されている場合がある[23]。
アメリカ合衆国の場合、地域共同体を基盤とする民兵組織は、上記のように植民地政府から州政府へと引き継がれたのちに州兵として回収され、民間武装勢力としての性格は希薄になっていったが、これを補うように、1990年代には政府からの自由を保障するための民間武装勢力の創設運動が広まった[24][25]。これは1992年8月のアイダホ州ルビーリッジにおける白人至上主義・孤立主義者(ウィーバー一家)に対する法執行(ルビーリッジの悲劇)や1993年4月のテキサス州ウェーコにおけるブランチ・ダビディアンに対する法執行(ウェーコの悲劇)を連邦政府の専横と捉えた白人至上主義者が主体となっており、頂点を迎えた1995年から1996年には団体数にして800個に達したものの、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件の犯人がそのような団体の構成員であったことから、危険団体とみなされるようになり、減少に転じていった[26]。
更には、上記のように公権力と対立する民間武装勢力と重複して、犯罪組織が保有する武装集団についても民兵と称されることもある[4]。
レバノン内戦中の民兵組織「カタエブ」の訓練風景。典型的なレバノンの軍閥であり、民兵は国軍兵士同様に戦闘服と軍靴、ベレー帽を着用している。
アメリカの黒人民族主義団体(ブラックパンサー党)の民兵。戦闘服ではなく私服を着用し、散弾銃で武装している。
アメリカの極右民兵組織「スリーパーセンターズ」の構成員
武力紛争法上の地位[ソースを編集]
ハーグ陸戦条約・捕虜条約では、民兵隊や義勇隊、組織抵抗運動団体などの名称にかかわらず、各国の正規軍隊にも共通する下記のような特徴を備えていれば、不正規軍隊の構成員であっても武力紛争法上の戦闘員としての資格を認めている[27]。
紛争当事者に属していること
部下について責任を負う指揮官が存在していること
遠くからでも判り易い固着の特殊徽章を着用していること
公然と武器を携帯すること
武力紛争法を遵守すること
また他国の侵略に対して、正規あるいは不正規軍隊として組織化する暇もなく、地域住民が自発的に抵抗する場合も、群民兵として戦闘員としての資格が認められる[27]。この場合、軍隊を編成する時間がない状況を鑑みて、不正規軍隊であれば求められるような指揮官の存在や特殊標章着用といった組織性に関する条件は求められない[27]。
現代民兵の例[ソースを編集]
公的制度[ソースを編集]「郷土防衛隊」も参照
州兵、州防衛軍
州兵と州防衛軍は、いずれもアメリカ合衆国の州の軍事組織ではあるが、前者は必要に応じて連邦政府の指揮下に入り、国外への派遣も行われるため、連邦軍の予備役部隊としての側面も強い。
郷土民兵隊(スペイン語版、英語版)
大韓民国郷土予備軍