民事訴訟法
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具体的には、原告が訴えを取り下げた場合(ただし、被告が本案について答弁をした場合は被告の同意が必要)、訴訟上の和解が成立した場合、請求の放棄・認諾があった場合には、判決をせずに訴訟手続が終了する。
弁論主義

職権探知主義の対義語。通説によると、資料(事実と証拠)の収集・提出を当事者の権限および責任とする建前のこととされ、具体的には以下の三つの内容に分けて考えられる。なお、弁論主義の適用される事実は主要事実に限られ、間接事実補助事実には適用されないというのが通説である点に注意を有する。

民事訴訟において弁論主義が採用される根拠としては、私的自治の訴訟上の反映とする説(本質説ないし私的自治説)が通説である。これを前提に、近年は、当事者が訴訟資料を限定できる権能とそれによる責任こそが弁論主義の本質であり、当事者が訴訟資料を提出できる権能(攻撃防御方法提出権、弁論権)とそれによる責任は職権探知主義にも妥当するものであって両者は区別すべきだとする議論が有力化しつつある。
第1テーゼ(当事者が主張しない事実の扱い)
その事実を当事者が主張しなければ、判断の基礎とすることはできない[6]。例えば、貸金返還請求訴訟において、被告が既に弁済していることが証拠上認められる場合であっても、当事者が弁済の事実を主張していない限り(例えば、そもそも消費貸借契約自体が不成立という争い方しかしていない場合など)、弁済の事実があったことを前提に判断をすることはできない(現行民事訴訟法第246条)。
第2テーゼ(当事者間に争いのない事実の扱い)
その事実について、当事者間に争いがない事実はそのまま判断の基礎としなければならない[6]。例えば、貸金返還請求訴訟において、被告が既に弁済していることが証拠上認められる場合であっても、被告自身が未だ弁済していないという自己に不利益な事実を認めている場合は、弁済をしていないことを前提に判断しなければならない。しかしこの場合も、通説ではそのまま判断の基礎とされる当事者間に争いがない事実とは主要事実であるとされているため、間接事実にかかわる証拠や自白において、たとえ当事者間に争いがなかったとしても、必ずしもそれがそのまま判断の基礎とされるわけではない。
第3テーゼ(職権証拠調べの禁止)
事実認定の基礎となる証拠は、当事者が申し出たものに限定される[6]。例えば、貸金返還請求訴訟において、被告が既に弁済したか否か証拠上はっきりしない場合で、裁判所としては別の証拠があれば事実認定できると考えた場合でも、当事者が申出をしない限りその別の証拠を調べることはできない(現行民事訴訟法第219条。但し第207条、215条、228条3項の場合を除く)。なお、大正旧民事訴訟法第261条では職権による証拠調べがあったが、第2次大戦後に刑事訴訟法全面改正時に削除された経緯がある。
脚注[脚注の使い方]
出典^ 日本法令外国語訳データベースシステム; 日本法令外国語訳推進会議 (2012年3月22日). “ ⇒日本法令外国語訳データベースシステム-民事訴訟法” [Code of Civil Procedure]. 法務省. p. 1. 2017年6月14日閲覧。
^ 4月24日官報 1926, p. 1.
^ 裁判所職員総合研修所監修『民事訴訟法概説(九訂版)』 司法協会 ISBN 978-4-906929-29-0 8頁。
^ 同旨、和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』商事法務 東京 2012年 68頁。
^ この説明の例は誤解を招くかも知れない:法248条(及び判例(最高裁 & 2008)))も参照のこと。
^ a b c 同旨、和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』商事法務 東京 2012年 233頁。

参考文献

ヘルマン・テッヒョー『司法制度大要講義筆記』、1882年 NDLJP:794546

4月24日官報『民事訴訟法中改正大蔵省印刷局、1926年。 

同『司法制度大要講義筆記』、1882年 NDLJP:794546

同『訴訟規則修正原案』、1885年 NDLJP:1367748

同『訴訟規則飜譯原案修正』 NDLJP:1367752

同『訴訟規則修正原案』、1885年 NDLJP:1367748

同『訴訟規則主意書』、1886年 NDLJP:1367775

司法省『シュルツェンスタイン氏日本訴訟法草案意見書』、1887年 NDLJP:1367780

日本学術振興会オットー・ルドルフ氏手記日本訴訟法案』、1942年(ドイツ語)NDLJP:1367816

判例

最高裁 (2008-06-10), 損害賠償請求事件, 判決, https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=36428 , 民集 (228): 181. 

関連項目ウィキブックスに民事訴訟法関連の解説書・教科書があります。ウィキソースに民事訴訟法の原文があります。ウィキバーシティに民事訴訟法に関する学習教材があります。

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外部リンク

『民事訴訟法
』 - コトバンク










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