民事会社
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また、この時の改正により、商法典に285条ノ2[3]が追加され、民事会社の行為についても商行為の規定が準用されることになった(準商行為)。この改正により、民事会社についても、商法に規定する会社に関する規定が直接適用されることが明らかになる。

しかし、この改正によって民事会社が商法に規定する商人と言えるようになったか否かについては、相変わらず疑義があった。そのため、昭和13年法律第72号による商法改正により、4条2項が追加され、民事会社についても商法にいう商人と擬制されることになった(いわゆる擬制商人)。また、同時期に制定された有限会社法(昭和13年法律第74号)では、有限会社の定義に関して、「商行為其ノ他ノ営利行為ヲ為スヲ業トスル」ことを要素としており、制定当初から商事会社と民事会社との区別をしなかった。

これらの法改正により、商事会社も民事会社も、商法上同じ規律を受けることになったため、両者を区別する実益はほとんどなくなっていたが、商法の規定上は一応区別されていたため、講学上の概念としては存続していた[4]
会社法制定に伴う扱いの変更

会社法(平成17年法律第86号)の制定により、商法中の会社に関する規定は削除され、会社法により規律されることになった。

会社法では、会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、それが商法501条及び502条に列挙されている行為か否かにかかわらず商行為とされている(会社法5条)。そして、商法4条1項は、自己の名をもって商行為をすることを業とする者を商人と定義していることから、通説判例によれば、商法501条又は502条に列挙されている行為をすることを業とするか否かにかかわらず、商人であるということになる[5]。したがって、従来の商事会社か民事会社かの区別は、会社法上は存在しなくなった。
外国法人の認許との関係

もっとも、会社法制定後も、当時の民法36条2項が、認許する外国法人の示し方として「商事会社」と規定していたため、日本の旧来の民事会社に該当する外国法人につき、日本国内でその成立が認許されるかどうかという問題は生じ、民事会社の認許を否定するのであれば商事会社と民事会社を区別する実益がないわけでもなかった。条文上民事会社については認許の対象から外れていたため、民事会社が認許されるためには別途法律又は条約による特別規定が必要になるかが問題になるためである。

しかし、これについても、民法36条2項に規定する「商事会社」は、形式的に見れば狭すぎ、民事会社も含む概念であるとする考え方が支配的であり、そのような見解からすれば、外国法人の認許という点からも民事会社概念を存続させる意味はなかった。

そして、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の制定に伴う民法改正により、認許の対象につき「商事会社」から「外国会社」に変わったため(平成18年法律第50号による改正後の民法35条1項)、外国法人の認許という観点からも、民事会社という概念を維持する実益はなくなったものである。
同様の例

同様の例として、船舶がある。商法においては、船舶とは、「商行為ヲ為ス目的ヲ以テ航海ノ用ニ供スルモノ」(商法684条)と定義される。もっとも、船舶法は、「商法第三編ノ規定ハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テセサルモ航海ノ用ニ供スル船舶ニ之ヲ準用ス但官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶ニ付テハ此限ニ在ラス」(船舶法35条)と規定している。
^ コモン・ローでは伝統的にこのような区別は明確ではない。
^ 商法42条は、昭和13年法律72号による改正により52条に移動
^ 昭和13年法律第72号による改正により523条に移動
^ その後、民事会社に関する民法35条は、商法中の規定と重複するとの理由により、民法現代語化の際に削除された。
^ 江頭憲治郎『株式会社法』(有斐閣)31頁、最判平成20年2月22日民集62巻2号576号


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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