民主党(みんしゅとう、英語: Democratic Party)は、アメリカ合衆国の政党。共和党と並んで、現代のアメリカの二大政党である。党のイメージカラーは青で、民主党が強い州を「青い州(Blue State)」と呼ぶ[27]。党のシンボルはロバで、これは民主党の最初の大統領であるアンドリュー・ジャクソンが、選挙戦中に対立政党である国民共和党員から「ジャクソン」という名前から「ジャッカス=ロバ(ノロマ、間抜けを意味する)」と揶揄されたのを逆手にとって自らのシンボルをロバにした事が起源だといわれている[27]。 トーマス・ジェファーソンが創設した民主共和党を起源とし、1828年にアンドリュー・ジャクソンの支持者によって設立された。世界最古の歴史を持つ現存政党である[28]。第二政党制下(1828年-1854年)ではホイッグ党と政権交代を繰り返したが、南北戦争以後の第三政党制・第四政党制下(1860年-1932年)では共和党に圧倒されて大半の時期は野党に沈んだ[29]。現在の第五政党制下では共和党と拮抗して政権交代を繰り返している。 結党当初は民主党が右派で共和党が左派に位置付けられていたが20世紀前期に保革が逆転している。以後は「大きな政府」志向が強くマイノリティーの支持を集めている。都市部に強く、大都市が集まる東海岸・西海岸に強い支持基盤がある[27]。2010年代以降は党内に中道派(中道左派、穏健派)と左派(急進左派)の対立を抱えている[30][31][32][33][34][35][36][37]。 1829年3月4日から1837年3月4日まで在職した第7代大統領アンドリュー・ジャクソンを最初としてこれまでに16人の民主党員(現職の大統領であるジョー・バイデンを含む)が大統領を務めた。2021年現在民主党は大統領職・連邦下院・15の州政府のトライフェクタ(州知事職と両院)[38]・アメリカのほとんどの主要都市の市長職[39]・合計19の州議会で過半数を保持している。現在の連邦最高裁判所判事9人のうち3人は民主党大統領によって任命されている。 民主党の起源は憲法制定期の反連邦派
概説
歴史詳細は「アメリカ合衆国民主党の歴史」を参照
初期の頃のジャクソンの民主党は東部名望家層の支配に反発する新興西部の農民やコモン・マン(家柄や教育がない人々)の利益を代表し、特権廃止、機会均等、競争の自由、普通選挙制、官職交替制、全国党大会制など民主的諸制度の確立に努めたが[40]、ジャクソン大統領の度重なる拒否権行使などに反発を強めた反ジャクソン諸派が糾合して1834年にホイッグ党が結成され、この後しばらく民主党とホイッグ党の二大政党制となった(第二政党制)[42]。
1830年代末に南部利益の代弁者であるカルフーン派が民主党に復帰すると、ジャクソン時代とは逆に黒人奴隷を使役してプランテーションを経営する南部入植者たちが党のヘゲモニーを握るようになり、奴隷制の維持拡大を求める南部保守主義の影響が強まった。党は分裂を回避するために奴隷制問題への態度表明を避けるようになった[43]。
しかし、1850年代には工業化する北部を中心に奴隷制問題が政治争点として浮上し、民主党内も奴隷制を支持する南部民主党員と奴隷制への批判を強める北部民主党員の間で亀裂が深まった[44]。