毎日新聞
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2024年1月10日付で最高裁判所が双方の上告を受理しない決定をし、毎日新聞の逆転敗訴とした2審判決が確定した[46]

疑義が持たれた報道・捏造報道・スキャンダル



1969年12月12日の朝刊トップで、前年に発生した三億円事件の12,301人目の被疑者として、捜査線上に浮かんでいた元運転手の存在を単独報道した。毎日紙面に載ることを知った警視庁は、容疑者の逃亡を防ぐため、新聞配達前に急遽任意同行を求め、別件で逮捕して取調べを行った。他のマスコミによる後追いも含め、実名や顔写真も入りで生い立ちや現在過去の人間関係を暴くなどの犯人扱いの報道が行われた。ところが、犯行当時のアリバイが成立した事件と無関係と判明され、翌日釈放された。この被疑者は別件逮捕で職を失い一家は離散、「三億円事件のただ一人の逮捕者」との周囲の偏見や、マスコミ関係者の「あの人は今」的な取材に悩まされノイローゼ状態となり、2008年9月に自殺していたことが明らかとなった[47]。詳細は「三億円別件逮捕事件」を参照

1971年沖縄返還協定に関する日米間の密約情報を、毎日新聞政治部記者の西山太吉が外務省の女性事務官との肉体関係を利用して入手した。この密約情報が社会党に渡り、国会で政府を追求して大問題となり2人は逮捕された。密約の内容よりも肉体関係を利用した手口などに関心が集まり、報道の自由がどこまで許されるのか物議を醸した。西山と女性事務官は国家公務員法の守秘義務違反で有罪となった。この西山事件により毎日新聞は不買運動に悩まされ、第一次オイルショックの影響も受けて経営が悪化、前述のように新旧分離方式での再建をやむなくされる。詳細は「西山事件」を参照

1976年10月12日民社党河村勝衆議院議員に関する毎日新聞のロッキード事件報道に反発。毎日新聞の不買運動を起こすことを決定し、党員や支持母体に協力を要請する方針を示した[48]

1984年1月24日の夕刊社会面で漫画『日出処の天子』の内容は信仰対象を冒涜しているとして法隆寺が怒り、抗議を検討しているという談話と、作者の山岸凉子・掲載誌である『LaLa』編集部の反論コメントを掲載したが、この三者のコメント全てが実際の取材を行わずに記事を書いた毎日新聞奈良支局記者の捏造であり、法隆寺側は問題の漫画を読んですらいなかった[49][信頼性要検証]。作者や編集部による抗議や事実無根であるとの法隆寺の強い申し入れがあり、2月4日の夕刊紙上で関係者各位へのおわびを掲載した[50]

1989年6月1日、夕刊紙上で「グリコ事件で取り調べ 江崎社長の知人ら4人」と、当時社会現象にまでなっていたグリコ・森永事件の犯人逮捕をスクープしたが、関連記事の全てが捏造であったことが発覚、岩見隆夫編集局長が辞任し6月10日に「行き過ぎ紙面を自戒」と紙上で捏造を認め釈明した。詳細は「毎日新聞のグリコ・森永事件に関する捏造事件」を参照

1998年2月4日、東京都中野区で「ナヌムの家」に関する試写会が行われた際に、「現場に居た元慰安婦に対して『好きでやったんだろう』『売春婦!』と会場から『とげとげしい野次』が飛んだが、会場に居た元慰安婦の女性がすくっと立ち上がって身の上話をしたところ会場は静まり返り、それを見た友人が「感動的」だったと教えてくれた」と佐藤由紀記者が伝え、映画を紹介した[51]。しかし、実際には現場でそのような野次はなく虚偽の内容であった。翌月に毎日新聞社は「先月行われた試写会でとげとげしいやじがあったとあるのは、一昨年の別の試写会での出来事でした。(中略)また元従軍慰安婦の女性が身の上を語ったとあるのは、映画の中のことでした」と訂正し謝罪[52]。ところがこの訂正記事も内容がおかしく、映画の中に「身の上話」など出てこないことが指摘され、虚報に虚報を重ねるという報道機関としての体質を批判された[53]

2005年12月28日、JR羽越線竜巻によっておこった車両転覆事故に対し、社説内で「この路線を何度も運転している運転士ならば、風の音を聞き、風の息づかいを感じられたはずだ」とする論説を掲載し、事故の原因は突風ではなく運転士の経験不足による人災であるとしてJR東日本の運行管理体制を批判したが読者からの非難が殺到したことから2006年2月7日、検証記事を掲載し科学的見地を無視した感情に偏った行き過ぎた批判であったことを認めた。検証記事では「開かれた新聞」委員会委員によるコメントが寄せられており、そこでは一連の社説は責任追及を優先する論説委員の個人的感情であり、「現実とかけ離れた精神論」でしかないことが指摘されている他、非科学的な論拠しかないために説得力を持たず、「安全対策にほとんど役に立たない」と論説を批判している。

2006年8月、奈良県で妊婦が出産中に意識不明になり、他の19の病院に受け入れを断られた末に大阪の病院まで運ばれ、出産後に脳内出血により死亡するという事件が起きた。これに対し毎日新聞は10月に記事として発表し、検証キャンペーンを行った。この結果日本の母子救急搬送システムの不備が広く問われることになった。一方、この内容について医療従事者から報道内容が事実に反し、科学的でないと指摘がなされたが毎日新聞の公式見解としてはこれまでのところ、「訂正すべき記載はない」として見解が対立している。第11回新聞労連ジャーナリスト大賞特別賞、第14回坂田記念ジャーナリズム賞を受賞した。詳細は「大淀病院事件」を参照

この事件に関して毎日新聞は2006年10月22日「支局長からの手紙」において「何度足を運んでもミスや責任を認めるコメントは取れませんでした」と、医療訴訟などが何も起こされていない段階で医療ミスであったと主張している。しかし2008年12月18日「記者の目」(東京社会部・清水健二)において「誰かに強引に責任を押しつけるような報道は慎むべきだが、報道がなければ関係者は危機感を共有できず、再発防止策も立てられない」と社としての意見を翻すとともに、自らは口を挟むのみで、「関係者」が問題対策に関わるべきであるとしている[54]


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