歴史哲学
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「歴史を導くものと想定されたなんらかの原理から過去の意味を理解し、現在を位置づけ、また未来に見通しをつけることができるとする考え方」[10]。
キリスト教的歴史観
アウグスティヌスなどによってまとまられた歴史観であり、天地創造から神の国への到達によって終わる目的論的歴史観。失楽園から始まった人間の歴史は、キリストの再臨における神による裁きで終わる、と説く。
ヘーゲル史観
ドイツの哲学者G.W.F.ヘーゲルの著書『歴史哲学講義』によって唱えられた歴史観。歴史とは弁証法的に発展する自己意識の発展の過程であり、自由を獲得する過程であるという観念論的歴史観。ヘーゲルは当時のプロイセン国家の成立を歴史の終わりと見た。
唯物史観
主にドイツの哲学者カール・マルクスが唱えた、ヘーゲルの観念論歴史哲学に対して、生産構造や技術革新などの経済的・物質的要素を重視する唯物論的歴史観。歴史上のすべての闘争は階級闘争だと主張し、階級格差のない共産主義社会の実現を歴史の先史の終わりと見た。
新進化主義
19世紀に隆盛した社会進化論は、20世紀には衰微したが、第二次世界大戦後に、新進化主義として復活した。人類とその文明の進歩は、消費エネルギーの総量の増大で示される、とする。ウィリアム・マクニールの『世界史』はこの考え方で描かれている。
フランシス・フクヤマ的歴史観
アレクサンドル・コジェーヴの解釈によるヘーゲル的な歴史哲学を援用し、歴史とはリベラルな民主主義が自己の正当性を証明する過程であるという歴史観。ソビエト共産主義の崩壊による冷戦の終結を、リベラルな民主主義の最終的な勝利であり、歴史の終わりであると主張した。
その他
2010年に発表された柄谷行人『世界史の構造』は、ヘーゲル・マルクス的な枠組みのもとに、ウェーバー[要曖昧さ回避]、文化人類学(カール・ポランニー、マーシャル・サーリンズ)、精神分析(フロイト)、ウィットフォーゲル東洋的専制君主論、ウォーラーステイン世界システム論、宇野経済学、カント永遠平和のために等を総合化した世界史像構築の試みである。
歴史主義[ソースを編集]国民国家の成立とともに形成された史観。歴史に普遍的な目的があるとは考えず、各民族・各国民には固有の歴史と民族の精神とその発展があり、歴史は各国・各民族の競争であるとする。ランケ『強国論』を嚆矢とし、19世紀のプロイセンで発展した。ロマン主義や国家主義、文化相対主義などと結びついてきた。
文明論[ソースを編集]人類社会の発展や進歩に普遍的な目的論を採用せず、自然環境要因と文化の伝播などを重視する考え方。文化伝播論は、厳密には歴史哲学ではないが、文化の伝播に関する巨視的研究や個別の実証研究の総合化の試みは、文明論などの歴史解釈の思想へも影響しているため、あわせて記載する。
枢軸時代論
人類が神話時代から脱し、人間として自己を自覚し、人間存在を意識するようになった「歴史の軸となる転換」が生じた、という論。カール・ヤスパースが1949に刊行した歴史の起原と目標で説かれている。
文化伝播論
各地の文化・文明の発展において、相互の文化の伝播を重視する考え方。アルフレッド・クロスビーが提唱したコロンブス交換や、ウィリアム・マクニールの『疫病と世界史』、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』などが有名。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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