武蔵野
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代表的な例として、埼玉県入間郡三芳町の上富(かみとめ)地区(三富新田[14]の一部)が挙げられる。この地域では、柳沢吉保の命による開拓当時から300年以上続く「屋敷林 - 畑地 - 雑木林」がセットになった土地利用が比較的よく保存されており、1960年代以降工場や配送センターなどの建設による蚕食を受けてきてはいるものの、地元営農家グループ[15]や地域の教育委員会などによって、受け継がれてきた生活空間の維持が意識的に取り組まれている。

このほか県下ではナショナルトラスト方式で土地の買い取りをすすめる「トトロの森[16]さいたま緑のトラスト協会[17]などの取り組み例もある。また、新座市にある平林寺では、43haにおよぶまとまった境内林が開発を免れ残されていて、「武蔵野の雑木林の面影の残る広大な境内林」であるとして国によって天然記念物に指定されている[18]

宮崎駿のアニメ作品「となりのトトロ」は丘陵と農地の入り混じった美しい農村風景を描いた作品として知られるが、こうした風景は昭和中期の所沢周辺の農村地域をモデルとして創造されたと言われている。
東京都など

東京都内ではスプロール化はより進行しており、比較的平坦な土地について言えば、まとまった広さの里山景観を見ることはほとんどできない。数ヘクタール以下程度の運よく宅地化を免れた比較的小規模な雑木林竹林などが保全され、行政の委託を受けたNPOなどが維持管理をしている例は各地にいくつか見られる[注釈 18]

宅地化の進まなかった傾斜地周辺ではまとまった量の緑地が残されてきたケースがあり、国分寺崖線ぞいなどもその一例だが、より広い空間をもつ山すそ地などでは谷戸を中心とした里山づくり・保全がすすめられている例がある。たとえばあきる野市の横沢入[19]八王子市堀之内地区[20](ただここの2カ所は国木田の言うところの『武蔵野』の範囲には含まれない)や、いずれも狭山丘陵に抱かれるさいたま緑の森博物館野山北・六道山公園など。

また多摩川を南へ渡れば、もともと武蔵野台地よりも起伏が激しく谷戸が多かった(多摩丘陵)関係で、町田市川崎市横浜市などでは一定数の谷戸が谷戸田を含む里山景観地として保全されている。

そのほかいくらか珍しい事例として、「昭和30年代の農村風景を再現」しようという昭和記念公園の「こもれびの里」[21]のような取り組みもある。

とはいえ、これらの多くは範囲が狭小だったり、周囲が山地だったりするため、国木田が書き残した武蔵野とはまた別種の景観を呈しているというべきであろう。
「武蔵野」の名をもつもの
地名

地名に「武蔵野」の名が使われる場合がある。

かつての武蔵国にあたる地域の中で自治体名、住居表示名に「武蔵野」が使われている例は以下のとおり。

東京都 武蔵野市

東京都 府中市 武蔵台(武蔵台は武蔵野台地の略[22]

東京都 昭島市 武蔵野

東京都 福生市 武蔵野台

東京都 西多摩郡 瑞穂町 むさし野

埼玉県 ふじみ野市 福岡武蔵野 - 旧・上福岡市 武蔵野

埼玉県 ふじみ野市 大井武蔵野 - 旧・入間郡 大井町 武蔵野

埼玉県 深谷市 武蔵野

埼玉県 川越市 むさし野

埼玉県 川越市 むさし野南

四股名

武蔵野和田右エ門
- 宝暦年間(1760年代)の力士。最高位幕下筆頭。

戸田川鷲之助 (4代) - 天明年間(1780年代)の力士。最高位前頭3枚目。冨士ヶ嶽 → 武蔵野幸内 → 戸田川幾右エ門 → 戸田川鷲之助(4代)と改名。

武蔵野久五郎 - 文化(1810年代)の力士。最高位幕下9枚目。

佐渡ヶ嶽沢右エ門 (3代) - 文化文政年間(1810・20年代)の力士。最高位前頭筆頭。武蔵野初五郎 → 桟シ初五郎(初代) → 桟シ初右エ門 → 佐渡嶽沢右エ門(3代) → 佐渡ヶ嶽沢右エ門と改名。

武蔵野門太 - 天保弘化年間(1840年代)の力士。最高位前頭4枚目。

武蔵野弥助 - 安政年間(1850年代)の力士。最高位前頭5枚目。武ノ川弥助 → 武蔵野弥助と改名。

武蔵野英之助 - 1880年頃の力士。最高位十両6枚目。

1940年代の力士。最高位幕下5枚目。

1950年代の力士。最高位序二段47枚目。

1960年頃の力士。最高位序二段80枚目。

その他

「武蔵野」はまた以下の名称にも使われている。
普通名詞

武蔵野うどん」 - 東京都多摩地域と埼玉県西部(かつての武蔵国の入間郡と多摩郡)に伝わるうどんのこと。「手打ちうどん」とも呼ばれる。

江戸時代に使われていた図抜けて大きいの総称。武蔵野は広大すぎて全てを一望に収めることができない、すなわち「野、見尽くさず」ということから、盃が大きすぎて飲み干すことができない「飲み尽くさず」にかけた語呂合わせであるという。『毛吹草』や『西鶴織留』などに記述がある[23]

固有名詞、商標など


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