歌謡曲
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その影響下でつくられた歌謡曲をテクノ歌謡とも呼ぶ[46][注 7]
ニューミュージックとシティ・ポップ

また、中産階級志向・フュージョンAOR志向のニューミュージック並びにシティ・ポップは、歌謡界とは一線を画しながらファンを拡大していった。
1980年代末:昭和の終焉と音楽の多様化

1980年代末になるとアイドルブームはパワーを失っていき、ニューミュージック/ロック/ポップス/歌謡曲の差異も相対的に曖昧なものとなっていく[45]。音楽ジャンルの差異が極小化し、自らがロックであると自己言及しさえすれば、何でもロックとして流通する「総ロック化の時代」となっていく[47]。さらにバンドブームが1980年代末に到来したことも追い打ちをかけた。

1989年に昭和が終わるとともに昭和歌謡の歌姫である美空ひばりが逝去し、前後して人気の高かった歌謡番組「ザ・ベストテン」が終了するなどテレビ、ラジオ問わず歌謡ランキング番組や賞レース番組も相次いで終了した。
1990年代?2010年代前半:J-POPの時代

1992年初めにビーイングブームが発生し、歌番組における露出が控えめな歌手でも売上が伸びる現象が起き、従来の「歌謡曲」に代わって「J-POP」などの言葉が流布されるようになった。

J-POPと演歌という体制ができる中、歌謡曲・アイドル歌謡は埋没した存在となったが、J-POPでも一部歌謡曲調の楽曲が作られたり(例・青春アミーゴ)、歌謡曲のカバーを中心とした若者向け番組が放送されるなどして(例・坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT)、存続をはかった。
2010年代後半?:再ブーム

2010年代後半から、1960年代から1980年代にかけての歌謡曲がYouTubeTikTokなどの動画共有サービスを通してシティポップが若者たちの間でブームとなり、その流れで昭和歌謡の再評価が起き、メディアで取り上げられる機会も増えた。音楽評論家の中将タカノリはこの現象について「メディアミックス、現代ポップスの複雑化の反動、海外での再評価……いろんな現象が同時に重なったことで今、あらためて昭和の楽曲にスポットがあたっている」と解説している[15]
評論

音楽学者の小泉文夫は1977年に発表した「歌謡曲の音階構造」[注 8]において、四七抜き音階から二六抜き音階(エオリア短調)へ移行しつつあると指摘し、これを日本の伝統的音楽感覚、民謡音階の復活とみて、1970年代の歌謡曲における「ラドレミソラ」音階を「日本のうたの古層の出現」と評した[注 9]。この小泉理論に対して佐藤良明は、世界的にロック音楽が浸透した結果、さらにロック音楽のルーツにあるジャズやブルースなどの黒人音楽の影響のもとに二六抜き音階の出現があるとしており、たとえば美空ひばりの「真赤な太陽」(1967年)には、日本伝来の民謡よりむしろアメリカ音楽の影響が強く、民謡の再現というよりも、ロック音楽としてみなすべきだとした[48][49]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 1920年代船頭小唄」流行頃には演歌師が活動していた為、演歌の派生は1920年代頃とする説もある[9]
^ 他方、演歌サイドにとっての「歌謡曲」とは「ひたすら耳に快感を与える」音楽といった説明がなされることもある[10]
^ この用法は現在でも使用されることがあり、クラシック的な歌曲、欧米のポピュラー音楽のカバー曲、シャンソンを指す和名としてなど、広いカテゴリーを持っている。
^軽音楽」という言葉もこの頃古くなったと見られ、『現代用語の基礎知識』は、翌1973年版から「軽音楽用語の解説」を「ポピュラー音楽用語の解説」に修正している[16]
^読売新聞』の昭和8年7月7日の記事には「『歌謡曲』というから、シューベルトブラームスのリート(歌曲)を放送するのかと早合点すると、そうではない。渋谷の姐さんが歌う流行歌であり、AK(現在のNHK東京)の当事者に理由を聞くと、何故か放送ではなるべく流行歌なる語を使いたくないそうだ」(仮名遣い等を一部現代語化、小学館日本国語大辞典「歌謡曲」の項に掲載)と書かれており、当時、「歌謡曲」がクラシック音楽の歌曲を意味していたこと、そしてNHK側も「流行歌」という言葉を使用しなかった事情の一端が窺える。
^ この頃には演歌の歌唱法と比較した場合に感情表現が少なめな音楽として歌謡曲という用語が用いられている。
^ 1999年P-VINEレーベルが『テクノ歌謡』をタイトルとするコンピレーション・アルバムを発表。
^ 小泉 1984に収録。
^ 小泉文夫や佐藤良明の所説に関して、"増田聡、「音階論とポピュラー音楽研究 : 小泉文夫による歌謡曲論の理論的前提」『鳴門教育大学研究紀要 芸術編』2003年3月7日 第18巻 p.13-21, 鳴門教育大学" が論じている。


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