歌舞伎俳優
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また役者の足取りに合わせて打たれたるなど、動作や物音を強調するためにも用いられ(ツケ[注釈 19]という)、この場合には床に置いた板(ツケ板)に打ちつける[68]隈取の例

隈取はおもに時代物で行われる化粧法である。顔に線を描いたもので、もともとは血管や筋肉を誇張するために描かれたものだとされている。役柄により色が異なり、赤系統の色は正義の側の人間に、青系統の色は敵役に、茶色は鬼や妖怪などに用いられる。

見得は演目の見せ場において役者がポーズを決めて制止することを指す。映画におけるストップモーション技法に相当し、役者を印象づけたり舞台の絵画的な美しさを演出したりするのに用いられる。六方(ろっぽう)は伊達や勇壮なさまなどを誇張したり美化した荒事の要素をもつ所作である。歌舞伎では、当初は舞台への出のときに行われたが、後代になるともっぱら花道への引っ込みのときにこれが行われる。

外連(けれん)は宙乗りや早替り、仕掛けなどを使うなど観客を驚かせるような演出である。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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役者
名跡と屋号

一代に終わらず何代も受け継がれる歌舞伎役者の芸名は、名跡(みょうせき)と呼ばれている。名跡を継ぐことを襲名(しゅうめい)といい、役者たちは経験を経るにつれ、名跡を順々に取り換えて次第に大きな名跡を継いでいく。実子や血縁者が継承することが多いが、養子や実力のある高弟ら[70]に名跡を継がせることもある。ただし、ここでいう養子は法的な意味でのそれとは限らず、いわば芸の上での養子であることもあり、これを芸養子という。

役者たちは名跡とは別に名跡・芸名ごとにきまる屋号(やごう)を持っている(歌舞伎役者の屋号一覧参照)。歌舞伎では役者の登場時やセリフ・見得が決まった時など[注釈 20]大向こう(≒後ろの方の席)などから役者に声をかける習慣があるが、その時は芸名でなく屋号で呼ぶのが基本である。
役者の養成

歌舞伎役者の家柄に生まれた者の場合、幼少時から芸の基礎となる習い事(日本舞踊、長唄、鳴物など)を始め、未就学のうちに役者の子や孫として舞台に上がる「初お目見え」[71]、そして「初舞台」を経験し、子役として舞台経験を積む[72][73]。思春期になり変声をすると役がつかなくなり、20歳ごろまでは稽古をしながら学業に励む時期となるため、ここで自らの進路について考えることとなる[74]。歌舞伎役者になることを選ばない者もいる。

歌舞伎とは関係のない家に生まれた世襲以外の志望者については、国立劇場の新人育成研修(後述)、1997年に開塾した松竹上方歌舞伎塾[75][76]で研修生を募集しており、選考試験に合格した者が研修を受けることができる。研修終了後は国立劇場養成課などを通じ、歌舞伎俳優に弟子入りをして、師匠から芸名をもらう[77]。また入門後に歌舞伎の世界の礼儀作法やしきたりなどを覚え、セリフの無い役や立ち廻り、後見や付き人などとして役者修行をはじめる[78]。このような経緯を辿って役者となり、抜擢も受けるようになった例としては、二代目市川笑也中村芝のぶ[注釈 21]二代目市川月乃助二代目市川春猿[注釈 22]らが知られる。

ほか、子役で歌舞伎の舞台に出演したときに素質を見込まれて部屋子・芸養子となると、役者と同じ楽屋で鏡台を並べ、有力な役者の子弟(御曹司)と同様に教育を受けることとなる。このように育成された例としては、五代目坂東玉三郎六代目片岡愛之助などが知られている[注釈 23]

歌舞伎界に入門して10年以上で幹部俳優の推薦を受けた役者は、日本俳優協会の名題資格審査(名題試験)を受験することができる。筆記・作文・実技の審査に合格して『名題適任証』を取得し、関係各方面の賛同を受けて名題昇進披露を行った者は「名題俳優」と呼ばれる。歌舞伎俳優の家に生まれた者も歌舞伎とは無関係な家に生まれた者も、同様に受検して資格を得ている[81]。名題に昇格していない者は「名題下」と呼ばれるが、『名題適任証』を取得しているにもかかわらず、あえて昇格をしない者もいる。単なる身分の上下ではなく、立ち廻りの演出を行う専門職の立師(たてし)は名題下の職分であるためである[82]

銀行員であったが市川宗家に婿入りしたことから29歳で役者修業に入った五代目市川三升三代目市川猿之助浜木綿子の息子として生まれたが両親の離婚のため母親に養育され、長らく本名で俳優活動を行った後に45歳で歌舞伎の世界に入った九代目市川中車などは珍しい例といえる。

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伝統歌舞伎保存会

社団法人伝統歌舞伎保存会は、1965年(昭和40年)に文化財保護法に基づき設立された団体である。

1966年(昭和41年)4月に歌舞伎は国の重要無形文化財に認定され、同会はその保持団体として認定を受けた。会員は歌舞伎関係者のうち「舞台経験20年以上の技能に優れたもの」で、重要無形文化財「歌舞伎」の保持者として総合認定を受けている[1]。俳優、長唄(唄方、三味線方)、竹本(唄方、三味線方)、鳴物、狂言作者[83]など、2021年6月の時点で現会員は199名(引退・物故会員247名)である[84]

独立行政法人日本芸術文化振興会国立劇場)や松竹と協力し、歌舞伎俳優(1970年より)と歌舞伎音楽演奏者(竹本は1975年、鳴物は1981年、長唄は1999年より)の新人養成事業を行っている[85]。また若手俳優や演奏家に対して各劇場の稽古場で日常的に研修を行うほか、研修・勉強会に指導者を派遣するなど、歌舞伎という芸能の伝承と育成のための活動[86]、中学生・高校生を対象としたワークショップも継続している[87]

2020年5月28日に日本俳優協会YouTubeチャンネル「歌舞伎ましょう」[88]を開設しており、歌舞伎の魅力を伝えるための動画配信を行っている[89]。歌舞伎の舞台裏や役者の稽古の様子、自主公演のPRや私生活での趣味など多種多様な内容の動画がアップロードされており、六代目市村竹松・尾上音蔵による歌舞伎・歌舞伎化粧の英語解説の動画も作られている。
舞台歌舞伎座の舞台平面図[90]奥村政信画『芝居浮繪』(しばい うきえ)寛保年間の葺屋町市村座。
舞台の各部分

歌舞伎の舞台を右図にしたがって説明する。なお客席から舞台を見たとき右側を上手(かみて)、左側を下手(しもて)という。

花道は舞台下手から客席を貫いて設けられている通路状の舞台である。正面の舞台は本舞台という。花道は役者の入退場に用いられるばかりでなく、ここで重要な演技も行われる。観客のすぐそばを通ることで役者の存在感をアピールするなどの演出が可能となる[注釈 24]

舞台の両端には大臣囲い(だいじんがこい)があり、下手側の大臣囲いには太鼓などの演奏や長唄、効果音などを演奏するための場所で外側には黒い御簾(みす)がかけられている。この場所を黒御簾(くろみす)もしくは下座(げざ)ともいい、ここで奏でられる音楽を黒御簾音楽もしくは下座音楽という。一方、上手側の大臣囲いの2階は義太夫狂言(=人形浄瑠璃から取り込んだ演目)などで竹本という語り物とその伴奏である三味線を奏でる場所で、床(ゆか)と呼ばれる。大臣囲いの端の柱は大臣柱(だいじんばしら)と呼ばれている。これは現在では単なる柱にすぎないが、歴史的には歌舞伎舞台の先祖である能舞台で屋根を支える柱からきており[91]、歌舞伎においても古くは舞台の屋根を支えるために用いられていた[91]


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