欧州宇宙機関
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予算パリにある本部ダルムシュタットの管制室

ESA の予算は2005年度は29億7700万ユーロ、2006年は29億400万ユーロであった[6]。ESA の予算の大部分はロケットの開発である(22%の予算がロケットにつぎ込まれており、有人飛行が次に多い)。2005年は負担額の大きい3か国が全体の3分の2を負担しており、その内訳はフランス (29.3%)、ドイツ (22.7%)、イタリア (14.2%) である[7]

予算は加盟国のGDP比に基づいて義務的に支出する予算と、加盟国が自らの意思で各プログラムへの参加・不参加を決め、拠出額を決める選択的予算の2本立てとなっている[8]。加盟国が拠出した額に応じて、その加盟国に拠点を置く企業に契約を配分するという、「地理的均衡配分」(Fair return)の原則が貫かれている[注釈 1][8]。義務的予算はESAの事務経費や設備維持、科学探査計画に充当され、選択的予算はロケット衛星の開発に充当される[8]。選択的予算の拠出額の大きい国が計画の主導権を握り、自国の負担した予算が自国の宇宙産業を発展する仕組みになっている。これまではこの方法が機能していたものの、打ち上げ費用の安価なロシアやインドの攻勢やスペースXの参入のように近年の競争の激化により、従来の方法では意思決定に時間を要し、各国の利害調整が必要なため、見直しの意見も出ている。

参加国必須
Contr.選択
Contr.計
(単位:百万?.)計 (%)
フランス15.63%31.55%778.827.97%
ドイツ23.41%21.45%614.822.08%
イタリア12.88%14.59%397.914.29%
イギリス16.93%5.91%239.38.59%
ベルギー2.83%7.37%167.46.34%
スペイン6.87%5.76%169.06.07%
スイス3.40%3.49%97.33.49%
オランダ4.43%2.87%90.93.26%
 スウェーデン2.61%2.11%62.52.25%
 オーストリア2.26%0.87%33.71.21%
 ノルウェー1.70%1.02%33.21.19%
 デンマーク1.82%0.78%28.81.03%
 フィンランド1.37%0.54%20.70.74%
アイルランド0.95%0.30%12.80.46%
ポルトガル1.40%0.21%12.70.45%
ギリシャ1.50%0.12%12.50.43%
ルクセンブルク0.21%0.13%4.20.15%


ESA の予算のうち 5% はカナダなどの第三者・機関から拠出される。

宇宙計画
実施済

スペースラブ - スペースシャトル搭載の宇宙実験室。1983年-1998年実施。日本向井千秋も搭乗。

ジオット - ハレー彗星探査機。1985年-1986年

ハッブル宇宙望遠鏡 - アメリカ航空宇宙局 (NASA) との共同開発。1990年-。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が後継機として計画中。

ユリシーズ - 太陽極軌道観測機。NASAとの共同開発で1990年打上げ。

SOHO - 太陽・太陽圏観測衛星。NASA との共同開発。1995年-

ホイヘンス - NASA の土星探査機カッシーニから土星の衛星タイタンに降下。1997年打上げ。2004年降下、探査成功。

アルテミス - 通信技術試験衛星。2001年打上げ

インテグラル - ガンマ線観測衛星。2002年打上げ。

マーズ・エクスプレス 火星探査機。2003年初に打ち上げ、年末に火星に到着した。

ロゼッタ - 彗星探査機。2004年打上げ。

ビーナス・エクスプレス - 金星探査機。2005年打ち上げ。

国際宇宙ステーション - 実験棟コロンバスの提供。

国際宇宙ステーションへの無人宇宙補給機 - 欧州補給機の打上げ。

COROT - 太陽系外惑星探査衛星。2006年12月27日打ち上げ、トランジット法による太陽系外惑星探査専門衛星。

プランク衛星 - アメリカ航空宇宙局が打ち上げ観測に成功したWMAP衛星の後継観測衛星。アリアン5型の大きさを活用して、太陽-地球系のL2点に静止した大型衛星で観測的宇宙論観測を行う。

ハーシェル宇宙望遠鏡 - 波長60から670μmの赤外線を観測、口径3.5m。2009年5月14日にプランク衛星と相乗りで打ち上げ。

国際宇宙ステーション - 実験棟コロンバス、観測用の窓モジュールキューポラ (ISS)の提供。欧州補給機(ATV)による補給のサポート。

SWARM - 地球観測衛星。地球磁気圏データ収集を同型衛星3基の連携でおこなう。2013年打ち上げ。

ベピコロンボ - 水星探査機。日本の宇宙航空研究開発機構との共同開発。ESA 側では、水星面の撮像を行う探査機の開発及び打ち上げロケットの確保・管制などを実施。日本時間 10月20日(土) 10時45分28秒打ち上げ成功。7年後の2025年末に水星に到着する予定である。

計画中

ガリレオ - 欧州版GPS。構築中、2019年までに完成予定。

オーロラ計画 - 有人・無人太陽系探査計画。当初、2030年までの火星有人飛行が目的とされた。

LISA - 重力波宇宙望遠鏡。2015年にテスト衛星LISA パスファインダーを打ち上げ、将来、本衛星を打ち上げて観測を行う計画。2009年現在、NASA と共同開発中。

EJSM - 木星探査計画。NASAと共同。

計画中止

エルメス - 再利用可能な有人宇宙往還機。欧州版スペースシャトルだったが、計画中止。

EUSO計画 - 実験棟コロンバスに設置予定だった高エネルギー線観測用望遠鏡。ESA中心で日米と共同開発していたがESAは脱退、現在は日本中心の体制に改められ継続中。

ダーウィン - 3機の宇宙望遠鏡を編隊飛行させて太陽系外惑星の観測を行う計画。2015年以降の打ち上げを予定していたが、開発を行わないことが決定された。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 欧州ロケット開発機構の時には自国の企業が拠出額の倍の受注を得た例もあった。

出典^[1]


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