次元
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現代的な次元の概念は、古典的な図形の幾何学がユークリッド空間内の点集合論として一般化される19世紀末から20世紀初頭に掛けて、ポアンカレブラウワーを萌芽としてメンガーやウリゾーンらの手によって可分距離空間に対して定式化された。区別のために被覆次元と呼ばれるこの次元の概念はルベーグによれば「可分距離空間 X の任意の有限開被覆に対して高々次数 n + 1 の細分がとれるとき、X の次元は高々 n である」として述べられ、X が高々 n 次元かつ高々 n − 1 次元でないとき X は n 次元であると定義される。たとえば被覆次元が 0 であるというのは、各点が開かつ閉なる近傍を持つことであると述べることができる。そして古典的な意味で次元 n であるユークリッド空間 Rn は被覆次元の意味でも n 次元になる。
転用表現
観点・尺度

あまりにもかけはなれた考え方、技量、性質を形容する際に「次元が違う」と表現することがある。特に、量の違いではなく質の違いがあることを指して「まったく別の要素(次元)を取り入れないと理解できない」ということを意味することが多い。かけはなれていることを意味する「次元」は、多くの場合で「世界」に置き換えが可能である。(例: 世界が違う)
世界

SFファンタジーなどの創作作品においてしばしば用いられる「次元」は、それぞれの世界に働く根源的な要素の集まりのことを指すことが多い。転じて、ある根源的な要素を基調とする世界のことも次元と称されることもある。

根源的な要素という意味の次元には、ある世界に存在しないまったく異なる要素も含まれる。そのような要素を持っている世界と持っていない世界とでは、世界の仕組みや過ごし方がまったく異なる。このため、世界の根源をなす要素が異なる(異次元の)世界同士は、異次元世界(または単に「異次元」)と呼称される。例えば、我々が過ごしている3次元空間の世界では、空間内を動くことによって移動が行われるが、魔法などによって移動が行われる世界では、我々の過ごす世界と根源となる要素が大きく異なっていると考えられる。このような場合において、「双方の世界は、異次元である」「双方は、異次元世界である」などと表現する。

また、異次元世界(異次元)という用語は、「異なった根源的な要素による世界」という意味の転用として、別世界、別天地、亜空間、異世界、パラレルワールドなどとほぼ同義に用いられる。
架空世界・架空人物

次元という語は、視覚メディアなどで提示される架空の世界を現実の世界から区別する用語として使用されることがある。具体的には、奥行き情報を込めずに構成される架空世界を「2次元世界」、物理空間における現実世界を「3次元世界」と呼称することがある。

また、漫画やアニメーションのキャラクターなど、伝統的に平面的なメディアの上で視覚化されてきたキャラクターを「2次元キャラクター」などと呼ぶことがある。
文字コード

文字コードにおける次元とは、符号化文字集合内の符号点を、いくつかの組に分けて示すときの組の数をいう。

古くはEBCDICASCIIを示す際に、その表を16文字ずつ程度に区切って(すなわち、下位4ビットと残りの上位桁、といったふうに)並べたりするなど、自然に2次元として扱っていたりしたものであるが、仕様書中における記述としてたとえば 'A' のコードを 4/1 といったように記したり、JIS X 0208などで「区」「点」という概念と用語が使われるなど、明確に階層的なものが使われるようになっていた。一方でUnicodeにおいて符号位置(Unicodeにおいて符号点を指す用語)を示す整数「Unicodeスカラ値」は、その名の通り1次元のスカラ値である。

Unicodeはそのように1次元の符号点を定義する一方で、1980年代当初からUnicode関係者内外から指摘されていたような理由により、漢字において「Three-Dimensional Conceptual Model」というものを導入する必要が生じた。つまり、符号位置を表現する座標の次元とは直交する軸がある、というもの(そして現在では、漢字の場合は異体字セレクタ(Variation Selectors)の一つであるIdeographic Variation Selectorsで選ばれるもの)である。このような事情などもあり、後述するようにISO 10646では次元の構造が強調されることとなった。

このような「組」およびそれを元にした「次元」の概念は、さまざまな文字コードの規格に現れており、それらの規格書において、2次元の符号空間は物理的な2次元の図[注釈 1]で、3次元の符号空間は物理的な3次元の図を使って説明されていることがある。また、各数字は8ビットに収まる256以下、あるいはその半分の128、ISO 2022系のように96や94のこともある。
ISO/IEC 10646における次元

このような意味での次元の概念を最も整備された形で規格書に明記しているのはISO/IEC 10646である。ISO/IEC 10646の規格書では、以下のように記述されている[2]

ISO/IEC 10646の符号空間全体は4次元の空間であり、それは128個の群から構成される。

群は3次元の符号化空間であり、一つの群は256個の面から構成される。

は2次元の符号化空間であり、一つの面は256個の区から構成される。

区は1次元の符号化空間であり、一つの区は256個の点(符号点)から構成される。

その結果ISO/IEC 10646での符号位置は、「群・面・区・点」の4つの要素から構成されるが群が00群であるときは群の記述を、さらに00群において面が00面であるときには群だけでなく面も省略して表記されることがある。ISO/IEC 10646のこのような構造はUnicodeを取り入れて大幅に内容が変わる前のDIS 10646第1版からのものである。ISO/IEC 10646の規格書ではこのような構造を空間的な三次元の図にして説明を加えており[3][4]、各面の詳細なコードマップを二次元の図にして説明を加えている[5][6][7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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