機雷
[Wikipedia|▼Menu]
薩英戦争の際、桜島沖の沖小島と桜島の間に管制機雷が3基設置されており、これにイギリス艦船1隻が接近したが連絡ミスにより砲台が発砲、イギリス艦船は機雷原から離れてしまい使用に至らなかった。
日露戦争敷設した機雷によって2隻の戦艦を撃沈した機雷敷設艦「アムール」。船体後部は機雷を格納した囲い付きの機雷甲板になっており、船尾に機雷投下用の扉が見える。この装置の開発により、機雷敷設艦は航行しながらの機雷敷設が行えるようになった。

日露戦争では公海上で本格的な機雷戦が行われるようになり、日本海軍は敷設した機雷により、ロシア海軍第1太平洋艦隊の旗艦ペトロパヴロフスク」を撃沈、司令官のマカロフ提督が戦死した。一方、日本もロシア側の敷設した機雷により戦艦「八島」と「初瀬」を一度に失った。この戦争では、日本海軍は敷設した機雷で戦艦1艦をはじめロシアの艦艇を計6隻沈め、ロシア海軍は係維機雷6,000発を敷設して日本の戦艦2隻をはじめ計10隻を沈めた。特殊な使用例であるが、旅順攻囲戦の際、ロシア陸軍が余剰兵器であった機雷を陸上戦闘兵器として転用し、旅順要塞から敵に向かって投げ落として爆発させ、日本軍兵士に甚大な損害を与えている[3]
第一次世界大戦・第二次世界大戦

第一次世界大戦では24万発、第二次世界大戦では70万発の機雷が使用された。重要な港湾や海峡の入り口はくまなく機雷で封鎖され、敵国への海上封鎖通商破壊と、潜水艦水陸両用作戦部隊の接近・侵入に対する防御(例:ガリポリの戦い)の両方で役割を果たし、イギリスの戦艦オーディシャスをはじめ多くの艦船が触雷によって沈没している。

第二次世界大戦においては、ナチス・ドイツ軍は、当初は駆逐艦を用いてイギリス沿岸に磁気機雷を敷設し、のちに空軍がテームズ川にまで敷設を行ない、戦争中期にはアメリカ本土沿岸部にUボートで機雷を敷設した。

イギリス軍は、地中海大西洋でUボートを撃退する目的で機雷原を作り、Uボートの通商破壊を妨害した。後にはドイツ占領下のフランスにあったUボート基地に航空機で機雷を敷設して基地機能を阻害した。

アメリカ軍は第二次世界大戦での日本本土の攻撃において機雷を戦略目的に使用し、1945年3月27日から8月14日までの「飢餓作戦」では、のべ1,200機のB-29によって計1万発の沈底機雷を日本近海の海上交通路に投下した。米軍の狙い通りに港湾や海峡で船舶の被害が増大し、日本の海上物流は麻痺状態となった。日本側は飢餓作戦による機雷の掃海に戦後20年以上を費やす事態となった(関門海峡などには2023年時点においても残されている[4])。逆に日本海軍は、機雷作戦による積極的戦果をあまり求めなかったが、防御的に日本近海や海峡部には多数敷設され、連合軍の潜水艦を撃沈している。
日本における、主な民間船被害

1942年5月26日 - 湧別機雷事故

1945年

8月24日 - 浮島丸事件

10月9日 - 大成丸 (初代)沈没

10月14日 - 珠丸沈没


1948年1月28日 - 女王丸遭難事件

1949年

3月30日 - 新潟県名立町の海岸に漂着した機雷が爆発(名立機雷爆発事件)。

6月27日 - 秋田県脇本村の海岸に漂着した機雷が爆発。死亡8人、重軽傷4人、家屋全壊10戸[5]


1970年5月9日 - 福岡県洞海湾の入口付近で浚渫船が機雷に接触。4人が重軽傷[6]

冷戦期以降

機雷は戦後の朝鮮戦争[7]ベトナム戦争でも使用された。朝鮮戦争では浮流機雷が流され日本海を横断して津軽海峡に入り、青函連絡船が一時、夜間運航停止に追い込まれている[8]。ベトナム戦争では、アメリカ軍がハイフォン港の機雷封鎖を行っている。戦争以外で使われた例は多くはないが、1981年にアメリカがニカラグアの左翼政権転覆を狙って機雷封鎖を行った例がある。

イラン・イラク戦争においては、ペルシア湾にタンカー航行妨害用の機雷が敷設された。1987年からはアメリカ軍はペルシア湾において、民間タンカーの護衛作戦(アーネスト・ウィル作戦)を実施していたが、1988年4月14日にはフリゲート「サミュエル・B・ロバーツ」(FFG-58)が触雷している[9]

湾岸戦争においてもイラク軍がクウェート沖合いに機雷を約1,200個敷設し、戦後に日本を含む多国籍部隊が掃海作業を行っている[10][11]。とりわけ、紅海やペルシア湾には機雷が数個敷設されただけで、原油価格が大きな影響を受け世界経済が激しく動揺するため、近時テロ目的の機雷が各国により非常に警戒されている。

2022年ロシアのウクライナ侵攻では両国が黒海西部にそれぞれ400発程度を敷設してルーマニアブルガリアトルコ沿岸にも漂流し、同年7月時点の報道で7隻が触雷して2隻が沈没、船員2人とオデーサ沖で遊泳中の男性が死亡した[12]
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g h トゥルーヴァー(2012) pp.74-76
^ Смирнов, Г.; Смирнов, В. (04 1989). ⇒“Мина ? оружие и наступательное”. ЖрунапB≪Моделист-конструктор≫. ⇒http://mkmagazin.almanacwhf.ru/mor_col/mc_min/mc_min_02.htm 2011年4月13日閲覧。. (ロシア語)
^ 高井三郎著『現代軍事用語』アリアドネ企画 2006年9月10日第1刷発行 ISBN 4384040954
^ “機雷や爆弾、関門海峡で続々と 戦後78年、今年見つかり始めた理由”. 朝日新聞DIGITAL (2023年12月14日). 2023年12月14日閲覧。
^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、72頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784816922749


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:32 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef