また黄瀬は、本作品にて時間のかかっていた動画を、1コマや2コマから3コマにすべて打ち直した[3][注 2]。リアルなスタイルの作品では、1?2コマでは滑らかなぶん力が抜けるためとし、押井は「1つ勉強になった」「大英断」と評価している[3]。 監督の押井は、本作品の最大の山場を「松井と片岡が東京を歩き回るシーン」と語り、「キャラクターでなく、東京の街そのものを見せる」ことに重点を置いていた[5]。 本作品で使われた手法の1つに“カメラを遅く動かす”ことがあり、これは背景の重さを見せ印象を強めるためのもので、押井はスタッフに対し「とにかく重さが大事」と念を押し、質感に関しても重視していた[5]。 また細やかな描写にもこだわり、例えば劇中登場するシゲの下宿について「古臭い看板建築で、室内のパソコンもきっちり描いてほしい」「面倒くさいことをやってもらいたい」と注文している[6]。 ほかにも「止め絵中心ではなく細かく動かしたい」とした上で、観客がセリフに集中できるよう、背景として動かす部分について注意し、カットの意味などをスタッフに伝えていた[6]。 本作品にはイメージソングとして新旧OVA、テレビ版の主題歌を歌った笠原弘子による「約束の土地へ」という曲が添えられている。オリジナル音源は本作品の前売りチケットマガジン 劇伴は、OVA版に引き続き川井憲次が担当した。また、1998年には本作品のDVDソフト化に伴う音源の5.1chサラウンド化に際して、サウンドトラックのリメイクが行われている(詳細は「サウンドリニューアル版」の項目にて)。これは単なるサラウンド化だけでなく、劇場公開当時は打ち込みで製作されていたサウンド箇所をよりクオリティの高い音色や生音に差し替えるといったブラッシュアップが図られている。 音源の5.1ch化に際して、本作品の場合、音楽や効果音だけに留まらず、セリフなどすべてのサウンド素材が1から作り直されている[3][7]。 押井監督とプロデューサーの間で、90年代後半当時に流行っていた「音源の5.1ch化をやってみないか」という話から始まった企画だが、押井自身の「一度作ったものに手を加えるのは嫌いだが、音響は技術の変化が著しいので話は別」という熱意で、初めは機械的に変換していたが結局はすべて作り直すことになった[7]。また、劇場版第1作で使用されたマルチトラックテープが一切現存していなかったことが、その理由の1つに大きくある[7][注 3]。 5.1ch化の作業について、初めての経験だったスタッフは川井を始め苦心し、押井によれば「川井はドルビー研究所から来た音響装置にコーヒーをこぼして壊そうとしていた」という[3]。 アフレコのキャストは、押井の希望通りにオリジナルメンバーが結集し、当時『新世紀エヴァンゲリオン』で大ブレイクしていた林原めぐみも駆け付けた[3][7]。 しかし、キャスト陣は9年前の作品に対し、再度セリフを吹き込むことにそれぞれの思いや葛藤を感じており、さらにはアフレコの際にレシーバー[注 4]を使うかどうかでも意見が分かれた[注 5][3][8]。 映画公開当時は、まだパソコンの普及度が低く、インターネットも日本では研究などのプロジェクトが立ち上がり始めたりで一般解放すらされていなかったが、そのころから早くもコンピュータウイルスによる犯罪に着目し、ストーリーの重要な要素として取り上げている[9]。 OVAシリーズの設定に準じ、特車二課棟の所在地は大田区城南島の架空のブロックに設定されている。また、方舟、バベル、エホバ、666(ヨハネ黙示録)など、劇中の各所に旧約聖書や新約聖書の要素が用いられている。
背景
音楽
イメージソング
劇伴
サウンドリニューアル版
作品解説
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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