機動警察パトレイバー_2_the_Movie
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製作費4億円[1]
配給収入1.8億円[2]
前作機動警察パトレイバー the Movie
次作WXIII 機動警察パトレイバー
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『機動警察パトレイバー2 the Movie』(きどうけいさつパトレイバー ツー ザ ムービー)は、1993年に公開された日本アニメーション映画作品。
あらすじ
プロローグ

1999年東南アジア某国。PKO部隊として日本から派遣された陸上自衛隊レイバー小隊が反政府ゲリラ部隊と接触し、本部からの発砲許可を得られないまま一方的に攻撃を受け壊滅する。独断で敵装甲車に反撃し、たった一人の生存者となった小隊長がそこで見たのは、異教の神像が見下ろす古代遺跡であった。
ベイブリッジ爆破?幻の空爆

「方舟」の一件から3年後の2002年。かつての特車二課第2小隊は、隊長の後藤と山崎を除いて新しい職場に異動し、それぞれの日々を送っていた。そんなある日、横浜ベイブリッジで爆破事件が起こる。当初は事前に犯行予告があった自動車爆弾かと思われたが、自衛隊支援戦闘機F-16Jらしき飛行機から放たれた一発のミサイルによるものであることがテレビによって報道される。

事件に関して様々な情報が錯綜するある夜、南雲と後藤の前に陸幕調査部別室に属する「荒川」と名乗る男が現れ、ベイブリッジを爆撃したのは自衛隊機に見せかけた、擬装情報に誘導された米軍機であることを語る。元々この事件は、アジアの軍拡競争にも危機感を示さない日本を憂う国防族や米国勢力のグループ[注釈 1]が立てた軍事的茶番劇であり、実際に空爆を行う意思はなかった。荒川は、その茶番劇を利用し、ベイブリッジを本当に空爆するよう改変した容疑者としてグループの創立以来のメンバーである「柘植行人(つげ ゆきひと)」という人物を捜索していた。日本政府は米軍から報告された真相の公表を迷っており、表立って警察の協力を仰げない状況下で荒川が目を付けたのが、各方面にパイプを持つ後藤であった。

荒川の真意を掴みかねる後藤は話を断ろうとするが、そこに航空自衛隊三沢基地所属のF-16J三機が爆装して発進し、首都圏へ向け南下中との急報が届く。百里基地小松基地から要撃機が急行したが、地上からの管制を受け先んじて接触した百里所属機は、目の前にいるはずの三沢所属機を捕捉できない。そして百里所属機からベイルアウト信号が発せられてレーダー反応が消失したことで、防空司令は百里所属機が攻撃されたと判断、三沢所属機に対する撃墜命令を下す。命令を受けた小松所属機は三沢所属機にロックオンしたが、その矢先、突如として三沢所属機のレーダー反応が撃墜されたはずの百里所属機に入れ替わり、再び交信に応じた。当初から三沢所属機は発進しておらず、航空自衛隊バッジシステムへのハッキングと電波妨害で作り出された仮想状況に過ぎなかったのである。
架空の戦争

なし崩し的に荒川に協力することになった後藤は、水族館で荒川と密会し、一連のハッキングや、柘植に関する情報交換に応じる。元陸上自衛官の柘植は、レイバーの軍事的価値にいち早く着目して「柘植学校」と通称される省庁間の研究組織を発足させ、戦場におけるレイバーの有用性を実証した人物だったが、1999年の東南アジア某国でのPKO活動における唯一の生存者となって帰国した後、自衛隊を去って行方をくらましていた。また、かつて「柘植学校」に派遣された南雲と不倫関係を結び、それが原因で南雲が特車二課に左遷されたことは、本庁では公然の秘密であった。

政府が未だに真相の公表を渋る中、警察上層部は警察の権限強化を図り、飛行禁止命令に抗議すべく公用車で東京へ向かおうとした三沢基地司令官を基地ゲート前で予防拘禁同然に連行し、さらに自衛隊の駐屯地などを警備の名目で監視するという暴挙に出る。これにより各地の自衛隊基地や駐屯地が抗議のため、外部との通信を絶って篭城する事態にまで発展する。在日米軍から圧力もあって事態の早急な収拾を図ろうとした政府は、警察に事態悪化の責任を押し付け、警察の代役として「陸上自衛隊内の信頼のおける部隊」に東京への治安出動命令を下し[注釈 2]、都内各地に自衛隊部隊[注釈 3]が配置される。東京の市街は戦時下の様相を帯び始めるが、戦うべき相手もわからぬ人々の間には、現実感のない奇妙な雰囲気が漂っていた。こうして、が降る中、東京を舞台にした仮想的な「戦争」が創り出されていく。

後藤から渡された荒川の資料を元に調査を行っていた松井刑事は、柘植が関係する航空会社の張り込みを行っていた。松井刑事は後藤の要請で建物に侵入して光ディスクを失敬するものの、あえなく捕えられてしまう。同じころ、実家に帰った南雲は柘植からの呼び出しを受ける。数年ぶりに柘植と再会する南雲だが、南雲の母から連絡を受けた後藤と荒川が駆け付け、柘植は彼女と言葉を交わす間もなく逃走する。
決起

翌朝、東京湾の埋立地に運び込まれた輸送用コンテナから、陸上自衛隊の塗装が施された3機の戦闘ヘリが飛び立つ。戦闘ヘリ部隊は陸自偵察ヘリからの呼び掛けを無視して散開すると、特車二課格納庫を皮切りに、都内の官民の通信施設、橋梁、警視庁本部庁舎などへの銃爆撃を開始する。地下の通信ケーブル網も仕掛けられた爆弾によって破壊され、さらに松井刑事が張り込んでいた航空会社から3機の無人飛行船がECMポッドを懸架して離陸すると、東京上空を回遊しながら高出力の電波妨害を開始し、自衛隊治安部隊は通信と交通を寸断され孤立していく。警察によって無人飛行船のうち1機のECMポッドが狙撃されるが、直後にその飛行船は自動的に墜落し、大量の着色ガスを放出して副都心一帯とそこに展開していた自衛隊部隊をパニックに陥らせた。放出されたガス自体はほぼ完全に無害なもの[注釈 4]であり、混乱を招くためだけの状況演出だったが、一方で機内からは本物の毒ガスが入ったボンベも発見され、残りの飛行船への対処を封じられてしまう。仮想の戦争は、いまや現実のものとなりつつあった。

同じ朝、後藤と南雲は緊急招集された警備部の幹部会議に召喚されていた。未明に独断で他県レイバー隊に出動を要請した南雲と警視庁上層部との対立が決定的となる中、脱出した松井刑事からの連絡を受け、また特車二課への電話が繋がらないことから特車二課壊滅を悟った後藤は、この期に及んでもなお権力闘争と責任転嫁に汲々とする上層部を見限り、南雲と共に自らの手で事態を収拾する覚悟を固める。戦闘ヘリによる警視庁本部襲撃の混乱に乗じ南雲と共に逃走した後藤は、特車二課整備班と、旧第2小隊メンバーに招集をかけ、篠原重工八王子工場で保管されていた「AV-98 イングラム」の再始動を始める。旧第2小隊はそれぞれのキャリアを捨て、最後の出撃のため八王子へ向かった。

後藤は荒川から埋立地に位置する柘植一派の野戦本部の情報と、役目を終えた戦闘ヘリが爆破処分された衛星写真を提供されるが、それと同時にアメリカ政府が日本政府に対して「翌朝まで事態収拾がなされなければ軍事介入する」と通告し、各地の米軍基地が準備を始めたことを伝える。特車二課旧第2小隊は南雲の指揮の下、柘植を逮捕するべく、かつて湾岸開発工事に利用された地下鉄の廃線から海底トンネルへ侵入し、埋立地を目指す。荒川と彼らを見送った後藤は、提供された情報が迅速・正確すぎたことと、柘植を自ら確保することに最後までこだわった姿勢を理由に、荒川が柘植の一味だったと断定し、松井刑事に連絡して荒川を破壊活動防止法違反などの容疑で逮捕する。後藤は荒川に「なぜ柘植の隣にいないのか」と問いかけるが、荒川は無言のまま松井刑事に連行されるのだった。

旧第2小隊は海底トンネルで無人レイバーの抗戦に遭い、南雲は後を部下たちに託して埋立地へ単身突入する。ついに柘植と対峙した南雲は、かつての感情に葛藤しながらも彼に手錠をかける。南雲からの合図を受けて、後藤は松井刑事が入手したコードを発信して電波妨害を解除する。ヘリで埋立地に到着した後藤がトンネルから上がってきた旧第2小隊を出迎える一方、柘植は松井刑事と南雲にヘリで連行され、柘植の部下たちも全員治安部隊に投降した。連行中、柘植は松井刑事になぜ自決しなかったのかを問われると、「もう少し、見ていたかったのかもしれないな。この街の未来を」と応え、平穏を取り戻そうとする都市を静かに見下ろすのだった。
声の出演

※各登場人物の詳細は機動警察パトレイバーの登場人物を参照。

篠原遊馬 - 古川登志夫

泉野明 - 冨永みーな

後藤喜一 - 大林隆介

南雲しのぶ - 榊原良子

太田功 - 池水通洋

進士幹泰 - 二又一成

山崎ひろみ - 郷里大輔

シバシゲオ - 千葉繁

榊清太郎 - 阪脩

松井孝弘 刑事 - 西村知道

佐久間 - 仲木隆司

ブチヤマ - 立木文彦

進士多美子 - 安達忍

海法 - 小島敏彦


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