後藤から渡された荒川の資料を元に調査を行っていた松井刑事は、柘植が関係する航空会社の張り込みを行っていた。松井刑事は後藤の要請で建物に侵入して光ディスクを失敬するものの、あえなく捕えられてしまう。同じころ、実家に帰った南雲は柘植からの呼び出しを受ける。数年ぶりに柘植と再会する南雲だが、南雲の母から連絡を受けた後藤と荒川が駆け付け、柘植は彼女と言葉を交わす間もなく逃走する。 翌朝、東京湾の埋立地に運び込まれた輸送用コンテナから、陸上自衛隊の塗装が施された3機の戦闘ヘリが飛び立つ。戦闘ヘリ部隊は陸自偵察ヘリからの呼び掛けを無視して散開すると、特車二課格納庫を皮切りに、都内の官民の通信施設、橋梁、警視庁本部庁舎などへの銃爆撃を開始する。地下の通信ケーブル網も仕掛けられた爆弾によって破壊され、さらに松井刑事が張り込んでいた航空会社から3機の無人飛行船がECMポッドを懸架して離陸すると、東京上空を回遊しながら高出力の電波妨害を開始し、自衛隊治安部隊は通信と交通を寸断され孤立していく。警察によって無人飛行船のうち1機のECMポッドが狙撃されるが、直後にその飛行船は自動的に墜落し、大量の着色ガスを放出して副都心一帯とそこに展開していた自衛隊部隊をパニックに陥らせた。放出されたガス自体はほぼ完全に無害なもの[注釈 4]であり、混乱を招くためだけの状況演出だったが、一方で機内からは本物の毒ガスが入ったボンベも発見され、残りの飛行船への対処を封じられてしまう。仮想の戦争は、いまや現実のものとなりつつあった。 同じ朝、後藤と南雲は緊急招集された警備部の幹部会議に召喚されていた。未明に独断で他県レイバー隊に出動を要請した南雲と警視庁上層部との対立が決定的となる中、脱出した松井刑事からの連絡を受け、また特車二課への電話が繋がらないことから特車二課壊滅を悟った後藤は、この期に及んでもなお権力闘争と責任転嫁に汲々とする上層部を見限り、南雲と共に自らの手で事態を収拾する覚悟を固める。戦闘ヘリによる警視庁本部襲撃の混乱に乗じ南雲と共に逃走した後藤は、特車二課整備班と、旧第2小隊メンバーに招集をかけ、篠原重工八王子工場で保管されていた「AV-98 イングラム」の再始動を始める。旧第2小隊はそれぞれのキャリアを捨て、最後の出撃のため八王子へ向かった。 後藤は荒川から埋立地に位置する柘植一派の野戦本部の情報と、役目を終えた戦闘ヘリが爆破処分された衛星写真を提供されるが、それと同時にアメリカ政府が日本政府に対して「翌朝まで事態収拾がなされなければ軍事介入する」と通告し、各地の米軍基地が準備を始めたことを伝える。特車二課旧第2小隊は南雲の指揮の下、柘植を逮捕するべく、かつて湾岸開発工事に利用された地下鉄の廃線から海底トンネルへ侵入し、埋立地を目指す。荒川と彼らを見送った後藤は、提供された情報が迅速・正確すぎたことと、柘植を自ら確保することに最後までこだわった姿勢を理由に、荒川が柘植の一味だったと断定し、松井刑事に連絡して荒川を破壊活動防止法違反などの容疑で逮捕する。後藤は荒川に「なぜ柘植の隣にいないのか」と問いかけるが、荒川は無言のまま松井刑事に連行されるのだった。 旧第2小隊は海底トンネルで無人レイバーの抗戦に遭い、南雲は後を部下たちに託して埋立地へ単身突入する。ついに柘植と対峙した南雲は、かつての感情に葛藤しながらも彼に手錠をかける。南雲からの合図を受けて、後藤は松井刑事が入手したコードを発信して電波妨害を解除する。ヘリで埋立地に到着した後藤がトンネルから上がってきた旧第2小隊を出迎える一方、柘植は松井刑事と南雲にヘリで連行され、柘植の部下たちも全員治安部隊に投降した。連行中、柘植は松井刑事になぜ自決しなかったのかを問われると、「もう少し、見ていたかったのかもしれないな。この街の未来を」と応え、平穏を取り戻そうとする都市を静かに見下ろすのだった。 ※各登場人物の詳細は機動警察パトレイバーの登場人物を参照。
決起
声の出演
篠原遊馬 - 古川登志夫
泉野明 - 冨永みーな
後藤喜一 - 大林隆介
南雲しのぶ - 榊原良子
太田功 - 池水通洋
進士幹泰 - 二又一成
山崎ひろみ - 郷里大輔
シバシゲオ - 千葉繁
榊清太郎 - 阪脩
松井孝弘 刑事 - 西村知道
佐久間 - 仲木隆司
ブチヤマ - 立木文彦
進士多美子 - 安達忍
海法 - 小島敏彦
山寺 - 大森章督
荒川茂樹 - 竹中直人
柘植行人 - 根津甚八
サウンドリニューアル版追加キャスト
清水敏孝
丁田政二郎
加藤照幸
栗原利充
川越千夏
永田亮子
加藤奈々絵
島田美どり
GABU
スタッフ
監督 - 押井守
企画・原作 - ヘッドギア
脚本 - 伊藤和典
演出 - 西久保利彦
キャラクターデザイン - 高田明美、ゆうきまさみ
メカニックデザイン - 出渕裕、河森正治、カトキハジメ、藤島康介、佐山善則、伊東守
作画監督 - 黄瀬和哉
レイアウト - 渡部隆、今敏、竹内敦志、水村良男、荒川眞嗣、田中精美
原画 - 沖浦啓之、竹内敦志、水村良男、村木靖、岸田隆宏、江村豊秋、大川こうぎ、安藤真裕、川名久美子、丹沢学、濱名孝行、高岡希一、武田一也、オグロアキラ、荒川真嗣、はばらのぶよし、安東信悦、音無竜之介、勝亦祥視、石井明治、小森高博、星和伸、土器手司、井口忠一、渡辺すみお、橋本浩一、戸部敦夫、藤田しげる、菅沼栄治、高橋しんや、大上浩明、仲森文、児玉昌弘、高見明男
色彩設計 - 遊佐久美子
美術監督 - 小倉宏昌
背景 - 武重洋二、平田秀一、黒田聡、甲斐政俊、廣瀬義憲、田村盛揮、荒井貞幸、池田祐二(スタジオワイエス)
コンセプトフォト - 樋上晴彦
撮影 - 高橋明彦
音楽 - 川井憲次
録音 - 浅梨なおこ
編集 - 掛須秀一(JSE)
プロデューサー - 鵜之沢伸、濱渡剛、石川光久
エグゼクティブプロデューサー - 山科誠、植村徹
コンピューターグラフィックス - オムニバス・ジャパン
アニメーション制作 - IG TATSUNOKO
製作 - バンダイビジュアル株式会社、株式会社東北新社、株式会社イング
配給 - 松竹株式会社
サウンドリニューアル版スタッフ
監督 - 押井守
録音演出 - 斯波重治
調整 - 住谷真