機動戦士ガンダム
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それに乗じて、監督の富野が自分のやりたかった「大人っぽい」企画をスポンサーには秘密のまま上手く通した[11][12]

このように当初の企画「フリーダム・ファイター」では、前作のようなロボットを登場させる予定はなかった。しかし、スポンサーであるクローバーからは空母の玩具を売っても商売にならないとして、ロボットも出すように要請があった。そこで、これまでの巨大ロボットとは異なる人型機動兵器である「モビルスーツ (MS)」が生み出された(詳細は「モビルスーツ#設定の経緯」を参照)。もともと舞台は宇宙であり、宇宙ステーションなどが活躍の舞台になる予定であったが、MSの身長が18メートルと設定されたため、より巨大な「スペース・コロニー」に変更された(詳細は「サイド (ガンダムシリーズ)#設定の経緯(スペース・コロニー)」を参照)。

この時点での仮題は「ガンボーイ」(別題: 機動鋼人ガンボーイ、宇宙戦闘団ガンボーイ、フリーダムファイター ガンボーイ)だった(「ガンボット」という名称も考案されたが、ロボット的過ぎるとして却下された)。これが当時人気を博したアメリカ映画『コンボイ』から「ガンボイ」に、さらにチャールズ・ブロンソンがテレビCMで流行語にした「う?ん、マンダム」から「フリーダム」のダムとかけて『ガンダム』という名前が生み出された[13][10]。最終決定となったこの『ガンダム』の名はタカラ(現タカラトミー)の沼本清海の発案によるものである[14]。富野によると「ンのはいった四文字のタイトルの作品は当たる」というジンクスがあるという[要出典]。

富野は「戦争」を題材にするに当たって、後年のテレビでの高橋杉雄との対談において南北戦争をそのサンプルにしたと語っている[15]
作品の特徴.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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出典検索?: "機動戦士ガンダム" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2023年5月)
実物大ガンダム立像、お台場(2009年)実物大ガンダム立像、お台場(2009年)
リアル志向
本作以前の1970年代当時は『宇宙戦艦ヤマト』、『ルパン三世』、『長浜ロマンロボシリーズ』といったティーンエイジャー層をターゲットにしたアニメ作品の盛り上がりによりアニメ視聴者層の対象年齢が広がりつつある時期ではあったが、ロボットアニメというジャンルだけはスポンサーである玩具メーカーが販売する関連商品の購買層が小学生以下に限られていたため、いわゆる「お子様向け」の内容を脱することができずにいた。ところが本作では『ザンボット3』と『ダイターン3』の好調な販売成績を受け、スポンサーからの干渉が少なかったため[16]、敵も味方も同じ人間どうしの「戦争」という、より現実感のある状況を描き出すことが可能となった。リアリズムあふれる作風は作画監督・キャラクターデザインの安彦良和の発言によると、富野が絵コンテとして参加した高畑勲監督作品『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』の影響が大きいと富野との対談で語っており、富野本人も「高畑、宮崎から受けた影響は大きい」と語っている。
現実感のある兵器
また、前述のとおり登場するロボットを「モビルスーツ」と呼んで、現実の兵器に近い描写を行ったのも本作の重要な試みの一つである。従来、主役ロボットには変形や合体など玩具として魅力的なギミックを備えることがスポンサーである玩具メーカーから求められており、本作の主役ロボットであるガンダムも試作品という設定を付して同様のガジェットを組み込まれた[注 3]。ところが本作ではさらに、敵軍のロボットに設定上「量産機」という概念を与え、ロボット描写のミリタリズムを高めた[注 4]レーダーや電波誘導兵器を攪乱・無効化するミノフスキー粒子という架空の粒子も設定され、ロボット同士の白兵戦に説得力を持たせた。また、機動戦士ガンダムはロボットが合体完了した後のあからさまな決めポーズが無く、さらに各ロボット固有の必殺技や止めの一撃用の決め技が無いのも従来のロボットアニメでは見られなかった特徴の一つである。
奥行きのある登場人物
主人公のアムロ・レイは、民間人の少年として突然に戦争に巻き込まれ、モビルスーツのパイロットとして戦う使命を負うこととなり、閉鎖的な極限状態に置かれるうち次第に疲弊する中で、上官にプライドを傷つけられて戦場から逃亡するが、そこで出会った敵将に勝ちたいという感情から戦線復帰する…という、それまでのアニメにない重厚でリアルな心理描写が、当時のアニメファンに受け入れられた。主人公はもちろん、彼をサポートする人々や敵対する兵士、全体のプロットには直接触れない人物にいたるまで、その人物像がていねいに描かれた。また、必ずしも主人公サイドの連邦軍が一枚岩でない様子や、シャア・アズナブル復讐劇の要素も交えて奥行きのあるドラマを展開。従来作品に比して作品世界が豊かになっている。
ニュータイプの概念
本作の重要なキーワードの一つが「人類の革新ニュータイプ」である。超能力にも似た特別な感覚を得た人々として設定されたニュータイプは、当初は主人公アムロに超人的活躍をさせるためのアイデアだったが、やがて宿敵シャアもまたニュータイプであることが明かされ、そして同じくニュータイプである少女 ララァ・スンとの出会いと3人の間で起こる悲劇を通じて、「人類の革新」とは何なのかという抽象的なテーマへと昇華された[注 5]。この結果、本作はロボットアニメという枠組を破綻させることなく、SFと哲学を盛り込み、現実味を持たせた物語や設定によって高年齢層の視聴に堪えうる作品作りが可能であることを示すこととなった。
デザイン

キャラクターデザインはアニメーション・ディレクターとして作画の中心となった安彦良和が、メカニックデザインは主に大河原邦男が担当した。

企画は当初、「スタジオぬえ」の代表(当時)の高千穂遙がサンライズのスタッフに勧めていたハインラインの小説『宇宙の戦士』のコンセプトを参考に、総監督の富野善幸のプランも相まって進んでいた[19][20]。その頃のサンライズ制作のアニメにはスタジオぬえが参加することが多かったが、そのデザインは線が多く複雑で、SF考証にもうるさかった[19][20][21]。アニメーターとしてはシンプルなデザインに越したことはなく、テレビアニメにはあまり理屈を持ち込むと自由がなくなるため、それまでのスタジオぬえとの仕事の経験から自分が消耗することを恐れた作画監督の安彦良和は、「あえて『ぬえ』ではないところに発注したい」と発言した[19][20][21]。当時、アニメ業界でメカデザインを手掛けていたのはスタジオぬえのほかにはタツノコプロ出身の中村光毅と大河原邦男が設立したデザインオフィス・メカマンしかなかった[12][21]


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