機動戦士ガンダム_鉄血のオルフェンズ
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制作協力創通ADK
製作サンライズ、MBS

経緯・スタッフィング

企画は、『機動戦士ガンダム00』(以下『00』)の映画『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』公開後にサンライズの小川正和のプロデュースで起ち上がった[10]。『00』が世界の変革を描いた作品だったことを受け、本作は10代から20代のアニメを見る層が受け入れやすい青春群像劇として制作することが決まり、若年層向けの作品を多く手掛けていた長井龍雪を監督に迎えることが決定した。この段階で海老川兼武によって登場兵器のラフ案も描かれたが、『機動戦士ガンダムAGE』の制作が先行することとなり、長井が『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以下『あの花』)などの他作品で多忙になったことも手伝って、再始動は2015年の初頭になった[11]

再始動後、シリーズ構成には、長井が互いに意見をぶつけあえて同じように悩める人がよいという理由で、『あの花』や『とらドラ!』などでともにメインスタッフを務めた岡田麿里[11]、設定考証には長井の考えを物語の設定に活かす役割で鴨志田一が起用された[12]

デザイン面では、キャラクター原案に漫画家の伊藤悠が参加している。起用理由は『皇国の守護者』や『シュトヘル』に長井が戦争に対する強いイメージを受けたことと[13]、『00』とは異なる泥臭いデザインが求められたことによる[11]。メカニックデザインでは十数人のメカニックデザイナーによるコンペティションが行われ、鷲尾直広や海老川など過去のガンダム作品に携わったデザイナーに加え、特撮作品で活動する篠原保が初参加している[14][15]

音響・音楽面では、『心が叫びたがってるんだ。』で長井と面識のある明田川仁横山克が起用されている。横山は当初、菅野よう子が制作した『∀ガンダム』や『天空のエスカフローネ』のようなフルオーケストラを想定していたが、打ち合わせの段階で長井の「これまでのガンダムシリーズのような荘厳なオーケストラではない」というオーダーを考慮し、多用される楽曲群をマリアッチバルカンブラスの要素を取り入れたオーケストラとして作曲している[8]
作風・演出

サンライズ側から「『機動武闘伝Gガンダム』くらい踏み込んだ作品」あるいは「主人公は女の子でもOK」など高い自由度と既存にない作風を求められたこともあり、本作は生活のなかに戦いがある子どもたちの小規模な集団が主軸に据えられ、生存競争のために彼らが戦闘などの行動を能動的に起こすようなストーリー構成となっている。これはガンダムシリーズの特徴である「大国同士の戦争」や「戦いに巻き込まれる主人公」がターゲットの若年層にとって現実味のないものになっており、スタッフとしても軍隊の正確な描写が難しいとする長井の考えによって設定された[16][17]

作品のコンセプトとしては、平成以降の暴走族漫画に登場するヤンキー文化やチームのつながりという空気感を意味する「任侠」がスタッフ間で共有され、広島抗争をモチーフとした粛清などの要素が採用された。さらには『1st』を意識したロードムービーの要素も取り入れられているが、物語の骨子自体はなるべくオーソドックスにすることが意識された[16][18][19]

作品の終着点としては、主人公勢力が最終的に敗北することが企画段階から決められていた。これはイデオロギーや政治性のない少年たちがただひたすらに頑張る姿を描くことが長井の念頭にあり、どんな状況でも進むしかない人たちが実際に突き進むとどうなるかという思考実験に近いところから物語が生まれたことに起因する[19]。長井は放送終了後のインタビューで、これを「『(人が)わかりあえる・わかりあえない』『(戦争が)終わる・終わらない』という話ではなくて、ただただ前に進み続けるだけの話。『結果』ではなく『過程』の話を描きたかった」という形で表現している[20]。また、アフレコ開始以降や放送と並行して脚本・設定がリアルタイム作成されたことや[7][21]、岡田の提案もあって二期終盤における結末・エピローグの予定変更なども行われたが、長井本人は結末までの過程に紆余曲折や変化はあったが大筋や結果は当初から企画していたものが作れたと語っている[22][23]

演出面では、劇中における価値観を平行に描くことが注意されており、主人公側と敵対側双方の非情な面を描くなど、単純な勧善懲悪の区別ができない作りになっている[24][17]。キャラクター描写においてはリアリティをもたせるために、戦争の場面だけではなく、登場人物の日常の風景を描写することが意識されている[17]。また、メカニックの演出ではビーム兵器が登場しない設定を踏まえたうえで、「斬るのでなく吹っ飛ばす」「装甲が剥がれてフレームがむき出しになる」といった、これまでのガンダムとは違う新しい見せ方が志向されている[17]
プロモーション

2015年7月3日から「NEXT G Coming Soon」の文字とガンダム・バルバトスのシルエットとともに発表までのカウントダウンが行われ[25]、7月15日にMBSとサンライズの製作で10月から放送されることが発表された[26]

8月22日・23日に開催された「キャラホビ2015 C3×HOBBY」のスペシャルステージでは、最新プロモーション映像とともに主要キャストと主題歌アーティストの発表が行われた[27]

9月20日には京都国際マンガ・アニメフェアにて放送に先駆けてスペシャルトークイベント[28]が、第1話放送前日の10月2日には赤坂BLITZにて「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第1話放送前夜祭」が行われた[29]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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