橋爪功
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路地奥の上下に二間、内風呂と小さな庭のある借家で育つ[3]。父は和歌山県海南出身[3]。母は愛人であり[4]、父には本妻が別にいた[3]。11才上の兄はいったん母親の兄の籍に入った後、父の籍に入ったので、当初は功が母の戸籍上では長男となっていた[3]

子どもの頃は、父の影響で歌舞伎や映画を観るのが好きな子だった。明るく目立ちたがり屋なこともあり、東田辺小学校では生徒会長を買って出た[5]
学生時代

大阪教育大学附属平野中学校へ進学した後、そこで出会った友人がサルトルカミュの作品を読んでいた影響で自身も文学作品を読むようになった[5]。中学2年で父親を亡くす[6]。父の本妻は病弱だったため、父の死後まもなく亡くなった[6]

大阪府立天王寺高等学校1年の2学期、東京に転居して東京都立青山高等学校に転校した[6]。父が残してくれたお金で世田谷区千歳烏山に家を建てて暮らし始める。高校の文化祭でたまたま見た演劇部の「獅子」という舞台に感激し、入部した[5]。その後学力が下がったことで国立大学は学力的に厳しく、私立大は経済的に難しいことから大学進学を断念[5]
俳優として

ある日新聞で文学座が10年ぶりに研究生を募集するという記事を偶然見つけて[5]1961年文学座附属演劇研究所の1期生に応募し合格[注 1]。同期には岸田森草野大悟寺田農樹木希林小川眞由美北村総一朗がいた。1963年、文学座を離れ劇団雲に参加する。1974年、尊敬する芥川比呂志演出の舞台『スカパンの悪だくみ』で大阪弁でスカパンを演じ、この仕事が俳優としての転機となり一躍演劇界のスターとなる。

1975年、芥川、仲谷昇岸田今日子有川博らとともに、演劇集団 円の創立に参加。以降も所属する円を中心に、舞台活動を続けている。2006年、前代表の仲谷昇の死後、円の代表となり2023年まで務めた。野田秀樹との二人芝居『し』や、椎名桔平と共演の『レインマン』など、外部出演も多い。

2010年1月に放送されたFMシアター『かわり目?父と娘の15年?』(NHK大阪放送局製作)では、放送文化基金賞演技賞受賞。

2011年、第46回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。

30代後半からテレビドラマに出演するようになり、その後は連続・2時間モノを問わずにコンスタントに出演。しかも主役から脇役まで幅広く演じ分けて個性を発揮(若い頃は脇役専門で、1970年代から1980年代には悪役として活動)。主役を演じるようになったのは50代に入ってからだが、2時間ドラマでの主演が多く、『京都迷宮案内』など、シリーズ化されたものもある。

他にも海外ドラマの吹き替えや、中学校国語科教科書音声教材CD(光村図書版)での魯迅『故郷』の朗読などもこなしている。
受賞歴

第13回日本アカデミー賞優秀助演男優賞 - 映画「キッチン」、「ジュリエット・ゲーム」、「善人の条件」

第15回日本アカデミー賞優秀助演男優賞 - 映画「おいしい結婚」

第20回日本アカデミー賞優秀主演男優賞 - 映画「お日柄もよくご愁傷さま」

第9回読売演劇大賞優秀男優賞

第15回読売演劇大賞選考委員特別賞 - 舞台「実験」「レインマン」

第36回放送文化基金賞演技賞 - ラジオドラマ「かわり目?父と娘の15年?」

第46回紀伊國屋演劇賞個人賞 - 舞台「ゴドーを待ちながら」「ウエアハウス circle」

第37回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞[7] - 映画「東京家族」

第67回芸術選奨文部科学大臣賞 - 「景清」での演技

第25回読売演劇大賞最優秀男優賞 - 舞台「謎の変奏曲」

第44回菊田一夫演劇賞 - 舞台「Le Pere 父

第27回読売演劇大賞 大賞・最優秀男優賞 - 舞台「Le Pere 父」

第28回橋田賞

旭日小綬章(2021年)[8][9]

人物・エピソード
対人関係

青山高校の同級生には
仲本工事がいた。クラスが同じだったこともあり、つり輪など体操を教えてもらったこともある[10]

北村総一朗は文学座に在籍した頃から「40年来の友人」で、北村は「仕事のなかった若い時はお互いに悶々としていた」と回想する[11]。北村とは、『新・京都迷宮案内』シリーズでも共演している。

芥川比呂志を尊敬しており、「文学座で芥川比呂志に出会ったことが“僕の人生におけるエポック(新時代)の幕開け”と評している[5]。懸命に演劇に取り組む芥川から新劇の面白さを教わった橋爪は、文学座を退所した後劇団「雲」、演劇集団 円と芥川について行くこととなった。

田村正和とは1993年に公開の映画『子連れ狼・その小さき手に』、『カミさんの悪口』で共演して以来親しくなり、テレビ局ではなく田村のマネージャーから直接、田村の出演作への出演やナレーションを頼まれるなど、多くの作品で共演した[12]

石倉三郎とは親交があり、「(橋爪の)唯一の友達」と本人から言われたほど。

吉行和子とは、ドラマ『愛していると言ってくれ』映画『お日柄もよくご愁傷さま』、映画『東京家族』、『家族はつらいよ』シリーズなとで夫婦役で頻繁に共演しており交流も深い。

野際陽子とは、映画『善人の条件』、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』『スウィート・ホーム』『ヤマ勘記者の事件日誌』『京都迷宮案内』『新・京都迷宮案内』(無印から9シリーズ連続共演)『笑う三人姉妹』など、頻繁に共演しており交流も深い。

布施博とも共演が多く義理の親子役という立場での関係性が多かった。『ずっとあなたが好きだった』や『スウィート・ホーム』では義理の親子役。『大家族ドラマ 嫁の出る幕』では実の親子役での共演だった。

最初の妻と離婚後に、舞台で共演した小川眞由美と婚約した。籍を入れないまま同棲していたが(事実婚)、数年後に婚約を破棄して別れている。

NHKドラマ「海も暮れきる」の中で酒乱の尾崎放哉を演じた。原作者の吉村昭は、その迫真の演技に「橋爪は本物の酒乱ではないかと疑い、一緒に酒を飲むときに恐怖を覚えた」という。

その他のエピソード

若い頃は、出番の多い役が回ってくることは稀で、裏方の仕事も担当していた。「演技を学ぶどころか、大道具の積み込みとバラシばかりうまくなって(…)そういう恨みつらみがパワーになって、ここまで続けてこれたという面もあるんでしょう」と回想している
[13]


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