角川文庫では横溝正史作品を網羅的に刊行したが、中断作品はもとより、長編に改稿された元の短編作品が収録されなかった。このうち金田一耕助登場作品については、元となった短編作品の収録を目的として『金田一耕助の帰還』(出版芸術社1996年 ISBN 978-4-88293-117-1、光文社文庫2002年 ISBN 978-4-334-73262-2)および『金田一耕助の新冒険』(出版芸術社1996年 ISBN 978-4-88293-118-8、光文社文庫2002年 ISBN 978-4-334-73276-9)が刊行されている。ただし、中絶作品や金田一耕助が登場しない原型作品、『不死蝶』『火の十字架
』の原型作品、『迷路荘の怪人』を最終的に『迷路荘の惨劇』とする前の中間段階の作品は収録されていない[注 57][注 58]。その後も角川文庫に収録されなかった作品の整理が進んでおり、その成果としてカドカワノベルズから1999年に『双生児は囁く』ISBN 978-4-04-788140-2(2005年に文庫化 ISBN 978-4-04-355502-4)、2000年に『喘ぎ泣く死美人』ISBN 978-4-04-788149-5(2006年に文庫化 ISBN 978-4-04-355505-5)が刊行されている。
出版芸術社は2003年 - 2004年に『横溝正史時代小説コレクション』全6巻を伝奇篇3巻と捕物篇3巻という構成で刊行した。伝奇篇は捕物帳ではない時代小説で出版実績の乏しい作品を集めたもので、比較的長い作品が多い。捕物篇のうち2巻は人形佐七捕物帳のうち春陽文庫の「全集」に収録されなかった30作を収録したものである。残る1巻は人形佐七以外の捕物帳を集めたもので、後に人形佐七ものに改稿された作品も含まれる。
さらに出版芸術社は2004年に『横溝正史探偵小説コレクション』3巻を刊行し、2012年に4、5を追加刊行した。2004年刊行の3巻は、角川文庫などへの未収録が多い戦時中や戦後の作品を、おおむね発表時期順に収録したもので、少数の角川文庫所収作品を除いて未収録作品である。金田一ものに改稿された原型作品6作も含まれる。4は後に長編化された原型作品のうち「短編」とは言えない分量がある『迷路荘の怪人』『旋風劇場』を収録している。5は「岡山もの」の短編を集めたもので、『首』の未発表改定増補版を除いて角川文庫所収作品である。
論創社は2008年に『横溝正史探偵小説選』3巻を刊行し、2016年に4、5を追加刊行した。いずれも単行本への収録実績が無い作品を集成したものであり、既に単行本化されている作品の異なるバージョン(『恐ろしきエイプリル・フール』など)も含まれる。1は翻訳翻案作品を含む初期作品が中心であり、2は専らジュブナイル作品、3はジュブナイル作品の追加や時代小説のほか、多数の評論随筆を集めている。追加刊行されたうち4に収録されているのは専ら時代小説で、後に人形佐七ものに改稿された作品も多数含まれる。5にはジュブナイル作品や未完作品、および金田一耕助登場原型作品で未収録だった『不死蝶』が収録されている。
演じた俳優
香川照之 - 『RAMPO』(松竹)
小日向文世 - 『犬神家の一族』『八つ墓村』『女王蜂』『悪魔が来りて笛を吹く』『悪魔の手毬唄』(いずれもフジテレビ「金田一耕助シリーズ」)
横溝正史(本人) - 『病院坂の首縊りの家』(東宝)、『金田一耕助の冒険』(東映)
その他
研究・解説本
小林信彦編 『横溝正史読本』(角川書店、1976年 / 角川文庫、1979年、改版2008年)
『横溝正史研究』(2017年に第6号発行、戎光祥出版)[81]
中川右介 『江戸川乱歩と横溝正史』(集英社、2017年 / 集英社文庫、2020年)
内田隆三 『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』(講談社選書メチエ、2017年)
今野真二 『横溝正史の日本語』(春陽堂書店、2023年)
『別冊太陽:探偵小説の鬼 横溝正史』(平凡社、2024年)- 図版解説
漫画作品
『血まみれ観音』絵:高階良子
原題『夜光虫』の漫画化。1973年11月 - 1974年2月号の『なかよし』に連載。1999年に講談社漫画文庫で復刻した。
『真珠色の仮面』絵:高階良子
原題『仮面劇場』の漫画化、1972年11月 - 12月号の『なかよし』に連載。1999年講談社漫画文庫において『血まみれ観音』に収録。
影丸譲也『八つ墓村』『悪魔が来りて笛を吹く』『霧の別荘の惨劇』
『八つ墓村』は1968年 - 1969年『週刊少年マガジン』誌に連載され大ヒット。横溝ブームの先駆け的役割を果たした。単行本は何種類も発行されている。
『悪魔が来りて笛を吹く』は1979年の東映映画公開のタイアップとして、映画シナリオを元に漫画化した作品。
玄太郎『鬼火』『蔵の中』『カルメンの死』『蜘蛛と百合』
ささやななえ『獄門島』『百日紅の下にて』
つのだじろう『八つ墓村』『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』
岩川ひろみ『女王蜂』