権威
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法学修士社会科学科教授の荻野雄[6]学術論文によると、近代?現代国民主権では一般に、政治的権威は国民に由来すると見なされている[7][注 2]日本国憲法前文にも「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し」ているとある[9]。(前文はその法の目的精神を述べる文章であり、憲法前文は憲法制定の由来と目的・決意などを表明する例が多い[10]。)
権威主義的パーソナリティー「権威主義的パーソナリティ」を参照

ナチスの残虐行為に対して、権威への盲従ということがしばしば指摘される。ドイツの精神科医、アレクサンダー・ミッチャーリヒにそれについての論考が多い。『人間性なき医学――ナチスと人体実験』、『父親なき社会――社会心理学的思考』などがある。

また、第二次世界大戦中、アメリカに亡命中のフランクフルト学派の共同の調査研究に『権威的性格』という報告書があり、権威に盲従しやすい権威的性格の人の割合は、アメリカでもドイツでも、あまり変わらないことが明らかになり、アメリカでかなりの反響を呼んだ。

心理学者のスタンレー・ミルグラムは、人に命令されたら、それがたとえ他人に命の危険を招くようなものであっても、どれくらいまで人は従うのかを実験して、その実験の倫理的な性格も含めて、「アイヒマン実験」(w:Milgram experiment)と呼ばれた。『服従の心理――アイヒマン実験』というタイトルでまとまって刊行されている。
権威の象徴

実際、権威を象徴しているもので、その権威を指し示したり、あるいはそのものを破壊、否定することで、権威に対する抵抗の意志を示すことも多い。クーデターなどの場合にそれは見られる。権威を代弁、代理すると往々にして思われているのは、王冠指輪、支配者の銅像などである。日常的な例では、弁護士のバッジや医者の白衣も権威を象徴する道具となり得る。
権威と宗教

宗教は、宗教的な権威、教祖などへの信頼・信仰を前提にしている。まず信ありき、というわけである。キリスト教の場合、日本のキリスト教の文献で「聴従」と訳す語を、世俗文献では盲従(ドイツ語では、Gehorsam)と訳している。
脚注
注釈^ 出典原文:民主主義【みんしゅしゅぎ】

支配の権威が民衆に由来し,その意味で支配者と被支配者が同一であるという主義,あるいはその原則にたつ政治体制(民主制)。君主制神政政治などと対照的。〈民衆の福祉のために〉という啓蒙君主制民本主義も民主主義ではない。[5]
^ リンカーン大統領の「人民の政府(government of the people)」という言葉はその表現例であり、人民が権威を委任した政府を意味している[8]。このような民主的体制は立憲主義下にあり、すなわち憲法は「最高権力者である国民の意志の表れ」として絶対的に尊重されねばならないと荻野は言う[8]

出典^ a b 研究社 新和英中辞典「権威」
^ a b c デジタル大辞泉「権威」
^ 百科事典マイペディア「権威」
^ L. クリーガー 著、川崎修 訳『権威と反抗』平凡社、1988年。 
^ a b 平凡社 2019, p. 「民主主義」.
^ “荻野 雄 (Takeshi Ogino) - マイポータル - researchmap”. 2022年9月25日閲覧。
^ 荻野 2021, p. 79,76.
^ a b 荻野 2021, p. 79.
^ 荻野 2021, p. 81.
^ 芦部 & 高橋 2019, p. 35.

参考文献

芦部, 信喜高橋, 和之(補訂)『憲法』(第七版第1刷)岩波書店、2019年。


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