標準語
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口頭言語ではアナウンサーのアクセントイントネーションが標準的として認識されているが、時代と共に変化している。例えば、「電車」のアクセントは従来「デンシャ」が正しいとされてきたが、「デンシャ」(太字は高く発音)も広がりつつあり、メディアや駅の案内放送でも2通りのアクセントが混在している[14]
朝鮮語詳細は「標準語 (大韓民国)」および「文化語 (朝鮮語)」を参照

大韓民国では、首都のソウル方言を基に国立国語院によって標準語が定められている(標準語 (大韓民国)も参照)。朝鮮民主主義人民共和国では、首都平壌の方言を基にした文化語を標準語として定めているが、実際には文化語もソウル方言が土台となっている。
中国語詳細は「標準中国語」を参照

では官話方言(北方方言)の一種である南京官話が官吏の間で標準語として使われ、欧米からは「官僚の言葉」として「マンダリン」と呼ばれた。になり首都が南京から北京に遷ると、標準語も南京官話から北京官話に代わった。中華民国が成立すると北京官話と近代白話を基に「国語」が定められた。「国語」は中華人民共和国でも「普通話」と名を変えて引き継がれ、簡体字の導入などを経て、義務教育やメディアなどで広く使用されている。なお、普通話は北京の発音などが基になっているため、普通話のことを「北京語」と呼ぶことがあるが、普通話と北京市民が日常的に使う北京語は完全に同じではない。

台湾の場合、元々は、台湾の多数派を占める漢民族本省人)は台湾語中国語の方言(客家語など)を母語とする者が多く、また台湾原住民の間では様々な少数言語が使用されていた。日本統治時代の台湾では日本語公用語となり民族間の共通語として機能したが、戦後中華民国が台湾に上陸すると北京語をベースとする「国語」を標準語とした。現在では、標準語の中国語が浸透している。1980年代までは学校での台湾語使用を禁止したり、メディアでの台湾語の使用を制限したりしていた。そうした国策の影響により、台湾語を話せる台湾人は特に若年層で少なくなっている。
英語

イギリス英語において、標準英語(英語版)(Standard English、SE)と呼ばれる標準語は、中世イングランドの大法官裁判所(英語版)の英語を歴史的に基にしている[15]。17世紀津と18世紀には、「上流」社会の規範としてこの標準語の確立を見た[16]。口語の標準語は、よい教育と社会的名声のしるしであると見られるようになった[17]。しばしば容認発音(RP)の訛りと関連付けられるものの、SEはいかなる訛りでも話すことができる[18]。BBCのアナウンサーが使う英語が「英国の標準英語」と説明されることもある[19]

「歴史的原理」で記述されているオックスフォード英語辞典には方言が数多く記載されている。方言と綴り字を統一しようとしたのがサミュエル・ジョンソン1755年に完成させた『英語辞典』である。この辞書以降、「方言の地位が急落した。それは書き言葉の基準が定まり、文章は’正しく'書くべきだという圧力が高まっていったことと関係があった(中略)発音取締隊が登場した。率いるのはトマス・シェリダン(英語版)というアイルランド出身の男だった」[20]。言語改革(英語版)運動が盛んになった。19世紀にはウェールズ語を取り締まるWelsh Notという「方言札」も登場した。正字法に対して英語のfishをghotiとすべきと言ったされるジョージ・バーナード・ショーは方言、特に「コックニー」をテーマとする『ピグマリオン (戯曲)』を書いた。
フランス語

ルイ13世治下の1635年2月10日アカデミー・フランセーズ宰相リシュリューによって正式に設立された。当初の役割はフランス語を規則的で誰にでも理解可能な言語に純化し、統一することだった。その目的を達成するために辞書と文法書の編纂を重要な任務にし、アカデミー・フランセーズ辞典が作成された。詳しくはフランスの言語政策参照。
イタリア語

イタリア半島には近代になるまで統一国家が成立しなかったため、様々な方言・地方言語が存在する。ルネサンス期、フィレンツェがイタリア半島の文芸活動の中心地だったため、フィレンツェで主に知識階層が用いていたトスカーナ語が慣例的に標準語に準じる地位となった。そのため、統一国家成立後ローマが首都に定められたが、ローマの方言は標準語にはならなかった。長らく他国でいう標準語と呼ばれるものは存在しなかったが、イタリア放送協会(RAI)によって標準語が定義され、普及した。
スペイン語

スペイン語はスペイン本国のみならず中南米諸国や米国などでも幅広く使われており、標準語の定義は簡単ではない。特定の国内であればその国の首都(スペインであればマドリードメキシコであればメキシコシティコロンビアであればボゴタアルゼンチンであればブエノスアイレス)の方言が標準語とみなされる傾向にある一方、レアル・アカデミア・エスパニョーラはスペイン語で最も権威のある辞書を編纂しているが、フランス語におけるパリのフランス語のように、スペイン語圏全体において規範的な地位を持つ標準語は存在しない。また、米国で制作され中南米諸国向けに放送されるテレビ番組あるいは映画の吹き替えなどでは、特定の国だけで使われる単語を避け中立的な表現を用いる傾向が強い。とはいえ、方言間での差は比較的小さく、通常は意思疎通を妨げるほどではない。
ポルトガル語

ポルトガル語の場合には、ポルトガルイベリアポルトガル語)とブラジルブラジルポルトガル語)の2つの変種が標準語となっており、この両者の間では特に発音面で、そして語彙面でも相当の違いがある。欧州内ではポルトガルがEU加盟国であることもあり、イベリアポルトガル語が標準語とされる傾向が強く、1970年代までポルトガルの植民地であったアフリカ諸国でもイベリアポルトガル語が標準語の扱いを受けているが、特に南米諸国や日本においては、ブラジルの圧倒的な存在感からブラジルポルトガル語が標準語とされている。ただ、ポルトガル語圏ではブラジル以外であってもマスメディアや音楽などを通じてブラジルポルトガル語に親しむ機会が多い一方、特にブラジルではイベリアポルトガル語に接する機会が少ないことから、イベリアポルトガル語の聞き取りに支障を来す人も少なくない。
ノルウェー語

ノルウェー語の標準語にはブークモールニーノシュクの2種類が存在する。ブークモールは、ノルウェーデンマークの支配下にあった時代に成立したもので、デンマーク語の文語の影響を強く受けている。一方ニーノシュクは、デンマークからの独立後、デンマーク語の影響を受ける以前のノルウェー語に回帰しようとして作られたもので、ノルウェー語の複数の方言が人工的に組み合わされている。現在、公文書や放送ではブークモールとニーノシュクの両方が使われているが、実際にはニーノシュクが標準語として使われる場面は少なく、外国人向けのノルウェー語教材でも通常ブークモールが使われている。
脚注^ a b c Finegan, Edward (2007). Language: Its Structure and Use (5th ed.). Boston, MA, USA: Thomson Wadsworth. p. 14. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-1-4130-3055-6 


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