樋浦はウィリスについて、『こちらブルームーン探偵社』にゲストで声の出演をした際から認知しており「彼は、実はなかなかの名優。コメディっぽいときもあるし、『シン・シティ』みたいに根暗なおじさんみたいなときもあるしね。俺たちが声でちょこっとやったくらいで簡単に追い付けるものではないです」と格上の俳優として尊敬していると述べており[18][19]、二枚目役からアクション映画における軽快な役まで巧みに演じ分ける姿に感心したという[8]。「どんな役どころもこなせる、魅力ある俳優さん。結構、リアリストかも…」とも語った[20]。これまでに演じたウィリスの作品の中でも特に気に入っている役柄として『シン・シティ』のジョン・ハーティガン役[20]と『ラスト・ボーイスカウト』のジョー・ハレンベック役を挙げ、前者に関しては「俺が年取ってからの仕事だったからそれなりに自分らしく、ブルース・ウィリス風ではなくてハーティガン風になれればいいなと思ってやれた」と話し、後者については「『ダイ・ハード』を捉えて作ってるみたいなやさぐれた感じがすごく良い。シークレットサービスでそれに失敗したかなんかで私立探偵になって女房にも逃げられみたいな。それが『ダイ・ハード』の役(ジョン・マクレーン)に似てて、演じててすごく面白かった」と振り返っている[15]。
ウィリスを初めて演じた『ダイ・ハード』の1作目は練習用のビデオテープを貰ったのち、映画館でも鑑賞したことで「エンターテインメントとして最高の凄い映画だ!」と思い、嬉々として演じることが出来たと同時に、同作については「アクション映画でこの作品を超える作品は未だに少ないと思います。アクション映画に括れない。『ダイ・ハード』という1つのジャンルになってますよね。」と絶賛しており、他のアクション映画と比較した上でも別格の存在だと感じたという[15][8][18]。劇場公開直後に制作された機内上映版の吹替が初担当であり、演出の福永莞爾の起用であった。主人公のジョン・マクレーンについて樋浦は「とっつぁん」もしくは「はぐれデカ」という捉え方で演じたといい、「彼はニューヨーク警察署で、皆から尊敬されているような人物じゃないんですよ。離婚しかかってるし、もしかしたらチンピラをカツアゲてるかもしれないような。『ラスト・ボーイスカウト』(前述)ほどじゃないですけれど、そんな人だったんですよね。正義感に燃えてじゃなくて、仕方なくやっている。で、そこに妻がいてという、そういった人間の内面も面白かった」と語った[15][8]。最初に担当した機内上映版での演技が業界で好評となったことで同作のソフト版にもマクレーン役で続投。ソフト版の演出の伊達康将は「福永さんがキャスティングした樋浦勉を使わせてもらった」と明かした[8]。