極東ロシア
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第二次世界大戦

沿海地方は第二次世界大戦においてソビエト連邦と日本双方の戦略的要衝となり、ソビエト連邦と連合国は朝鮮を経由して日本へと侵攻する上で鍵になる土地であると考えたため境界上での衝突は頻繁に起きた。1941年から1945年まで、日本はロシア東部への大規模侵攻を始める上でこの地を鍵となる場所とみなし、日本とソビエト連邦の軍隊は境界上で激しい衝突を繰り返したほか沿海地方や満洲国内部でも戦闘が起きた。沿海地方は第二次世界大戦時、連合軍が日本に到達するための朝鮮への侵攻計画を立案するソビエト連邦の太平洋司令部が置かれていた。

1945年8月にソビエト連邦は対日参戦をし、満洲と朝鮮北部と南樺太と千島列島を占領した。満洲と内蒙古は中国に返還され、旅順と大連については日本から租借権を引き継いだ後に中国に返還された。
冷戦

1948年10月、ソビエト連邦は沿海地方から朝鮮半島北部 (北緯38度線以北) へと侵攻し、アメリカ合衆国は朝鮮半島南部へと兵を進めた。これにより、ソビエト連邦の影響下にある共産党が建国した北朝鮮と資本主義国家が影響力を持つ韓国が設立された。1950年6月25日、沿海地方から北朝鮮へと訪れたソビエト連邦と中国東北部の軍隊の援助を受け、北朝鮮の軍隊は38度線を超えて侵攻を開始、朝鮮戦争が勃発した。北朝鮮と韓国による停戦合意で終結した戦争後、国境線はおおよそ38度線の付近にまで戻す形で再び策定され、沿海地方は冷戦の期間中ソビエト連邦の安全保障に関して極めて重要な地域となった。

中国とは1969年から中ソ国境紛争が勃発して国境線が確定していなかったが、1991年から中国と国境を画定する動きが出てきて、2004年までに国境線が確定した。

ウラジオストク1974年戦略兵器制限交渉の開催地となった。当時、ソビエト連邦とアメリカ合衆国は様々な核兵器システムに量的制限をかけることを決定し、ICBMランチャーの建設を中止した。ウラジオストクと沿海地方のその他の都市は太平洋艦隊基地のため、その後すぐに閉鎖都市となった。
人口

ヨーロッパロシアから遠く、気候が厳しい極東で主にロシア人の定住者を増やすことは、経済開発と軍事の両面で重要な課題であり続けている。1906年、ロシア帝国首相に就任したピョートル・ストルイピンは、極東に移住する農民に1人当たり15haの土地を無償提供する制度を導入した。1914年までに約353万人が極東へ移住し、西部に戻った102万人を除いて残留した。

ロシア帝国を引き継いで極東開発を重視したソ連が崩壊した1991年時点で806万人いた人口は、ロシア連邦初期の経済低迷や社会的混乱で激減した[1]

2002年全ロシア国勢調査によると、極東連邦管区の人口は6,692,865人である。この人口の大部分が南部地域に集中している。極東ロシアの広範囲に渡って670万人の人々が1km2当り約1人の地域に居住しており、極東ロシアは世界でも有数の人口密度の低い地域となっている。極東ロシアの人口はソビエト連邦崩壊後急速に減少しており、これはロシア連邦成立後も変わっていない。極東ロシアの人口は過去15年で14%減少した。2016年の調査によると人口は約620万人。[2]

民族的にロシア人ウクライナ人がこの地域の主要民族となっている。

極東ロシアの人口の75%が都市圏に集中している。以下に極東ロシアの大規模都市を記す(人口はすべて2020年現在の数字)。

ウラジオストク(人口606,561人)

ハバロフスク(人口616,372人)

コムソモリスク・ナ・アムーレ(人口244,724人)

ブラゴヴェシチェンスク(人口226,385人)

ヤクーツク(人口322,987人)

ペトロパブロフスク・カムチャツキー(人口179,586人)

ユジノサハリンスク(人口200,636人)

ナホトカ(人口147,468人)

ウスリースク(人口173,165人)

民族

伝統的に極東ロシアを居住地としてきた民族には以下のものがある。(言語グループによる分類)

テュルク諸語ヤクート

モンゴル語族ブリヤート人

エスキモー・アレウト語族アレウト族ユピク

チュクチ・カムチャツカ語族チュクチコリャーク人アリュートルケレク人イテリメン族

ツングース系エヴェンキエヴェンナナイオロチウリチウデヘウィルタ

その他: ユカギール人ニヴフアイヌ

政策
極東1ヘクタール法

前述のような極東の人口減少問題への対策として、極東1ヘクタール法が2016年5月より施行された。極東移住を促すロシア政府の東方重視政策の一つである。同法ではロシア国民に対し1ヘクタールの無償土地を支給する。2017年2月までは極東の国民のみ申請できる。2月以降、全ロシア人が申請可能となった。極東1ヘクタール法では5年間の土地利用を条件とし、条件を満たせば6年目から利用者の所有地となる。土地の利用目的は農業用地、商業用地、宿泊施設、工場など決まりはなく、土地を利用する事を第一条件としている。


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