民法では特約のない限り単純保証が原則であるが、商法は民法の特則として、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものである場合、もしくは保証が商行為である場合(これらを商事保証という)には、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても当該保証債務は各自が連帯して負担する連帯保証になるとする(商法第511条
2項)。一定の範囲で継続的に発生する不特定の債務を包括的に保証するという保証の形態を根保証という(465条の2
)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)により個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)全般についての規律が新設された(465条の6)[1]。根保証の典型として、身元保証が挙げられる。身元保証における保証人の責任等については、「身元保証に関する法律」に規定される。 保証人が法人でない根保証契約を個人根保証契約という(465条の2
個人根保証契約
平成17年4月1日より施行された「民法の一部を改正する法律」では、個人である保証人の保護を図るため、貸金等根保証についてそれまでの取扱いを大きく変える改正がなされた(貸金等根保証契約では、極度額を約定しない場合、無効となる。また、5年以内の元本確定日を定めなければならず、定めなかった場合は3年となるほか、5年を超える確定日を定めた場合も3年とされていた)。
2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)により、貸金等債務に限定する規定は改められ、個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)全般についての規律が新設された(465条の2)[1]。本改正により、従来、極度額の制限がなかった身元保証契約についても、極度額を定め書面等で取り交わすことが義務化された。 事業のための借入れについて保証人となった個人が想定外の多額の負債を抱える結果となり生活が破綻することが社会問題となっている[1][2]。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)により、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、原則として、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ無効とされることになった(465条の6)[1][2]。 ただし、経営者保証による事業者の借入れに支障が生じるのを避けるため、主債務者の事業に実質的に関与している者(取締役等の経営者、議決権の過半数を有する主要株主、当該主要株主の議決権の過半数を有する主要株主、主要株主(親会社)とその主要株主との合計で、議決権の過半数を有する場合の当該親会社の主要株主、共同経営者及び事業に現に従事している主債務者の配偶者)が行う個人保証については方式要件は適用除外とされている(465条の9)[1][2]。 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない(465条の10)。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)により、事業のために負担する債務についての保証を求められた個人が、自らが債務を履行する可能性を判断できるよう、主たる債務者に対して課せられた義務である[2](458条の2や458条の3の情報提供義務とは異なり、債権者に課せられた情報提供義務ではない[1])。
共同保証
共同保証
保証人が1人の場合を単独保証というのに対し、保証人が2人以上いる保証の形態を共同保証という。保証人間に連帯のない通常の共同保証では、各保証人は債権者に対して均等に分割された保証債務の部分についてのみ債務を負担するという分別の利益(456条・427条)が認められる。分別の利益が認められる共同保証の場合、保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときには民法462条が準用される(465条2項・462条)。なお、分別の利益は特約で排除される場合がある(後述の保証連帯)。
保証連帯
共同保証のうち、分別の利益を特約によって排除し、各保証人が債権者に対して債務の全額について責任を負うこととするものを保証連帯という。保証連帯は分別の利益のない点で連帯保証と似ているが、保証連帯の場合には催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められる点で連帯保証とは異なる。保証連帯の場合にも保証人間の内部関係においては、各保証人には負担部分が存在するので、保証人が自己の負担部分を超えて弁済したときには、超過部分について他の保証人に求償することができる(465条1項・442条)。
事業に係る債務についての保証契約の特則
個人保証の制限
契約締結時の情報提供義務
財産及び収支の状況
主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
出典^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v “民法(債権関係)改正がリース契約等に及ぼす影響