森下洋子
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1971年、芸術選奨新人賞を受賞。
ヴァルナ国際

1974年、第12回ヴァルナ国際バレエコンクールに出場。松山に勧められたことにより出場したもので、森下にとって初めてのコンクール出場だったが、噂を聞きつけた周囲からは出場前から優勝を期待された[11]。100人以上参加したこの大会に、松山と清水正夫の長男である清水哲太郎と挑むことになる[11]。1次予選の“ドン・キホーテ”の時点で観客は大いに湧き、審査員を務めた一人がこの時点で会いに来て「洋子ちゃん、哲ちゃん、おめでとう」と言われたという[11]。2次予選では演じる前に名前が呼ばれた時点で観客が沸き、決勝では“黒鳥”を踊りその反応から優勝を確信した[11]。結果、森下は金賞、清水は銅賞を受賞した[11]。これは日本人初の金賞であり、「日本人にはバレエは無理」という世界的な偏見を払拭し見直されるきっかけになったと森下は述べている[11]

この後森下は、世界のプリマを目指すこととなる。ヴァルナ後、文化庁在外研究員として清水哲太郎とともにモナコ公国へ留学しマリカ・ベゾブラゾヴァ(イタリア語版)に1年間師事する[1][12]。森下はマリカを、世界のバレリーナが救いを求めるバレエの病院みたいな先生、と表現している[12]。2人とも留学が終わった1976年、清水哲太郎と結婚する[12]。結婚式後新婚旅行はせずすぐに2人とも舞台に上がっており、森下は清水哲太郎との関係を夫婦というより同志と述べている[12]。この年、アメリカン・バレエ・シアターに招かれ、プリマとして世界デビューを果たす[1]

のちの2014年にはヴァルナ国際50週年記念として特別ゲストに招かれ40年ぶりにその舞台に立ち、清水哲太郎が振り付けした“鳥の歌”を踊っている[13]
プリマバレリーナとして

1975年および1977年文化庁芸術祭大賞。松山バレエ団を拠点に清水哲太郎と共に活動する一方で、海外でも活躍した[14][15]ルドルフ・ヌレエフマーゴ・フォンテインのコンビと知り合ったのはこの頃である[14]

1977年エリザベス戴冠25周年記念公演で踊る。ヌレエフにパートナーとして抜擢されたことにより実現したもので、これがロンドンデビューとなった[1][14]。以降ヌレエフとの名コンビは続いた[1]。1978年には“バレエの女王様”マーゴとともに世界ツアーを行っている[14]。時期は不明だが“バレエの神様”ガリーナ・ウラノワに指導を受けたこともあり、周囲から羨ましがられたという[14]

1981年パリ国立オペラに日本人として初めて出演[1]、同年毎日芸術賞受賞。これらの多くは最年少での受賞となる。同年、男性路線のモーリス・ベジャールが森下のために大作『ライト』を振り付けている[1]。ベジャールは森下について「彼女の小柄な肉体には西洋と日本が共存している」と語った。

1985年第1回服部智恵子賞受賞、日本芸術院賞を洋舞として初受賞[15][16]。同年、パリ・オペラ座の『くるみ割り人形』全幕に主演、またヌレエフと共演した『ジゼル』の演技に対して、舞台芸術に携わる者にとって世界的に最も栄誉ある賞の一つ・英国ローレンス・オリヴィエ賞を日本人で初受賞[15]

1997年女性最年少の文化功労者として表彰された。2001年より松山バレエ団団長を務める。2002年より日本芸術院会員[1]

2015年 10月に『眠れる森の美女』の全幕公演以来、現在も刑部星矢がパートナーを務める。
著書

『バレリーナの羽ばたき』ゆまにて出版 1976年

『夢みるバレリーナ』
西川治写真 サンリオ 1978年

『バレリーナの情熱』大和書房 1984年、角川文庫 1994年

共著


『バレエの世界 踊る・創る・鍛える』清水哲太郎共著 講談社 1983年

『平和と美の使者として 森下洋子自伝』聞き手祐成秀樹、中央公論新社 2023年

翻訳


ジョン・パーシヴァル『ヌレエフ 芸術と半生(付・ヌレエフの手記) バレエ界のスーパースター』小倉重夫共編 東京音楽社 1981年

映画出演

くるみ割り人形1979年) - 特別出演

脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g h i j k “ ⇒2012年第24回演劇・映像部門 森下 洋子”. 高松宮殿下記念世界文化賞. 2016年4月22日閲覧。
^ a b c d e f “ ⇒『生きて』 バレリーナ 森下洋子さん(1948年?) <4> 家族の支え”. 中国新聞 (2016年1月22日). 2016年4月22日閲覧。
^ “ ⇒『生きて』 バレリーナ 森下洋子さん(1948年?) <5> 祖母の背中”. 中国新聞 (2016年1月23日). 2016年4月22日閲覧。
^ a b c d e f g h “ ⇒『生きて』 バレリーナ 森下洋子さん(1948年?) <2> 出合い”. 中国新聞 (2016年1月20日). 2016年4月22日閲覧。
^ “バレエ舞踊歴70年 森下洋子さん「続けてこられてすごく幸せ」”. 産経ニュース (2021年4月14日). 2023年6月20日閲覧。


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