桜島
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風によって火山灰が運ばれるため、近隣住民にとって風向きの情報は重要であり、1983年(昭和58年)9月1日から電話による天気予報(177)で桜島上空の風向きに関する情報提供が始まった[26]。その後、鹿児島県内のテレビ・ラジオ放送の天気予報においても、桜島上空の風向きの情報が流されるようになった。

鹿児島市では市街地を中心に、多くの学校のプールには降灰時にも使用できるよう、カーテン状の可動式の屋根が設置されている(好天時は屋根を開けて使用)。ただし、しばらくの間降灰が小康状態だったことと、老朽化したことにより、撤去された学校もある。プールの底に溜まった灰を除去するためのスイーパーもあった。プールの中に沈めると自動で動き、灰を除去した。また、校舎には降灰時でも舎内の換気ができるよう、廊下側の窓にフィルターが取り付けられており、教室内の換気扇には、室外側に、降灰の逆流を防止するカバーがついている。

大隅半島など降灰量の多い地域には、雨樋の無い家屋が散見される。灰が雨樋に詰まり、雨水を吸収して固まると用を成さなくなるため、初めから設置していない。

降灰時はの中のようになり、視界が数十メートルになる場合があり、自動車の場合ライトが必須になる。また、火山灰がフロントガラスに付着するが、ワイパーを作動させる速度を考慮しないと、ガラスに傷がつく場合がある。また、特に降雨時の降灰の際は早めに、場合によってはウィンドウォッシャー併用で動かさないと危険な場合がある[注釈 3]。墓にも灰よけの屋根がつけられたものがある。

一定以上の降灰が確認されると、役所から家庭に克灰袋(こくはいぶくろ)が配布される。家庭では降灰を克灰袋に入れ、降灰指定置き場に置くと、役所が回収する[75]。掃除などで集められた火山灰を廃棄する場合は、専用の袋に入れて指定場所に置かなければならない(下写真参照)。詳細は「克灰袋」を参照

霧島市内の墓地(屋根を伴う)

現在の克灰袋

山積みにされた克灰袋

観光

桜島を訪れる観光客は年間200万人とされる。火口から3.5kmにある「湯之平展望所」が自家用車で登れる火口に最も近い展望スポットである。かつては「湯之平展望所」から更に山頂方面に登った「引之平展望所」(火口から2kmの距離、標高563m)まで観光道路で登ることができた。しかし昭和35年に大きな噴石が飛来するようになり危険が増したために「引之平展望所」への車道が閉鎖され、現在は徒歩でのみ「引之平展望台」に行くことが出来る(火山警報にもよる)。「引之平展望所」から先は常時立ち入り禁止(南岳から半径2km)であるが引之平山頂には登山することは可能である。その他の観光スポットとしては溶岩原を望む「有村溶岩展望所」や「黒神ビュースポット」が知られる。また島内の野尻町には火山活動に関する資料を集めた「桜島国際火山砂防センター」が開設されている。

鹿児島湾を挟んで北東対岸の霧島市福山町には「惣陣が丘展望所」(標高483m)がある。冬季に夕日が桜島の稜線に沈む瞬間が、宝石にたとえて「ダイヤモンド桜島」と呼ばれている[76]
交通桜島フェリー(桜島港)国道224号と桜島(御岳)湯之平展望台行政連絡船で結ばれている浦之前港と新島
桜島へのアクセス
桜島と鹿児島市街地との間は24時間運航の鹿児島市営桜島フェリーによって結ばれている。大隅半島側の垂水市霧島市との間には路線バスが運行されている。鹿児島市でありながら鹿児島市中心部とは海で隔てられているため、2000年ごろに桜島大橋(仮称)が計画された。しかしながら、着工等の日取り等全く未定であり、頓挫している状態であったが、2010年に鹿児島県が「錦江湾(鹿児島湾)横断交通ネットワーク」についての基礎調査結果を発表し、「鹿児島 - 桜島」を中心に調査を進める予定である[77]
道路
国道224号
垂水市との境界上にある桜島口から桜島の南側を通り、桜島港(路線としての終点は薩摩半島側の鹿児島市山下町)に至る国道。
鹿児島県道26号桜島港黒神線
桜島港から桜島の北側を通り、桜島口に至る鹿児島県道。
桜島展望道路
桜島の西斜面4合目、湯の平展望台(海抜373 m)と麓の桜島赤水町・桜島小池町とを結ぶ延長約10 kmの市道。南岳の険しい山肌を間近に眺めながら登っていく山岳道路で、錦江湾や鹿児島市街地も展望できる[78]。路面に火山灰がうっすらと積層していることも多く、桜島の噴火警戒レベルによっては湯之平展望台周辺が立ち入り禁止となることがある[78]
路線バス

国分駅 -(路線バス)- 桜島口

鹿児島空港 -(路線バス)- 桜島口

島内の交通

路線バス

桜島港 - 桜島口(南回り)

赤水 - 桜島港 - 白浜、白浜 - 黒神口(北回り) ※黒神口 - 桜島口は徒歩約5分


島内の観光名所を巡回する定期観光バスが運行されている。


航路

桜島フェリー - 鹿児島港桜島港を結ぶフェリー。

しんじま丸 - 高免町の浦之前港と新島の新島港を結ぶ行政連絡船。

防災

気象庁から「常時観測火山」に指定されており、24時間体勢で観測が続けられている。避難壕の例桜島の河川(黒神川)
噴火警戒レベル
詳細は「噴火警戒レベル」を参照桜島は現在も活発な活動を続けており、状況の変化に応じた噴火警戒レベルが設定されている。最新の警戒レベルについては気象庁のウェブサイトで確認することができる[79]
最新の画像
気象庁のウェブサイトで最新の静止画像を確認することができる[80]
避難訓練
大正大噴火発生日に因んだ毎年1月12日に桜島の噴火を想定した桜島からの避難訓練が行われている。この訓練には桜島フェリー等の船舶や海上保安庁の巡視船艇による海上脱出訓練等が含まれている。
噴石対策
主要な幹線道路沿いに噴石よけの避難壕が設置されている。桜島島内配備の消防車両のうち、東桜島支所管内の消防団積載車には全車屋根の上に噴石よけの金網が張られウインドーガラスにはが取り付けられている。鹿児島市消防局配置の車両にも同様の装備がある。鹿児島市消防局管内では桜島配置の分遣隊(出張所)のみ防災車として四輪駆動車が配置されている。
土石流対策
平常時において桜島島内の河川はほとんど水が流れていないが、大雨が降ると土石流が度々発生して国道を遮断している。そのため主要な河川には土石流センサー(ワイヤー式とレーザー式)と監視カメラが設置され常時監視されている。センサー作動時には自動的にゲートが降りて通行止めになる。
山体崩壊による津波
1792年に発生した島原大変肥後迷惑と同じ様な事態が想定されている。鹿児島大学柿沼のシミュレーションによれば、特定の条件下において「桜島西岸から1 m沖の地点における津波高さが最大で10 m強」との想定がある[81][82]
主な出来事(噴火関連を除く)

1974年8月9日 - 集中豪雨の中、野尻川の砂防ダム工事現場に鉄砲水(土石流)が流下。小学生1人を含む5人が流されて死亡[83]

ギャラリー

冠雪した桜島(2010年)

上空から見た桜島(2020年)

鹿児島県章。薩摩半島と大隅半島が図案化されており、中央の赤い丸が桜島を表している。

川瀬巴水「日本風景選集」より『鹿児島 桜しま』

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日本考古学用語では「土層」がよく使われる。
^ 桜島は国立公園に指定されているため、溶岩は許可がなければ持ち出しはできない[要出典]。
^ かつては、トヨタ自動車日産自動車から火山灰対策(外装部品の腐食対策やウィンドウォッシャータンクの大型化)を施した車両が「鹿児島仕様車」や「火山灰仕様車」としてリリースされ、県内の販社で販売していた。


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