近年は、渋谷の「UPLINK・FACTORY」にて「根本敬の映像夜間中学」という、みずから撮影した特殊な映像を上映、解説するイベントを、毎月おこなっていたが、2020年3月で、20年間にわたった活動を終了。
根本は、著書『因果鉄道の旅』の中で「でも、やるんだよ!」という言葉を広めた[注釈 1]。これは周囲から無駄な事と思われようとも、無理だと分かっていて挫けそうになろうとも、その対象に人生を掛けて俄然と立ち向かう際の意気込みを込めたフレーズであり、1993年の『週刊SPA!』誌上にて流行語大賞を獲得した。映画評論家の町山智浩はこの言葉に影響を受け、自身の活動時に度々引用することがある。ある意味さ、負け戦を承知で何かその大きなものに挑んでるっているようなさ、ものは感じていたわけね カウンターカルチャーでもサブカルでも何でも良いんだけれども自分たち周辺の人間たちが、それこそナリワイにしている悪趣味の連中にしても何にしても、どっか世間的な意味での成功者には成りにくいと思う 将来はもしかしたら本当に食えなくなったりとか、野垂れ死にするかもしれないけれども、でも、生きてる限りはやっぱりね、自分にはそれをやり続けるしかないんだっていうで、挫けそうになる時に「でもやるんだよ!」って言葉に支えられるんですよ、みんな 根本の作風は「便所の落書きが増殖したような漫画」と揶揄され、その見た目の異様さで嫌悪感を覚えるものも多く、猥雑すぎる絵柄と因果なストーリー展開で万人を全く寄せ付けない作風である。それゆえファン層も非常に限られているが、その強烈な個性を露出した表現はほかの追随を決して許さないものである。 一方で、ベネッセの進研ゼミの会員向け冊子に半年間掲載された「白馬くん」のように、少年向けの漫画も描いている。「白馬くん」の内容は掲載元が学習誌であるためか、過激な描写は控えられておりシュールなストーリーのみで展開されている。 作中には障害者や擬人化した精子が登場したり、古い死体写真をコラージュした漫画もある[注釈 2]。 スター・システムを導入しており、以下の定型キャラが存在する。 このうち、村田や吉田はパロディとして花輪和一『刑務所の中』、蛭子能収『村田の首』、山野一『四丁目の夕日』『どぶさらい劇場』などに客演したことがある。
そういう人達によって、日本のね、それこそサブカルチャーは成り立ってるわけですから ? 『ニッポン戦後サブカルチャー史V』 サブカルチャーが迎えた「世紀末」より根本敬談
作風
村田藤吉
気弱な丸メガネの中年。多くの作品で主人公を演じる。善良で他者を恨むことがないが、遺伝子レベルで不幸を義務付けられており、ほとんどの作品で悲劇的結末を迎える。妻の夏江との間には義明とさゆりの二人の子供がおり、おばあちゃんも同居している。全員が藤吉同様の被虐者である。
吉田佐吉
怒ったような顔の大柄な中年。独善的に振る舞い、村田一家を苦しめる。作者曰く「根本漫画の最終捕食者」。ガロの担当編集者の山ノ井靖(「天然」では方言指導としてクレジット)が福島県出身だったため、流暢な郡山弁をしゃべる。
鈴木定吉
好色な坊主頭の中年。性犯罪を働くことが多いが、村田や吉田と違い、作中での立ち位置が一定しない。上記二名と共演する際はほとんど脇役であるが、主人公としての登場回数は佐吉を上回る。
タケオ
鈴木が水爆実験中に射精し、突然変異した巨大精子。知能と人格を持つが、精子の身ゆえにさまざまな差別に晒される。
逆さの男
性器に肉体の主導権を乗っ取られた男。陰茎が鼻、睾丸が唇、頭が性器にそれぞれ変化している。頭が主導権を握っていた頃に比べ善良な性格を持つなど、やや風刺的な側面も持っている。
漫画単行本
『花ひらく家庭天国』青林堂、1983年
『Let's go 幸福菩薩』JICC出版局、1985年
『固い絆のブルース』青林堂、1985年
『学ぶ 村田藤吉学級日誌』河出書房新社、1986年
『生きる 村田藤吉寡黙日記』青林堂、1986年
『生きる2』青林堂、1986年
『天然・甲篇』青林堂、1988年
『天然・乙篇』青林堂、1988年
『怪人無礼講ララバイ』青林堂、1990年・青林工藝舎(改訂版)、1999年
『龜ノ頭のスープ』マガジンハウス、1990年・河出文庫、1996年・青林工藝舎、2005年
『豚小屋発犬小屋行き』青林堂、1991年・青林工藝舎、2010年
『饅邁(という字によく似た造語)』トムズボックス、1992年
『黒寿司』ブルース・インターアクションズ、1997年
『天然(完全版)』水声社、1998年
『心機一転土工! 父ちゃんのやきいもがきこえる』青林工藝舎、2000年
『生きる(増強版)』青林工藝舎、2001年
『学ぶ(テレグラフ版)』テレグラフファクトリー、2003年
『命名「千摺」と書いてたろうと読む。』青林工藝舎、2004年
『生きる2010』青林工藝舎、2010年
著書
『因果鉄道の旅』KKベストセラーズ、1993年・幻冬舎文庫、2010年
『人生解毒波止場』洋泉社、1995年・幻冬舎文庫、2010年
『人情山脈の逆襲』(湯浅学との共著)ブルース・インターアクションズ、1996年
『キャバレー妄想スター』ブルース・インターアクションズ、1996年
『電氣菩薩(上巻)』径書房、2002年
『夜間中学 トリコじかけの世の中を生き抜くためのニュー・テキスト』情報センター出版局、2004年
『真理先生』青林工藝舎、2009年、初の小説集
『映像夜間中学講義録 イエスタディ・ネヴァー・ノウズ』K&Bパブリッシャーズ、2009年
『特殊まんが 前衛の道』東京キララ社、2009年
『果因果因果因』平凡社、2011年、「ウェブ平凡」連載に書き下ろしを加えた小説集
『タバントーク』青林工藝舎、2012年
共著
『ディープ・コリア 観光鯨狩りガイド』(湯浅学、船橋英雄
『お岩』(マディ上原との共著)青林堂、1993年
『電波系』(村崎百郎との共著)太田出版、1996年
『パリ人肉事件 無法松の一政』(佐川一政との共著)河出書房新社、1998年
『時代の体温 - 陰核・混沌の隣人たち』(CDブック、作画:根本・作音:湯浅学)水声社、1999年
『バリの空の下、人は流れる』(船橋英雄の初のメイン著書、根本は湯浅学とともにサポート的に参加)水声社、2000年
『豪定本 ザ・ディープ・コリア』(湯浅学、船橋英雄との共著)ブルース・インターアクションズ、2002年
『亀 コロ』(絵本、文はクレイジーケンバンドの横山剣、根本は挿絵を担当)ブルース・インターアクションズ、2009年
『ドントパスミーバイ』(湯浅学との共著)河出書房新社、2011年、FM番組の書籍版、スタジオの模様を収録したDVD付
『元祖 ディープ・コリア』(湯浅学、船橋英雄との共著)K&Bパブリッシャーズ、2013年
幻の名盤解放同盟名義
『ディープ歌謡 The dark side of Japanese pops』ペヨトル工房、1993年
『定本 ディープ・コリア 韓国旅行記』青林堂、1994年
『夜、因果者の夜』ペヨトル工房、1997年
『幻の名盤百科全書』水声社、2001年
『お色気ディープ東京』ブルース・インターアクションズ 、2002年
画集
『THE END』ERECT magazine、2012年、ドローイング作品集、通常版に加え限定版(A1ポスター付 / 100部 限定)も販売
『ブラック アンド ブルー』東京キララ社、2016年、レコジャケ画集
書籍監修
KEIチカーノになった日本人 KEI著 東京キララ社 2007.5
死なない限り問題はない 早田英志著 東京キララ社 2008.7
伏見直樹のジゴロ聖訓 名和広著 東京キララ社 2012.9
映像作品
因果境界線 - 青林堂、1992年、ビデオ
ひさご - 青林堂、1993年、ビデオ
川西杏・幻の大本営 - 青林堂、1993年、ビデオ
さむくないかい - 青林堂 1996年、ビデオ
神様の愛い奴 - ロフト・シネマ、1998年、DVD
さむくないかい・デラックス エディション - HOW DOES IT FEEL? - アップリンク、2010年、DVD
音楽
愛駅 - 2011年、BLACKSMOKER RECORDS、ミックスCD
君がほしい(ちょっと待ってください)?She's so heavy? - 2015年、BLACKSMOKER RECORDS、ミックスCD
ムダの中に宝はあるか?(そうよムダよ)?ssshe's so rude? - 2019年、ミックスCD
何かを待たなければいけない ?MUST WAIT FOR SOMETHING? - 2020年、ミックスCD
もう幾つ寝るとお正月~去年の12月22日にパーマをかけた - 2020年、ミックスCD
CM
本田技研工業 フラッシュ(スクーター)1984年
初のテレビCM、アニメでもある。キャッチコピーは「おじさんもふり返る街角。」振り向く村田藤吉が描かれている。
ラジオ