このうち、人の健康に重大な影響を及ぼすおそれがある高レベル放射性廃棄物と極めて長寿命核種からなるTRU廃棄物は、深い地層への地層処分(第一種廃棄物埋設)が計画されている。ほか、発電所廃棄物については、それらの物性により三段階の地表近くの処分がされることとなっている[32]。 低レベル放射性廃棄物の処分(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第二種廃棄物埋設 一般的であるとされる土地利用(住居などの建設)や地下利用(地上の構造物を支持する基盤の設置、地下鉄、上下水道、共同溝や地下室としての利用など)に対して十分に余裕を持った深度(地下50?100メートル程度)に、コンクリートでトンネル型やサイロ型の人工構築物を作り、廃棄物を埋設する方法を ⇒余裕深度処分と呼ぶ。 ⇒シュラウド[34]、チャンネルボックス[35]、使用済み制御棒など主に原子炉の廃止措置に伴って発生する放射能レベルが比較的高いものが対象となる[36]。管理期間は数百年。処分・管理方法等については調査中である。 日本原燃の六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにて次の三号施設として調査中。 浅い地中(地下約10メートル)にコンクリートピットなどの人工構築物を設置し廃棄物を搬入後、その構築物ごと埋設する方法を ⇒浅地中ピット処分と呼ぶ。濃縮廃液や使用済みイオン交換樹脂、可燃物を焼却した焼却灰などをセメントなどでドラム缶に固形化したものなど、主に原子力発電所から排出される放射能レベルの比較的低いものが対象となる[37]。埋設後の管理期間は300?400年が一つの目安とされている。 日本原燃の六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターで一号・二号施設が1992年より稼働している。 浅い地中に素掘りの溝、つまりトレンチ(trench)を掘り、そこにそのまま(人工構築物は設けない)廃棄物を定置することにより埋設処分を行う方法(いわゆる単純な埋め立て)を ⇒浅地中トレンチ処分と呼ぶ。コンクリートや金属など、化学的、物理的に安定な性質の廃棄物のうち[38]放射能レベルの極めて低い極低レベル放射性廃棄物が対象である[39]。50年程度の管理期間を経たのち、一般的な土地利用が可能になる[40]。 動力試験炉(JPDR)の解体に伴って発生した廃棄物を処分するために、日本原子力研究開発機構・東海研究開発センター原子力科学研究所・廃棄物埋設施設 核燃料廃棄物の内、高レベル放射性廃棄物及びTRU廃棄物は地層処分(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、昭和三十二年法律第百六十六号 なお、高レベル放射性廃棄物の処分については様々な方法が検討された[41]。海洋投棄(かつて各国で実施されたが1993年に全面禁止)、地上施設による長期保管(未実施、ただし一時的な中間貯蔵施設は除く)、氷床処分(禁止)、宇宙処分(大気圏外にロケットで打ち上げ太陽系の引力圏外に放出する、もしくは太陽の重力に引き寄せさせる方法。かつて米が検討したがコストと不確実性から不採用)、地中直接注入(米、ソが実施)[42]などが検討され、このうち海洋投棄と地中直接注入処分は実施された[43]。21世紀初頭においては地中埋設処分が各国で採用されている。 原子力施設や核兵器関連施設以外にも、原子力の研究施設や大学、医療分野や民間産業分野、農業分野などでも放射性物質を使用する場合があるので、放射性廃棄物は発生する。 RI廃棄物に含まれる代表的な放射性核種は、研究RI廃棄物としては 3H、14C、32P、35S などであり、医療RI廃棄物としては、99mTc、125I、201Tl などである。RI廃棄物(研究RI廃棄物および医療RI廃棄物)の大部分はRI協会が集荷し貯蔵している[44]。RI廃棄物等の処分については、2008年に処分実施主体が日本原子力研究開発機構に決まり、法律も改正されることとなった[45]。
第二種廃棄物埋設:低レベル放射性廃棄物の処分方法
余裕深度処分
浅地中ピット処分
浅地中トレンチ処分
第一種廃棄物埋設:高レベル放射性廃棄物等の処分方法
RI廃棄物の処理・処分(研究施設等廃棄物の処理・処分)
放射性物質汚染対処特措法に規定される特定廃棄物等の処理・処分
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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